第9話 優しい…?
次の日。
お父様の元へいざ!外出権を勝ち取るのよ!
「お父様は…、どこだ?」
貴族だから屋敷が広いよぉー!!
誰か知ってそうな人…。メイド長さんだ!
「ルーシィさん、お父様が何処にいるか知りませんか?」
「あら、お嬢様。外出ですか?」
「うん!そうなの!お友達と遊びに行くの!」
言わなくても通じるとは…、さすが我が家のメイド長ね!
「ご主人様達には私が伝えておくのでいいですよ?きっとご主人様本人に言ったら止められてしまいますからね!」
「ほんと?!ありがとうございます!」
そうなのだ。記憶を見てみるとお父様達は私が出かけようとする度に止めてきたり、行くと言い張ると護衛を〜と言うのだ。
心配なのはわかるけどウチの領地はスラムも無いらしいし、裏路地とかには憲兵が見回りをしてるから安全だ、と領民の人が言ってた記憶があった。
実際、誘拐とかの事件はないしあっても食い逃げとかだ。それも旅をしてる冒険者のだ。
「ただし、森の奥に行ってはいけませんよ?」
「うん!行かないよ!」
ごめんね、行っちゃうかも…。
ウチの領地の周りには深い森がある。
その森には奥に行くほど強い魔獣が居て、旅をしている冒険者の人達はみんなその森に入って稼いだりしている。らしい。
「では、気をつけて行ってらっしゃいませ」
「はい!いってきまーす!」
『上手くいったですね!さあさあ、お待ちかねのレベル上げですです〜!』
私は意気揚々と家を出た。
1日でどれくらい上げれるかな!楽しみだ!
――――――――――――――――――――
…と思っていた時が私にもありました。
「フィア、森に入ってはいけないといつも言っていたよね?なぜ入ったんだい?」
inお家なう☆
目の前にはお父様とお母様。
2人とも少し困り顔だ。怒ってはいないがとても心配したようだ。
森に入ったところを見た領民がその事を急いでお屋敷に連絡をしたらしい。
そして私を探し出そうと、私兵を急いで出そうとした時。ちょうど私が心優しい冒険者の人に連れられてお屋敷に…。
みんな連携良すぎない?どっかで私のこと見てたんじゃないの?
「フィア?黙りじゃわかんないぞ?」
「………。」
どう答えるべきか…。
『フィアちゃんピンチですですぅ〜?』
エア!何かいい案無い?!
…無いって?そうですか…。
「フィア?怒らないから、ね?」
「うぅっ…、」
必殺!泣き落とし!!
「ほらほら、泣かないの!」
ネフィリアの泣き落としは効かなかった!
お母様強し!
『もう、諦めてホントの事言うですよぉー、強くなりたかったって〜!』
やっぱり?
それしかないし、しょうがないか…。
「…強くなりたかったんだもん。」
「強く?」
「うん、お父様やお兄様達みたいに。」
そう言われて少し顔が緩むお父様。
それを肘で小突くお母様。
「ゴホンッ!えーとな、フィア。その気持ちは嬉しいのだが、もう少し大きくなってからではダメなのか?」
「あなた?そうではないでしょう!」
おうおう…、意見が割れた…。
私の為に喧嘩しないで〜って言うべき?
『…火に油だと思うですですー、』
やっぱりそう思う?私も思った。やめとく。
「まあまあ、心配なのはわかるがな?」
「いいえ!私が心配なのはあなたですわ!」
お母様、どういった意味でしょうか?
私の事ではなくお父様…?なんで?
「フィアはハーフなので魔法の才能もあると思いますし、獣人で身体能力も高いので多少の危険はあれど、周りのサポートでやって行けるはずです!」
「うむうむ」
お母様…!そんなに私の事を評価して下さっていたのですね!
そして何故か満足そうなお父様。
心配だと言われたこと忘れてません?
「それより貴方!フィアが外出する度に心配のし過ぎで仕事に手がつかないではありませんか!それをなんです?娘の前ではカッコつけたいのですか?」
「お、おま!それは…っ!」
「そうなんですか?お父様…。」
初耳だ…。
まあ、確かに外出する時に1番心配しているというか色々言うのはお父様だ。
最終的には私の上目遣いにやられて許可を出すんだけどね。
「うっ!いや、フィアが大きくなったら…」
「なったらなったで、今度は男が〜とか言い出すと私は思いますよ?」
「うっ…!」
お父様…ぐうの音も出ない…?
「フィア!」
「は、はいっ!」
お母様に急に声をかけられびっくりする。
「森の浅い所、そうね…初級冒険者の方が行く所までは入ることを許可します!」
「おい!おま「ただし!」」
口を出そうとしたお父様を遮ってお母様が言葉を続ける。
「誰か一人、絶対に護衛を連れて行くこと!
その護衛はフィアが選んでいいけど誰にしたか、私達にちゃんと教えること!」
「うーむ、それならば…。」
「あなたの許可はこの際なくてよいのです!
フィア、ちゃんと約束できますか?」
お母様のお父様に対する扱いが…。
『フィアちゃんも神様に対してこんな感じでしたよ?』
まじかー。まあそれはそれ、これはこれだ。
「約束、できます!」
「よろしい!それではまず護衛を探しなさい?森へ入るのはそれからよ!」
「はい!」
護衛か…。
保護して家に送ってくれたあの人なんかどうだろうか?結構強そうだったし…。
「お母様、護衛は冒険者さんでもいいです?」
「ええ、いいわよ!ただ、1回家に連れてくるかしてちょうだい?
そして私が見て良かったらその人に決定。
ダメなところがあったら、どこがダメなのかフィアにちゃんと説明するから選び直すの。いい?出来るかしら?」
「はいっ!」
自分で人を見る目も養え…という事かな?
さすがお母様!
「今日はもうお昼だから明日、冒険者ギルドに一緒に行きましょうか!」
「やったー!お母様とお出かけ!」
「うふふっ。」
その日はお母様と明日“冒険者ギルド”に行く約束をしていつも通り家で過ごした。
「話に入れてもらえんかった…。」
寂しそうなお父様はなんたか少し天界の神のようだった。らしい。(エア談)
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