魔王ヴァリアッテと愛犬久能の日常
佐久間零式改
プロローグ ちょっと重い世界観説明
誰もがそう呼ぶ事となった現象が起こったのは、一年前の事でした。
突如、魔界が出現したのです。
魔界と言っても、太陽と地球の丁度中間地点に、月の三分の一ほどの大きさの魔族が住まう星ヴァルが、以前からそこに存在していたかのように現れました。
地球の引力の影響を受ける事も、自転することもなく、ヴァルは静止し続けました。
幾多もの戦争を重ねた末に、地球は共和国という形で統一されていました。
地球政府は、検討に検討を重ねた結果、惑星ヴァルに調査団を派遣し、惑星ヴァルがどのような星であり、生命体がいるのかどうか調査することとなったのです。
だが、それが間違いであったのかもしれません。
結果、調査団はヴァルに住む魔族達を激怒させてしまったのです。
魔族が大事にしていた土地を土足で踏み荒らしたからなのでしょう。魔族達は怒り狂い、一瞬にして調査団を殲滅しました。
その怒りは留まるところを知らず、魔族達は地球へと怒りの矛先を向け、地球共和国が保有する全ての軍事基地の襲撃しました。戦力差が歴然としていたというべきか、通常兵器が意味をなさなかった事もありまして、地球共和国が有する戦力の八割ほどが短期間の内に失われてしまったのです。
だがしかし、魔族の進行はそれだけでは終わりませんでした。
世界各地にある都市を襲撃し、人をさらい、奴隷として扱い始めたのです。
そんな魔族の進行を許すまいと防衛していた地球共和国の軍隊はさらに消耗し、防衛する事さえままならなくなってしまいました。
それから程なく、来るべき時が来たのです。
魔族が地球共和国の首都ゼロリリスへ侵攻を開始したのです。
「我らは我慢し続けていた。魔族に蹂躙されるだけの人類ではない事を証明する日が来る事を。喜んで欲しい。人類が完全に魔族に屈服したのではないと知らしめるべき時が来たのだ。人類の叡智は偉大である、と。人類の叡智であろうとも、魔族を滅ぼすのは難しいであろう。だが、人類の未来のためにも、今やらねばならぬのだ。分かっているとは思うが、この戦いは消耗戦である。この戦いに参加する者はその命を人類のために捧げて欲しい。だが、無駄死をしてはいけない。生き残った者が人類の未来を背負うのだから」
地球共和国第十四代大統領のアステナージ・ロレッツオがそう演説し、秘密裏に開発していた対魔族兵器を大量投入し、最終決戦を挑んだのです。
首都ゼロリリスの攻防戦の末、地球に遠征していた魔族を壊滅させただけではく、魔族を押し返すようにヴァルへの侵攻へと発展し、ヴァルで人類と魔族との最終決戦が行われました。
その戦いの末、人類と魔族は壊滅状態となってしまいます。
双方が激戦を繰り広げている中、永眠していた魔王ヴァリアッテが封印を解かれて覚醒し、両軍を叩きつぶしただけではなく、とある条件を地球政府が呑めば休戦に応じると言いだしたのです。
地球政府は当然その条件を喜んで受け入れて休戦しました。
そうして、人類と魔族の戦争はそうして一時的に終結したのです。
* * *
魔王ヴァリアッテの休戦の条件それは……
『地球人の
……そう。
久能氏春が人身御供になっただけで人類と魔族との戦争は終わりを告げたのです。
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