自主企画参加作品 最後の夏に一度インタビュー

河邑 遊市

1)海村 雄大

山本正純さまの自主企画「登場人物にインタビューしてみた!」に参加してみよう!

ということで、早速「最後の夏をもう一度 ~キミと居た9日間・忘れられざる日々~」から主人公の海村かいむら雄大ゆうだいくんに来てもらいました!


それでは早速インタビューしていきましょう!


Q「まず初めに、簡単に自己紹介してください。」

雄大「えっと、名前は海村雄大です。1994年生まれで、今は21歳です。高校まではバドミントン部に所属してました。」

Q「大学生ですか?」

雄大「そうです。大学3年です。」

Q「専攻は何ですか?」

雄大「文学部の史学科です。」

Q「歴史を勉強されているんですね? 具体的にはどんな勉強をしているんですか?」

雄大「主に日本の近代史を中心に勉強してます。特に、明治維新以降の日本情勢とか。どうして日本が太平洋戦争に参戦するに至ったのか、世界各国の情勢との関連を中心に学んでいます。」

Q「なかなか立派なことを勉強されてますね。」

雄大「いや、そんなには。結構遊んだりしてますし、講義も適当に受けてることも多かったので。今となってはちょっと後悔してますけどね。やっぱり、雄吉ゆうきちと会って、アイツらが勉強をもっとしたくてもできなかった時代に生まれて、いろいろやりたいことを諦めて特攻戦死してしまったことを思うと、適当に大学行って卒業するなんてことできなくなりましたよ。」

Q「それだけ、雄吉くんとの出会いは自分にとっても大きな意味があったということですか?」

雄大「そうですね。いろいろ、考えさせてもらうことも多くありました。」


Q「それでは続いての質問です。あなたは犬派ですか? それとも猫派ですか? 理由も添えて教えてください。」

雄大「う~ん、猫、ですかね。」

Q「なぜそう思うのですか?」

雄大「昔家で犬を飼っていた時期があったんですが、そのときに結構吠えられて、あんまり好きではなくなった、というか。」

Q「苦い思い出が多くあると?」

雄大「まぁ。次飼うなら、やっぱり猫の方が良いかと。」

Q「なるほど。」


Q「ところで、今あなたに大切な人はいますか? いたとしたら、なぜその人が大切なのですか?」

雄大「大切な人っていうのは、いったいどういった意味でですか?」

Q「どういった意味と言うと・・・?」

雄大「つまり、彼女とか、そういうのです。」

Q「特にそのへんはこだわっていませんよ。彼女でも家族でも友達でも、大切に思うのであれば誰でもという意味ですが。」

雄大「そうことなら、誰だろう・・・。急に言われてもなぁ。」

Q「ちなみに、彼女さんは今、いらっしゃるんですか?」

雄大「それ聞いちゃいますか。」

Q「差し支えなければ、お伺いしたいですね。」

雄大「(溜息)今はいません。」

Q「そうですか。はということは、昔は居たんですか?」

雄大「あんた、意外とこういう質問するの好きですよね?」

Q「もちろんですとも(ニヤニヤ)」

雄大「昔は居ましたよ。高校生の頃に付き合った彼女が居ました。大学入ってしばらくしたら振られましたけど。」

Q「そうでしたか。それは、残念ですね。」

雄大「大切な人ですけど、やっぱり自分の家族、ですかね?」

Q「その理由は?」

雄大「これも雄吉と会ったから感じたことですけど、雄吉たち戦争に往って、日本のために戦いたい、家族を守りたいっていう強い思いを全うした同じ世代くらいの人たちが、自分たちの家族を繋いでくれて、今の自分があるってことに気付いたからです。雄吉アイツが守り抜いた家族の子孫である自分たちの家族を守っていくのは、次は俺だと、そう感じましたから。」

Q「そうですね。70年前を懸命に生き抜いた祖先たちが居たからこそ、今の自分や家族があるわけですからね。彼らが守り抜いた大切なものを守り抜くのは、今を生きる者の務めかもしれませんね。」

雄大「俺はそう思います。雄吉アイツほど勇敢に戦えるかは自信ないですけど、少なくとも人生を終えて冥土で雄吉アイツと再会したときに恥ずかしくないように、胸張っていきたいと思っています。」


