短編小説

ま行

ゲーム

 俺は今ゲームに興じている。


 ルールは至ってシンプルで「3年間指輪をはめない」だけだ。


 負けた時は「俺の人生を失う」しかしこのゲームに勝った時は、一生を遊んで暮らしても余りある巨万の富を得られるという、俺はすぐに参加を決めた。


 それからゲームを持ち掛けてきたゲームマスターの女と一緒に暮らし始めた。


 俺の監視が目的で、暮らしを始めたのは今から2年364日前だ。


 その間俺と彼女は寝食を共にし、苦楽を分かち合い、いがみ合う日もあったが今日まで過ごしてきた。


 そんな日々も今日で終わる。


 ゲームは俺の負けで、ルールに則って俺は人生を差し出す。


 赤く染められた道を彼女がゆっくりと歩いてくる、彼女の着る純白のドレスは赤が良く映える。


 ゲームマスターの彼女は俺にゲームの判決を伝えにきたのだ、もうすぐ俺の人生は終わりを告げる、しかし俺は一片たりとも後悔などしていなかった。


 どんなにも価値のあるモノよりも、どんなにも魅力的で光ある未来を見つけることができたからだ。


 立会人の下俺は彼女から指輪をはめられる、この瞬間俺の人生は失われ「俺と彼女の人生」が始まる。


 ルールは至ってシンプル「死が二人を分かつまで」だ。

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