第12話;ジョアンナ4(ジョアンナ編 終)

朝、目覚めると少し頭が痛かった

(これが、二日酔い?・・・頭痛いわ)


「はぁ~・・・まさか女神手出してないわよね、なんで王子が私なんかに」

昨日の殆どプロポーズに聞こえるお誘いに戸惑っていた。


脳裏にふるふると首を振る女性が見えた気がした。


精霊が解放されてから、自己嫌悪のオンパレードだったジョアンナ、

自信満々だった自分がめちゃくちゃ恥ずかしい。


客室の窓を開けると、整えられた庭が見える。

「ここの領主は、良いね、ちょっと頼りないけど仕事はしっかりする領主、頼りなさをフォローする領民、でも領主を尊敬していて、頼りにしているのが分かる」

上を見ると、青いすがすがしい空、

「ここで成長したかったな本当に」


コンコンコン

「お目覚めでしょうか?お嬢様」

早朝なのに、直ぐ来るメイド、メイドも優秀だ。


「はい、どうぞ」

「失礼いたします。今日のお召し物です、お湯はいつでも使えますが、準備致しましょうか?」

「はい、よろしくお願いしますわ」

早朝のなのにしっかりと対応してくれるメイドに関心して、置かれた簡素だが上等なドレスを見る。


「でも、服は良いです、旅装束に着替えますので」

「・・・王子様の馬車で行かれるのでしたら、しっかりとした旅装束でなくても良いと思いますよ」

「・・・えっと、もう一緒に行くの決定?」

「そう伺っておりますが」


メイドに言ってもしょうがないので、湯あみをして旅装束に着替えて、朝食は断り早々に玄関に向かった、まだ小鳥が泣き始めて間もない早朝の為、領主はまだ寝てると言うので言付(ことづ)けを頼み出ようとした。


どたどたと、走る音が向かって来た、

「アン!」


起き立て、夜着にガウンを羽織っただけの王子が髪を乱して慌ててきた、目の前まで来ると、床に手をついて

「一緒に行ってくれないのか?!」

息を切らしながら此方(こちら)を下の方から見てくる


(何?このきらきらワンコは!)

