第6話;ロゼッタのスタンピート後

ロゼッタは王都北北西1000km上空に移転して来た

ゆっくりと降りて木の間をすり抜ける様に飛んで進む

スタンピード寸前の指揮官である上位種との距離200m地点に、降り立った


ライフルを構え、上位種の頭部を狙う、パーン!パーン!バーン!三体続けて葬ると

「ちっ気づかれたか」

他の魔獣が魔法を此方に放って来た


上空に上がり超級魔法を放つ準備を始めた

10分程で上空に大きな火の玉が出来上がる

「いっけぇ!」

上位種目がけて放つ

集まっていた魔獣5割は消えた、が、上位種後7体のうちまだ5体が残っていた

「何発も打てないのがこの魔法よね・・・」

肩にかけていたライフルを倉庫に移転、代わりに双剣を転移、両手に持つ


(話にある、転生ものでよくある収納魔法使えなかった・・・、その代り倉庫に色々入れといてそこから座標固定転移させる方法思いついて、王に作ってもらたの倉庫!、扉が閉まっている間は中は時間が進まないようにして、食料とか入れといてもらってる、うん!便利!重い武器も持ち歩かなくていいし~ただし、魔力が無くなったら使えないけど・・・)


「と、油断大敵!」

上空に魔法を飛ばしてくる

「近接戦か、自己流剣術やるか!」

背後に移転双剣で首を狩る

「後4」

距離を取り水を高速で打つと心臓を貫通

「魔力残量ヤバいな・・・」

「後3」

大剣を振り下ろしてくる上位種

瞬時に自分も大検に持ち変えて耐える

「くっ・・・筋肉がきしむ・・・強化魔法使っているけど辛いな」


予想だにしないことが起こった!変異種だったのだ!

大剣を受けている所に、相手の脇からもう二本の剣を握っている腕が現れた

咄嗟に避けたがお腹を剣がかする、チョッキの下の方だ、

「くっ・・・」

ブーメランを取り出し投げる、腕が4本地面に落ちた

炎魔法を放つ、変異種は消し炭となって消えた

「魔力が・・・くそっ」

「後2」

斧を数本出して残りの上位種目がけて魔力をまとわせて投げた

1体は硬い皮膚を貫いて3本刺さって息絶えたがもう一体は手裏剣の様なものを多数投げ返してくる

身体にいくつもの切り傷が出来る、

そしてロゼッタが投げた斧を投げ返してきた!その一つがヘルメットを割った

額から血が出る、風魔法で相手を吹き飛ばしたが手応えは無かった、

身体の周りに魔法陣が広がる、

魔力切れだ、地面に倒れこむロゼッタ

「くっ・・・もう一体!」

最後に残りの魔力を使い炎をぶつける、やはり手応えは無かった、目の前の景色が変わる


その後の記憶はない



気が付くと自分の部屋で寝ていた

「お気づきになられましたか?」

ルナが声を掛ける

「どのくらい寝てたのかしら」

「4日目の朝です」

「ジュリアーノ様が目覚められたら飲ませるようにと、薬湯を預かっておりますが飲めますか?」

「ええ、いただくわ・・ジュリアーノは?」

「騎士団の方々の治療に、遠征先に出向いておいでます」

「そっか・・・戦況は聞いてる?」

「殆ど落ち着いた見たいです、負傷者は多いですが、死者は居ないと聞いております、上位種もSランク冒険者で討伐されております。」

「そっ・・・」


ふと薬湯を受け取る時に気が付いた

「傷、見た?」

「・・・はい、消えたわけではなかったんですね」

「光(アルフヘイム)と闇(シェイド)が見つかれば一瞬で消せるのに」

「え?そうなんですか?」

「二つの相互魔法で欠損部再生が出来る、傷跡もそれに当たるから」

「それは、ルードヴッヒ様にお伝えしておかなければ」

「え?何故ルードヴッヒ様に言うの」

「ロゼッタ様とお湯に入る時に見られてそれはショックを・・」

「ちょっと!まった!何時!見たって?、初夜の時は消してたのに、お湯に入ったあ?私と?」


「あっ・・はい怪我をされたあの夜」

「なんで?」

「夫婦だから?」

「いや・・もう会わないって言ってたのに」

「気持ちが変わった?」

「いや、そんなわけ」

「それから毎晩入れておいでますけど」

「・・・・」

真っ赤になったロゼッタだった


(どうりで、リボンの結びが違うと・・・いやそんなことはどうでもよくて・・・なんで?)