Q「さて、もし10億円あったら、何をしますか?」

雄大「10億円って、またまた途方もない金額だな。」

Q「どうでしょう。それだけあれば一生遊んで暮らせるかもしれませんよ。」

雄大「そりゃそうだろうとは思いますけどね。でも、やっぱり何か社会のために役に立てたらとは思いますよ。遊んでばかりいても、やっぱり雄吉に顔向けできないし。」

Q「そしたら、どこかの福祉団体とかに寄付したり、ですか?」

雄大「寄付ねぇ。それも有かもしれませんけどね。一部、2、3憶くらいは適当に募金とかして、残りはいざという時のために貯金しておこうかな。あと、自宅をバリアフリーにリフォームして、母さんと父さんが年取ったときにも楽に暮らせるようにしておいた方が、後々便利かも・・・。」

Q「なかなか親孝行な使い道ですね。」

雄大「いや、なんていうか・・・。もし年いって寝たきりとか足悪くしたりで不自由になったら、面倒見させられることになるのは俺の可能性が大だと思いまして。」

Q「それは、なぜですか?」

雄大「俺は三人兄弟の真ん中なんですけど、上の兄貴は長男のくせして長男らしく振舞おうとしないし、社会人になったら呆気なく一人暮らし始めて、正月くらいしか実家に顔出さねぇし、はっきり言って頼りにできないっていうか。で、弟はもともと頼りなくて身体の不自由になった両親を任せるに不安を感じるので却下。となると、やっぱり俺が面倒みるしかなくなる訳で。」

Q「そういう事情があったんですね。しかし、雄大くんは責任感が強くあるようですね。」

雄大「別に、そんな強くあるわけじゃ。」

Q「もしかしたら、そういう点が雄吉くんの性質を受け継いでいるのかもしれませんよ。」

雄大「どうでしょうね? 雄吉とは、直接繋がっている訳じゃないし。そりゃ、雄吉アイツの真面目さや誠実さ、強さとかが自分にもあったら良いなとは思いますけどね。」


Q「ここ最近で一番楽しかったことや面白かったことはありますか?」

雄大「やっぱり、雄吉と過ごした9日間だと思いますね。」

Q「それはどうして?」

雄大「なんというか、それまでの生活とは劇的に違う毎日だったから、という感じですかね。なんか特別だったような気がするんで。」

Q「特に印象に残った出来事は、どんなことでしたか?」

雄大「雄吉アイツと二人で地元の街や横浜を散策したりして、70年前の時代との違いだったり、あるいはあの頃と同じものだったり、そういう比較や対比をしながら街を見て歩いたことですね。自分たちの良く知る街の至る所に、70年分の歴史が詰まっていたってことに気付けたのは、とても印象に残りました。」

Q「元々歴史がお好きなようですしね。」

雄大「まぁ。びっくりしたのは、まさか地元の駅のあるところに戦前には日大高校と中学があったことですね。あんなとこにまさか日大があったとは、全然知らなかったし、何より地元の駅が戦後になってから開業したってのも目から鱗でした。」

Q「案外、自分の住んでいる街がどのように変化を遂げて今に至るか、知らないものですよね。雄吉くんと一緒に街を歩いたことでそれに気付けたことで、自分の慣れ親しんだ街並みを見る目も変わったりしたのではないでしょうか?」

雄大「はい、変わったと思いますね。地元の駅を使うたびに、ここに駅が出来てくれて便利になったと、感謝するようになりました。」


Q「それでは逆に、悲しかったことはありますか?」

雄大「それはやっぱり、雄吉との別れ、ですよ。」

Q「あぁ。」

雄大「一緒に過ごすうちに、このままずっと、同じ時間を共有して、これからの日本で共に生きていきたい、友達として、ずっとずっと生きていけたらって、何度も願いましたし。でも、やっぱり雄吉アイツは70年前を生きていた人間で、あの戦争のときに特攻戦死した事実には変わりなくて。もう二度と会えないんだって思うと、本当に悲しいです。今でもどこかで元気に生きていてくれているんじゃないかって、そう思ってしまうこともあって。でも、これって、きっと雄吉の親や姉弟たちが感じたことと同じなんじゃないかって、そう思います。だから、もう二度と、こんな悲しい歴史を繰り返してはいけないって、強く感じます。」

