内省と欺瞞

ハツキ

ニワビ

空ろ、あまりに空ろ。寒空と、燎火にわびを焚くいとまのみが其処には在る。うずたかく積まれた貸家たちの前でそれを行なうならば、私はさらなる空ろの海に放り出される。凄絶な風の前にとどまり、或いは揺蕩たゆたうことになろう。好奇と不安が、親指の先で葛藤する。オイルと、布。

雨の滴る音が鳴り出した。今日の雨は、灰色を塗り潰す青。私は、ある種の諦念を引鉄ひきがねに四十八円の巻紙を咥える。かがりたるものは湿りきっている。荏苒じんぜんとやり過ごすことへの後ろめたさを、再び灰色で塗り潰す。青たることを許されている事実から、またも目を背ける。

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