カクヨムヒロイン総選挙用 プチエピソード《その②》

 こちらは、板野かも様の自主企画<カクヨムヒロイン総選挙>用に

書き下ろして提出したPRエピソードになります。


水舞すいまい蒼眼妖精ブルーアイズ


 僕が初めてお姫様を見たのは、宮殿ご用達のケンタウロス馬車に乗っている姿だった。馬車から見えた透き通るように美しい髪とまん丸な蒼色の瞳ブルーアイズ。じっと見入っている僕に笑いかけてくれたような気がして、胸の辺りが凄くドキドキしたんだ。


「おにーちゃ! どこ行ってたの!? 今日はお花摘みに行く約束でしょ!」

「ごめんごめん、お城の馬車が通りかかってつい……」


 家に帰ると、おめかししたプラムが、頬を膨らませて待っていた。


 水の都アクアエレナには運河が流れ、エレナ山より流れる清流から美しい水が流れて来ている。山の麓には色とりどりの美しい花が咲き、妹はこの景色が大好きだった。妹を連れて目的地へ到着。プラムは花かんむりを創って遊んでいた。その時だった――


「きゃぁああああ!」

「え!? プラム!?」


 プラムの眼前にゴブリンが数体現れ、妹を襲おうとしていたのだ! 気づくと僕は走り出していた!


「くそっ、妹から離れろ!」

「おにーちゃ! 助けて!」


 僕が小石を投げつけるも、手に持つ棍棒が眼前の地面を抉り、蹴り飛ばされてしまう僕。


「おにーちゃーー!」

「く……妹から……離れろ……」


 ゴブリンがニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべたその時、僕の前に女神が現れた。


「悪しき者に水の洗礼を ――水爆砲アクア!」


 水色の羽衣のような格好の女性が掌から放った水球が妹に迫っていたゴブリンを一撃で吹き飛ばす! 


「え……まさか……リンクお姫様」

「お城は退屈だから、よく抜け出して此処にはよく来るの。私が此処に来たのは内緒ね」


 まん丸の蒼色の瞳ブルーアイズがウインクをし、思わず見入ってしまう僕。


「ギャシァアアアアア!」

「リンクお姫様! 危ない!」


 残ったゴブリンが数体襲いかかるも、周囲にシャボンの泡が出現し、泡に包まれたゴブリンはお姫様の姿を見失っていた。リンク様は、流れるような動きで舞いを舞っていた。それはさながら天上から舞い降りた水の妖精。その美しさに感動さえ覚えてしまう。


「水の戯れ<カーム>」


 リンク様がそう言い終わると泡が弾け、ゴブリンが力を失ったように見えた。


「水の戯れ<レイジング>!」


 巻き起こる水流がゴブリンへ向かっていき、数体のゴブリンは水流と共に消滅した。


「ありがとう、お姫様ー!」

「ありがとうリンク様」


「おにーちゃんは妹を守ろうとしたんだね。その勇気、忘れないでね。シャキーンです!」


 僕はこの時見たリンク様のシャキーンを忘れない。彼女は心優しくて可愛くて、それでいてとっても強い、最高のお姫様だ。

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