「えっと、その・・・」

戸惑うジョアンナ


終いには足にしがみついてきた

「アン!アン!離さない」

ジョアンナの心臓がどきんと鳴りだした


後からゆっくりと従者がやって来た、従者はしっかりと着替えている

「すみません、ジョアンナ様、

王子は朝が弱く、朝はすごく甘えん坊になってしまいまして、普段はちゃんと王子しているのですが・・・幻滅しないでくださいませ」

としがみつく王子を見てこめかみを抑える。


<くしゃくしゃくしゃ>

「!アン?」

思わずしゃがんで、王子の頭をくしゃくしゃと揉み解していた


「ワンコみたいで可愛くて・・・あ!すみません王子をワンコだなんて」


「そっちが好みでしたか」

ぼそっと従者が言った


「アン!一緒に行こう」

ワンコ眼差しで抱き付いて言ってきた

「・・・はい・・・」


負けたワンコに負けた~

ジョアンナだった


引き返して王子達と朝食を取り、しっかりと領主に挨拶をして、街のお世話になった人達に挨拶をして、乗り心地の良い馬車に早速乗っていた。


最初は、従者と3人で向かいに従者、私は王子の隣に座っていた、2日目3日目と気が付くと従者は乗ってないのに横に座る王子ずっと手を握られていた。


「えっと、王子?向かいが空いているのでそちらに移ったほうが?」

「進行方向と逆だと気持ち悪くなりますよ、それに眠かったら私の肩か膝にどうぞ」

「え?いえ、そんな恐れ多い・・」


4日目、少し眠っていたら気が付いたら横抱きされ、抱きしめられてた


「え?王子?」

「大丈夫です、何もしませんからそのままお眠りください」

にこっと笑った王子の顔がすぐ険しいものに変わった、

ジョアンナも気が付いた。


「盗賊でしょうか?」

「いや・・・違う」


馬車が止まり、


コンコン

「ル・ルーナン王子、”ベンデーソン”の使者が、お目道理を願っております」


「王子、すごい殺気です。出てはなりません」

「しかし、かなりの人数いるぞ出て行かなければ、護衛に手を出せれる可能性が」

「とりあえず私が参ります」

「え?アン!それは危ない、あなたに何かあったら・・・」

「ここにいるものの中で、敵も合わせて私が一番強い、護衛として雇われた冒険者として参ります」


ジョアンナは、移転で馬車の上空に浮いた

移転はまだ短距離しか出来ないので、戦いの時にしか使えないと思い使ってなかった。

(結構便利かも、ロゼッタ様に感謝ね)

王から下肢された、杖を出してもっていた。


ゆっりと使者と思われる物のところに着地する。


「護衛の冒険者です」

これ見よがしに冒険者プレートを見えるようにかざした、


「・・・Aランク・・・王の加護付き?」


「王子への用件は何ですか?」


「・・・おとなしく連行されれば手荒なことはしない、抵抗すれば殺す・・・おとなしく付いてきてもらいたいと伝えてもらおうか?」

剣を向ける使者、馬車を囲むように500人のフル武装の兵士が囲んで居た


「用件をと言ったのです、通じてませんか?おばかですか?」

「何を!小娘が、親のコネでランク買ったんだろう」

「ランクって買えるんですか?初めて知りました」

「・・・・とにかく!」


チュドーン!!!


「!?」


「あ、魔物が数体居たので討伐しました」

「ざわざわ」

と兵士達

街道の脇の少し入った森が消し飛んでいた、魔物どころかそこは地獄の様に地面がどろどろに真っ赤に溶けていた、クレーターのようにすり鉢状になった底は、マグマのように沸騰していた


「おっと、最大出力をピンポイントで放ったのに範囲が10倍くらいになっちゃったわ、森に延焼したらまずいわね・・・・」

ザバーン


「うおぉぉぉ・・・前が見えん!」


大量の水が、消し飛んだマグマの森に降り注ぐ、あたり一面水蒸気で周りが見えなくなる。

その隙に馬車の前の兵士を水蒸気はそのままで、風魔法で飛ばしてどけて、一目散に逃げた。

浮遊を施したので、1.5倍の速度は出てたと思う


王子の馬車に転移すると

「おみごとです、あの力を見て再度追いかける勇気は無いでしょうね」

「誰だったんですか?、”ベンデーソン”て胡散臭さの強い国ですよね?」

「兄に邪険にされたので、関税を安くしろとか、優先的に自分の国から輸入しろとか、偉そうに言ううので追い出してたんですよ、私を人質にと思ったんでしょうね、他国でそんなことすればどうなるか」

「通過している此処”ガジェット”は”ベンデーソン”と仲悪くなったですか?そんな所で軍隊を動かしたら」

「戦争になりますね、”ガジェット”は気が付いてないんでしょうか?」


「いや、気配がしますね、かなりの数の人の群れ、1万は居そうです」

「町に着いたら領主に報告しないと」

「そうですね共謀していると思われたら大変です」


町に着くと領主に襲われたことを報告、軍隊が出ていることを確認した


「とんだ事に巻き込んで申し訳ありませんでした。」

「いえ、何事も無くてよかったです」

「”ベンデーソン”の小隊を率いて居たものは逃げたらしいです、殆どの兵は殺されたらしいですが・・・」

領主に再度聞き行っていた王子が言った

「戦争ですか?」

「幾つか、村が襲われていたらしいのでそうなりますね、我が国も”ガジェット”とは友好を結んでいるので後方支援することになりそうです」

「私に出来ることは?」

「いえ、貴方を巻き込むわけには、このまま我が国までご一緒した後は・・・」

「そうですが、御武運を」

「戦争が終わったら、また会っていただけますか?」

「はい、でも私はもう誰とも結婚はしません、恋人は欲しいと思いますがそこまでです、それでもよろしいですか?」

「はい、どんな形でも貴方が好きな気持ちは変わりません、貴方の意思を尊重します」







その後戦争は、”ガジェット”の大勝に終わり”ベンデーソン”は賠償金を大量に払うこととなり、当分戦争は出来ない状態になった、国境付近の土地は賠償の一部として、”ガジェット”の物となった