「と言ううことは、ばれた?」

「はい、仮面の精霊使いがロゼッタ様だってこと、王が話された見たいです、大怪我の様子見られましたから、言うしかなかったかと」

「どうしよう~恥ずかしい~」

「いや、ご夫婦ですから」

「仮面女が私ってばれた」

「え?そっちですか?」

薬湯を口に運ぶ

「にがっ」

(無防備に身体中触られた?うわっ恥ずかしい~、しかし、どう言うつもりなのかな?)



コンコン

「ロゼッタ様、ルードヴッヒ様がお見えです」

アンナの声がした

(あ!察知するの忘れてた)

「・・・どうぞ」

ルードヴッヒが入って来た

ふるふると手が震える

ぴたっと直ぐにルードヴッヒは歩みを止めた、震えているのに気が付いたからだ

「起きて居る時は無理ですか・・・ロゼッタ、謝らせてくれ結婚式に言った言葉を、酷いことを言った申し訳ない・・・」

「・・・・お気になさらず、今までどうりでお願いします」

手が震えるロゼッタ

「・・・・ロゼッタ・・・」

「ルードヴッヒ様?討伐に行かれてたのですか?お怪我を?」

「大丈夫だ、たいしたことは無い、自分で治せる」

目を合わさず話すロゼッタ、見ていたのは足元だった

「・・・・私が怖いか?」

「・・・・申し訳ありません」

「・・・・・・・・」

「早く元気になれ」

そう言うとルードヴッヒは部屋を出て行った


「ふぅ~」

緊張が解け息をもらすロゼッタ

「ロゼッタ様」

ルナがハンカチを差し出す

ロゼッタは泣いていた、近づきたいのに、怖い、そんな複雑な気持ちに心が耐えられなかったのだろう

「最近良く泣くなぁ私・・・」


ふと、横になろうと体を動かすと、違和感を覚えるロゼッタ

(意識が無い人間に悪さなんかしてないよね・・・王子・・・まさかね・・・なんで胸にキスマークあるのよ?)

胸にチラッと見えるピンク色の痕

「・・・やったな絶対・・・」

「なにかおっしゃいました?ロゼッタ様」

体の違和感で分ったロゼッタ

「なんでもないわ、王子が私をお風呂に入れてるとき、部屋に誰もいなかった?」

「もちろんです、着替えも全て王子様が」

「そう・・・」







6人の側室とロゼッタは第一側室妃主催で恒例のお茶会を開いていた

庭園に置かれたソファに妃達が集っている


「最近立て続けに各側室の所にお渡りがあるとか」

ミレーヌがいきなり言い出した

「そうなのじゃ、どういうことかの?『余り来れなくてすまない』などと言うのじゃぞ、わらわは気にしておらぬのだがの」

「わたくしの所に要らしたときも同じ事を」

マリエッタも恥ずかしそうに言って続けた

「でも、えっと・・・最中に名前を呼ばれたんですが・・・ロゼッタと」

「・・・・」


皆、動きを止めたそして、ロゼッタの方を見た

「寝言で『ロゼッタ!もっと噛んでっ』って何処をでしょう?」

冷や汗を流すロゼッタ!

(何言っとんじゃ!王子!)

「欲求不満かの?ロゼッタ様に相手にしてもらえないからとか?、何か進展でもあったかのぅ!?」

なんか皆にやにやしてる

「お話ししてくださいますわよね」

(うぁ~興味津々の目だ)