Q「そうですね。あの戦争で多くの若者が命を落として、その若者の数以上の家族や親族、友達が涙を流したことでしょうし。こんなことを繰り返してはならない、その思いが多くの日本人の心の中に刻まれ続けることを、祈りたいものですね。」

雄大「そう思います。雄吉アイツの思いは、きっとそこにあるような気がします。」


Q「この辺りで、ちょっと志向の変わった質問をしたいと思います。」

雄大「はい、何でしょう?」

Q「もしも目の前に傷ついた子供がいるとします。雄大くんならどうしますか?」

雄大「傷ついた子供ねぇ・・・。とりあえず、傷の程度を見てやる、かな。」

Q「傷の程度がひどかったら?」

雄大「そしたら、救急車呼んで、病院へ連れて行く、かな?」

Q「もし救急車を呼んであげたとしたら、一緒に病院へ付き添ってあげますか?」

雄大「う~ん、そうせざるを得ない、でしょうね。とりあえず付き添って様子見てあげて、親にも連絡入れて、って感じですかね。」

Q「優しいですね。」

雄大「そうですか? 普通のことをしているだけだと思いますけど。」

Q「それがなかなかそういう一歩踏み込んだことができない人は、世の中多いような気がしますよ。それでも雄大くんはそれが出来る。一緒に救急車に乗ってあげて、様子を見てくれる。子供からしたら、誰か大人が傍に付いていてくれるだけで不安が和らぐのではないでしょうか? 雄大くんのその行動で、きっと子供も安心して、治療を受けられると思いますし、きっとすぐに元気を取り戻してくれるんじゃないでしょうか。」

雄大「そうだったら良いですけどね。」


Q「見覚えがない異性が声をかけてきました。どうしますか?」

雄大「またこういう質問ですか。」

Q「まだまだ21歳ですし、こういう機会もしばしばあることかと思いますからね。(ニヤニヤ)」

雄大「とりあえず、何の用なのかは聞きますかね。もしかしたらただの保険の勧誘とかかもしれないですし。」

Q「(笑)なるほど、そういう可能性も否定できませんよね。」

雄大「友達が一度それで被害に遭ってるんで。渋谷を歩いていたら、20代半ばくらいの綺麗なお姉さんに声を掛けられたみたいで、気分良くいろいろ話し込んでたらだんだん誘導されていったみたいで、何かの商品を買わされたとか言ってました。」

Q「それを聞いていたら、迂闊に綺麗なお姉さんからの話も聞いていられないですね。」

雄大「そうそう。甘い蜜には必ず何か裏があるってもんですからね。」

Q「なかなか、ガードがお堅いようで。」

雄大「自分の身は自分で守る。それがモットーですから。」


Q「それでは、もし雄吉くんに伝えたいことがあったら、一言で言ってみてください。」

雄大「一言で言えるようなことじゃないんだけどなぁ。」

Q「あんまり長いと、編集でカットされてしまうんで。」

雄大「散々本編では細かい様子まで長々と書き綴られているのに、こっちじゃ編集でカットかよ?」

Q「まぁまぁ、そうおっしゃらずに。」

雄大「(睨)それなら。雄吉、俺はお前と会えたこと、絶対忘れないぞ。お前たちが居たから、こんな平和な日本で生きることができるってこと、絶対に忘れない。守ってみせるからな、お前との約束を。」


Q「それでは最後に、このインタビューを読んでいる人にメッセージをどうぞ。」

雄大「えっと、最後まで読んでくれましてありがとうございます。いろいろ話の中で出てきた雄吉とのこと、もしよければ本編(https://kakuyomu.jp/works/1177354054883772821)を見てくれたら嬉しいです。特攻隊に往った雄吉アイツがどんな覚悟でそれを受け入れたのか、どういう思いだったのか、今の日本を見て何を感じてくれたのか、何を伝えたかったのか、そんなことがわかるかと思います。」

Q「今日は、どうもありがとうございました。」

雄大「ありがとうございました。」


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