数年後、フェルザン公国の外交官となったルーナン・ヴァルデック公爵、元第二王子の屋敷に女性の冒険者がルーナン・ヴァルデック公爵にそっくりな綺麗な女の子を連れてやってきて、その子を預けた後、行方不明になった。


ギルドの依頼で、邪神復活の調査をしていたことが分かっていた


「お父様、お母様はいつ迎えに来て下さるの?」

「フロライン、落ち着いて聞いてくれ、アンは行方不明なんだ」

「行方不明?生きていらっしゃるの?お父様」

「私が、必ず見つける、だからフロライン、アンが帰ってきたら成長した自分を見せれるように勉強を頑張るんだよ」

「ぐすんっ・・・はいお父様・・・」


慰(なぐさ)める様にフロラインの周りに8色の精霊の光が舞っていた。

フロライン7歳、ルーナンとジョアンナの娘である、二人は結婚はしていない、

ジョアンナはS級冒険者として、ルーナンは外交官として各国をまわり、たまに会って逢瀬を続けていた

それで、生まれたのがフロライン、外見はルーナンにそっくりで、ジョアンナと同じく8種の精霊を使うことが出来た。


今回の依頼がかなり危険で長期に渡ることと、そろそろジョアンナが教えることに限界を感じ、ルーナンにあずけることにしたのだった、ルーナンはいずれはジョアンナも一緒に暮らせるように、館は整えてあったし、家臣には生まれた時からフロラインの事は言っていたので、逆に大歓迎だった、その様子を見て安心して出かけたジョアンナだったが、それから8年見つかることは無かった。




回想


ルーナンは高級宿に居た

「あんっあっんあっ」

腕の中にはジョアンナが喘ぎ声を発している

「はぁ・・・うっ」


パンパンパンと激しく腰を動かすルーナン


もう何年も何度体を重ねても、自分の物になってくれないジョアンナ

それでも、迫れば受けてくれて、親しい友人には恋人だと紹介はしてくれるのだか

それ以上にはなってくれない事に虚しさと、愛しさが複雑だった。


「アン!アン!ジョアンナ!愛してる」

「ん、あ、はぁん!あっあ~んん~私も好き~!」


子種を中に出すと、ジョアンナが体をのけぞらせて達する、抜かずにじっとしていると

「あんっあ・・・」

余韻が残っているらしく、動いていないのに喘ぎ声がまだ出ている


ゆっくりと抜くと

「うっあんっ」

恍惚とした表情でルーナンを見る

唇が重なり、深く口の中を蹂躙するルーナン


二人の唾液が重なり、口を話すと糸を引いた


「あん!もう~話したいのに~」

「ごめん、君があまりにも可愛くて」

「もういいおばちゃんなのに、可愛いはどうかと」

「まだ、30歳だろう?」

「10年、いいかげん諦めないよね・・・」

「何時までも待つと言ったし、君の意思を尊重するっていっただろう?でもそろそろ私の所に来ないか?」

「こめんなさい、でも報告があるの」

「なに?」

「子供が出来た・・」

「・・・本当に?!やった~」

「でも、貴方の所にはいかないわよ」

「え~」

「認知して欲しいの、いずれはお願いするかもしれないしね、お父さんは必要だし」

「尚更、結婚しようよ~」

「ごめん」


がんとして結婚を断るジョアンナだった。







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