「いえ、そんなたいしたことは、記憶有りませんし」

「どういうことですの?」

「意識失っている間、王子がお風呂に入れてくださったみたいなのですが、いたずらされてたみたいで」

「まぁ・・・鬼畜ですわね」

「酷いですわね」

「そうか、分かったのじゃ、ロゼッタの体が忘れられずでも相手にしてもらえない、で、わらわ達で紛らわせておるのじゃ」

「なるほど、それなら分かりますわね」


「そういえば、ジョアンナ様の所にお通いの後、王子が頬を赤くされてたのを見ましたわ」

「あぁ・・・決定ですわね」


「そんなことは無いと思うのですけど」

「絶対そうですわ」

「確かに最近いろいろ贈り物をいただきますが、でもぬいぐるみや可愛い小物で、色気のあるものでは」

「あら、ロゼッタ様って、可愛いもの大好きではありませんか?」

ミレーヌが言う

「そうなのですの?」

「そうじゃな、ぬいぐるみや小さくて可愛いものが大好きじゃった、よくわらわのぬいぐるみを差し上げたものじゃ」

「覚えているわけが・・無い・・・もう何年もそのことを言ったり行動に示したりしてないですわ」

「王子も歩み寄ろうとされているのですよ」

ミレーヌがそう言うと皆同意していた



お茶会は笑い声で包まれている

照れ笑うロゼッタ

その様子をこっそり庭園の植木の影から見ていたルードヴッヒ


(忘れていた、あんなふうに笑うんだったな、

屈託のない笑顔、いつからか私には向けられなくなった、

私が彼女に笑わなくなったからだろうが・・・)





暫くして王子は誰の元にも行かなくなった






王宮、王家の住まう奥澱の入口で一人の女性が警備と揉めていた

「どうして?私は側室よ王子に会いにきたのよ通して」

「側室の方はこの奥へは行けません、決まりですので、お会いしたいときは正規の手順を踏んでお越しください」

「ロゼッタ様は通っているじゃない」

「正妃様は王家の一員ですので、側室の方はそうではありません」

「なんでよ!差別だわ!」

「差別ではありません位が違うのです」


永遠とも思える言い合いに、横入りしたのは一人の壮年の男性だった


「王子に会いたいのですか?会わせてあげましょう」

そう言うと言い合っていた女性を連れて何処かに行った






皇太子妃の応接室

(なぜ、この方は私の元に居るのでしょう?正規の手順なんてよく知ってたわね)

「お久しぶりです、ロゼッタ様」

そう言うジョアンナ

「その節はいろいろ教えていただきありがとうございます、また出来たらご指導お願いできないかと思いまして参りましたの」

「そうですの?でもごめんなさい忙しくて当分指導はできませんの、他の方を手配しておきますわ」

「ありがとうございます」


「ロゼッタ様は聖女なのですってね、何故教会に行かれませんの?」

「・・・聖女ではありませんわ、精霊使いです、それに私はガンダリー教会の信徒ではありませのよ、

チェインスター教会の信徒ですわ、3歳の時に洗礼し直してますのよ」

「え?」

「チェインスター教会のミサには月に一度は行っております、それに、チェインスターでは精霊を3種類以上使えたら聖女登録、と言う決まりはありませんの」

「そうなのですか・・・」

「宗教に関心が?」

「いえ、そういうわけでは・・・」



30分ほどで帰って行った

(なにしに来たんだろう)

「ん?紙が、手紙?私宛てだわ、女性の字ね、ジョアンナ様の筆跡ではないわね・・・彼女が落としていったのかしら・・・」


”助けてください、ロゼッタ様

私はマイエール、ザインバッシュと申します

聖女をしております、

何者かに狙われています、高位の魔法を使う者のようで命の危険を感じております

教会に迷惑がかからないように、内密にお助け願いませんでしょうか?・・・・・・・・・”



「だれよマイエール、ザインバッシュって・・・・これ考えた奴、ばか?・・・いやぁ~うけるわ~罠ですよーって?見え見えだわ・・・・目的は分からないけど・・・潰す」

「結構有名な聖女様ですけど、なんと言う言葉使いですか?!心の声が出てますよ、何処でそんな言葉使いを覚えられましたの?、昔からいきなり変な口調になってらしたわよね」

後ろでアンナが言う


(やばっ心で言ったつもりが声に出てた)

「えーと、ルナ・アンナ!居たの?・・・出掛けるわ着替えを」

「はい、どなたかに連絡は?」

「王に、例の件で出かけることだけ」




待ち合わせの時間

「ロゼッタ様?」

少し年上の女性がおどおどして聞いてきた

「そうですわ、皇太子妃のロゼッタと申します」

「こ、皇太子妃?・・・お、おひとりですか?」

「名乗ってくださいませんの?」

「失礼し、しました、マイエール、ザインバッシュと申します、8年間聖女をしております」

「狙われているということですが」

「はいっ」

マイエールと名乗った女性は周りを気にしているようだった

「ああ、護衛は居ませんわ、普段から居ませんのよ」

「えっ?」

そう言うとロゼッタの周りに魔法陣が広がる、ロゼッタの使う魔法陣と違う魔法

「黒魔術・・・これの移転魔法、結構苦痛なのよね」

「え?」

ロゼッタの姿が消えた




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