脳内変換王子は婚約破棄をする
朋 美緒(とも みお)
第01話;脳内変換王子は婚約破棄をする(前編)
「フレイア.キルビス、そなたとの婚約を破棄する。」
そう言ったのはカーディフ王国の第一王子ディラン、ディラン王子は取り巻き貴族をしたがえこちらを睨んでいる。
私、フレイアはある所に出かけようと馬車を走らせていたのだが、同じく取り巻きの騎士達に連行され王宮の断罪の間に連れてこられていた。
「公爵令嬢に対するこの行為は王子といえ許されものではありませんよ」
ほとんど拉致られるように連れてこられたわたしは凛として王子を見つめた。
「黙れ!お前がミシェリア.グラント男爵令嬢にしたことは犯罪だ!犯罪者の言う事に耳を傾ける必要は無い!」
苛立った口調でディランが言った。
「犯罪?私には身に覚えがございません」
そして王子の横にその男爵令嬢が・・・居なかった
「そなたのいじめのせいでミシェリアが学校に来なくなった、男爵家に問い合わせ
ても返事は来ないし、すべてそなたが原因に決まっている!」
「私とミシェリアとの仲を妬んでいじめていたのは生徒が何人も見ている!」
『は~?!』
思いっきり呆れ顔でディラン王子を見た
「ご存知無かったのですか?」
「何を!」
「ミシェリア・グラント男爵令嬢は半年早く飛び級で卒業されましたのよ」
「何を言っている?」
「私が飛び級のお手伝いをさせて頂きましたの、半年で成果をあげる為にかなりスパルタでやらせて頂きました」
「卒業式も簡易的ではありますが全体集会の時にされましたよ、ああー王子はそこに要らしている方達とサボって狩りに行かれてましたっけ?」
今まで私の腕を掴んでいた騎士がスッと手を放した、騎士は学生では無いので学校の事については知らないのは当たり前ではある、風向きが違って来たのに気がつたのだろ、騎士達は王子の命令に従っただけだ。
「しかし、放課後そなたがミシェリアに魔法を放って怪我をさせたのを見てる生徒がたくさんいる」
「先程も申し上げた通り、ミシェリアさんにスパルタ指導をしておりました、わたくし治癒魔法得意ですし、ミシェリアさんからも厳しい指導お願いされておりましたので遠慮なく放っておりました、もちろん手加減は致しましたよ、死んでしまっては流石の私も治癒出来ませんからね、腕の一本や足の損失くらいでしたら余裕で傷跡も無く治す自信はありましてよ」
後ろの取り巻き達が青ざめている
「ミシェリアがぐったりと酷い怪我で倒れているのを見てる生徒がたくさんいる」
「遠慮なく魔法を放って、ミシェリアさんも魔力が尽きるまで放てばそうなります、しばらくして治癒魔法で完全に怪我は治っていたでしょう?現に翌日ディラン王子がミシェリアさんと会った時怪我はしていないでしょう?」
「確かに怪我は無かった」
「そう、それとミシェリアを階段から突き落としていだだろう、数人の生徒が見てる!」
「それも指導の一つですわ、移転魔法は危機が迫ってた方が起動しやすいのです。ちゃんと風魔法で受け止めてましたよ」
「自習室でそなたが大声でミシェリアを叱責してるのを何人もの生徒が聞いてる」
「座学の指導をしておりました、叱責された方がやる気が出るとおっしゃたのはミシェリアさんですわ」
「優しく指導してるより叱責した方がめざましく吸収が早かったですね」
「しかし先程から生徒が見ていた、数人の生徒が見ていたとまるで人事、裏付けを取ってもいないようですしそもそもミシェリアさんと王子はどういう関係ですか?」
根本的な話しがされていないので聞いてみた。
「恋人だそなたとの婚約破棄の後はミシェリアとの縁談を進める」
「・・・それもおかしいですね、今日私が何処に出かけようとしていたかご存知ですか?」
「知るわけないだろう!」
「本当にミシェリアさんと恋仲だったんですか?」
「当たり前だ!」
「ミシェリアさんから好きだと言われたことがありますか?」
「・・・無いが私を見る目が潤んで愛しそうにしていた」
「勘違いですわ!」
