真実を貫く槍

@thirty

第1話

真実を貫く槍


きっとそれは穢れ無き、高潔な槍だ。

その槍に貫かれたものは、全ての真実を公に晒すことになる。

この槍を持ってすれば、如何なる供述も、一つの真実に確定する。


それはこの世界から、捜査官、弁護士の存在を気薄なものにした。

真実を確認する絶対的な方法が出てきてしまったのだ。

証拠品を貫けば容易に事件の真実は暴かれる。

それに伴い事件発生率も大いに低下した。


世界の7つの大国がこの槍のレプリカを所有している。

槍は厳重に保管され、槍の使用にも多くの法律ができた。


オリジナルの槍は今北極星あたりを浮遊している。

なぜそんなことがわかるのか。

それはこの槍の性質に起因する。


「あの槍は真実でできている」


知性あるものは、自ずとそれを理解する。

あの槍は貫くものの真実を暴くのではなく、槍自体が真実故に

それに同化したものの真実もついでに公にしてしまうのだ。

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