第22話 覚醒しました
暗い。どこだここ。確か俺は気を失って…………。俺は目を少し開ける。
目の前には結界に投げ飛ばしたはずの少女が魔物たちに囲まれていた。
"固有スキル:獣化!!"
"………グゥオオオオオオオオッ"
やっぱ、獣人族かなにかだったんだな。気付かなかったわ。うぅわ、魔物ごみみたいに殺ってんな。………けどよイリス…………どうして俺を助ける…………………………………
一方的に助けたのは俺であって、助ける義理はお前にないはずだ……。自分の手で俺を殺したいならわかるが、そこまでする理由が全く分からない。そんなにボロボロになって、そんなに血を流して……どうしてそこまで必死な顔をする……
イリスは魔獣を蹂躙して優勢かと思えるものの、見るからに疲労がたまっている。体力の限界と血を流し過ぎたのだろう。それでも獣化したイリスは細い瞳で魔獣たちを睨み、意識が飛ばないように歯を食いしばっている。
そうか
イリスは俺を助けようとしてるんだな……………
もしかしたら、俺と同じようにただ助けたいだけ、と思っているのかもしれない。もっと別の理由もあるかもしれない。
だけど、助けようとしてくれてることだけは分かる。
俺だって動けたらすぐにでも立ち上がってイリスのとこまで走りに行くよ。何ができるかはわかんないけど。なんだろう胸の奥が暖かい。心がジーンときて、鳥肌が立つくらい……………
あぁ、神様………いたらお願いします。どうか俺とイリスを助けてください。いや、俺にイリスを助ける力をください…………俺にあの魔物たちを蹂躙できるほどの力をください…………………
そして、目を閉じて意識が落ちる…………………
【ヴィシュヌの加護が発動しました】
【進化が可能になりました】
【進化を開始します】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化失敗しました】
【進化成功しました】
【進化成功によりスキルを獲得しました】
【固有スキル:アヴニールアイがユニークスキル:アヴニールアイに進化しました】
【固有スキル:ラスタの神意を獲得しました】
【称号:月の器を獲得しました】
………………………………………ん?
『ユニークスキル:アヴニールアイ』
・睡眠時に仮定死未来を視ることができる。(ランダム発動)
・死に至る攻撃による仮定死未来のみ視ることができる。(常時発動)
・?????
『固有スキル:ラスタの神意』
・行使時の本来消費する魔力量の100分の1に抑える
・保持者の魔力であれば距離関係なくラスタを行使することができる
・ラスタにおいて頂点に達する
…………………………え、なに?
これ、ほんとなのか…………………?
こ……これで……あの魔物たちからイリスを救える!
だが、次の瞬間コータの機嫌は地の底に落ちる。
意識が戻り、ボヤけた視界もうっすらと回復した先にみたのは、イリスが俺の前で正座して微笑みを浮かべていた。
こいつ…………あとでお尻ペンペンの刑だ。糞胸糞わりぃじゃねえか。………ハッキリ言ってやる。
魔力切れで動くことすら叶わなかった身体を唇を噛んで立ち上がる。
「えっ………………………………」
立ち上がった俺にイリスは驚きを隠せない。だが、そんなことはどうでもいい。俺は手を出さねえが、これだけは言ってやる。
俺は身体の力を全て行きを吸い上げることに使った。
「生きることを……明日を……諦めんじゃねえよ!!」
視界が完全に回復した時、熊がイリスを掴もうとしていた。
…………………邪魔すんじゃねぇよ…………………んで
「なにイリスに触れようとしてんだ!!主器契約:《コボウ》!!!!」
どこからか、コボウが飛んできてコータの手の中に納まる。
「ええい、くらえぇ!!コータ流コボウ奥義:コボウスラッシュ!!!!」
最大まで伸ばしたコボウを思いきり、熊の手首に打ち付けた。
ベアァァアアアアアッ!!
魔熊は痛みのあまり痛みに耐える呻き声をあげる。魔熊は攻撃対象をイリスからコータに変更したらしく、その目には殺意がギラギラと燃えている。
はぁー正面から見るとマジビビるわ。神様どうせなら勇気とか鋼の精神力欲しかったな。んで、コボウと主器契約しててよかったぁ。結構コボウ奥義いい感じだったんじゃね?
そんなことを考えていると、魔熊は大きな雄たけびを上げて豪腕をコータ目掛けて振るう。
「コータさん!!!!」
誰の目から見ても、少年が攻撃を躱したり、防いだりできずに絶命するだろうということは一目瞭然だ。それに加え、俺は非力。ステータス値も村人とそう変わらない。イリスは半分泣きそうな目で叫んでいる。
が、魔熊の攻撃を少年はまるでわかっていたように。
体を少し傾けるだけで、あの攻撃を躱した。
これには三者三様、驚きを隠せない。
一人は攻撃の躱され方に唖然する。
一人は理解不能な状況に現実を疑う。
一人は………躱せたが攻撃にビビっていた。だが、顔には出ていない。ポーカーフェイスだ。頬には汗が一筋…いや、二筋………三…四――――――――
…………………こ、ここここぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!
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