「何を言う」
「ミシェリアさんは私に助けを求めて来たからですわ」
「?助け?」
「王子に言葉が通じなくて、いつ暴力を振るわれるのかと思うと恐ろしいと」
「何度か個室に2人きりになれるよう連れ込もうとしたでしょう?」
「なっ何を」
ディラン王子はふるふると怒りをあらわにしていた。
「先程私が何処に出かけようとしたでしょうと聞きましたが、ミシェリアさんの結婚式ですわ」
「「「えっ?」」」
取り巻きの数人も同時に驚いてる
「そもそもなぜミシェリアさんと恋仲だと思ったのですか?」
「・・・」
後ろの取り巻き達はかなり青ざめている
それはそうだ、罪もないそれも公爵令嬢を拉致断罪しているのだから、
ディランがポツリと呟いた
「1年前長期休暇の後、学校の中庭でうっとりと私を見つめるミシェリアが、それがとても美しくて」
「休暇中に思い人にお付き合いを申し込まれて、嬉しくてそのことばかり考えてボーとしていたとか、その時ディラン王子と目があって恥ずかしかったとミシェリアさんは言ってらしたわ、恋する乙女は綺麗になって行くものよ」
「声をかけると、恥じらいながら潤んだ目をして見つめてくるんだ」
「断っても断ってもつきまとって来るディラン王子が本当に怖かったみたいですよ、泣きそうになってたとか」
ミシェリアが「身分が違いますから」と言えば
ディラン王子は「身分違いなど愛があれば」と答え
またはっきりと「お付き合い出来ません」と言ったのに
ディラン王子は「恥ずかしがら無くていいよ」と訳の解らない返答
「・・・話しが通じなくて困ったって言ってらしたわ」
「・・・」
「そもそもミシェリアさんは男爵家の跡取り、嫁ぐことはありません。お婿さんを貰って今日正式に男爵家の当主となられました。お相手の方は商家の三男坊で幼馴染みだそうですわ。」
「なっ!貴族の結婚には王か王太子の許可が、当主になるにもいるはずだ」
「もちろん王陛下の許可は降りております。当主の許可にに至っては15歳の成人の時に決まっておりました、少し調べればすぐわかったはずです」
「ディラン王子、恋人だと言う割には、ミシェリアさんのことを全く知りませんよね、何故知ろうとなさらなかったのですか?調べれば直ぐわかったことばかりですのに・・・」
「知っているとも草花が好きで甘いものが好きだ」
「あなたは幼児ですか?」
「ミシェリアさんが望むものは?当主の責任と自分のやるべきもの、目指していることをご存知ですか」
ディラン王子の後ろの貴族のご子息と私の後ろの騎手達は逃げ出しそうな雰囲気で後退りしている。
「何故いち辺境男爵家のことをそこまで構うんだ公爵令嬢のそなたが」
「国家の為ですわ」
「?国家?」
「・・・・グラント男爵家領地の特産は何かご存知ですか?」
「・・・・知らない」
「グラント男爵家の特産農作物です。食料は国民の生活に直結します30年前の大飢饉の時には、10万人が餓死しております。食料はの確保それは国家にとって重要事項です」
「それがミシェリアを支援していた理由?」
「そうです男爵家もですがミシェリアさん自信が重要人物なのですよ」
「ミシェリアが?どうして」
「男爵家とはいえ地方の学校を出て王立学校に入学するのは困難です、ミシェリアさんは特待生で入学しておりますのよ」
「それくらいは知ってる」
子供のようにつぶやくディラン王子
「理由はご存知ですか?」
「魔術が得意と聞いてる」
「そうです、特に土魔法と風魔法が得意で特殊な生命魔法が使えます、草木に対して特化した魔法です、それにより痩せた土地でもミシェリアさんの魔法で草木そだつのです、彼女は領民を豊かにし国民が飢えない国、それを目指しているのです。」
「ディラン王子の王子としての義務や責任を考えたことが有りますか?」
もう王子も取り巻き達も何も言わず立ち尽くしていた。
ガヤガヤ
扉の向こうがなにか騒がしい
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