南口、夜十時。駅前の歩き方 ②


 南口広場に出てすぐ右を見ると「ピアきんしちょう 駅ビル通り」と書かれたオレンジ色の看板が目につきます。その下には「客引き・スカウトに注意!」「客引きしない宣言店を利用しましょう」と書かれた横断幕も張られています。

 この通りは、ファミレスやカフェ、コンビニ、飲食店の他、カラオケや居酒屋、風俗店、さらにハローワークや大手IT企業など、錦糸町で最も雑多な場所です。

 風俗店の数は錦糸町で最も多い地域と言うこともあり、昼間から猥雑な雰囲気がありますが、緑町など西方向への抜け道となっているため人通りも多く、ダービー通りのような怪しさは感じません。


 しかし、横断幕に掲げられているように客引きがあるのも事実。

 ここからは時間帯と場所により、傾向と対策を検討していきましょう。


 まず、六時〜七時の南口広場は、居酒屋の客引きが主体です。店名の入った法被などを着ているチェーン店系も多く、最初の店を探している客、特に四~六人ほどの団体がターゲットとして狙われます。

 この時間帯は客の方もまだ素面しらふなので甘い言葉に誘われることは少なく、ぼったくりなどの心配も無用だと思いますが、注意するのは店内の対応です。

 五、六人のグループが四人席に通されることは当たり前、時間制限の飲み放題でも肝心の飲み物がなかなか出てこない、なんてのはよくある話です。ラストオーダーの時間になっても飲み足らず、結局は延長――というのが狙いかも。

 案内されて席が狭かったら、躊躇することなく他の店へ行くことをお勧めします。予約しているわけじゃないし、オーダー前なら問題なし。


 八時を過ぎると、カラオケの客引きも増えてきます。二次会へ行く客がターゲットですが、相手のやり方は上の居酒屋と同じ。狭い部屋に通され、飲み放題でも飲み物が遅いパターンです。通常なら四人分の料金しか取れない部屋に六人入れれば稼働率は五割増し、飲み放題でも飲ませる量をセーブすれば儲けも増える、という図式でしょう、きっと。

 楽しく歌いたいなら、多少の待ち時間はあったとしても、直接フロントへ行って申込みする方が部屋の融通も利くし、いいと思います。


 さて、九時を過ぎたあたりから客引きにも少しずつ変化が。居酒屋、カラオケ系も残っているものの、キャバクラ・外人パブ系が増え、外人男性の客引きも目につき始めます。この頃には、いい感じで出来上がっている人も増えてくるので、甘い言葉に誘われやすくなるんですよね。団体から個人まで幅広く狙われます。

 ここは最強呪文「予約してあるから」を使って切り抜けましょう。


 ところで、呼び込みと客引きの違いについて答えられますか?

 呼び込みは自店の前で客を呼び込むこと。風俗店でも店の法被などを着ていることが多く、上記の居酒屋やカラオケもほとんどは呼び込みと言えます。厳密な決まりがあるのかは分からないけれど、店への出入り口(ビル店舗ならば、エントランス周辺)から十メートル位までは呼び込みとしてOKらしいです。この「呼び込み」行為は合法とのこと。呼び込みを行うのも店側の人間なので、ぼったくり等の阿漕あこぎな真似はしない場合が多いです。

 一方、客引きはキャッチとも呼ばれ、文字通り客を捕まえて店まで案内する行為を指します。声を掛けられてからしばらく歩いて店まで行くようなら、それは客引き。

 また客引きは店とは無関係の者を使うので、客引きが言ったことと店側の言い分が異なったとしても知らぬ存ぜぬが通用してしまうので、ぼったくりも起きやすい。両者が関係ないことを明確に見せるために客引きは店まで案内せず、建物の入り口まできて「ここの○階」と教えるのが一般的だそうです。

 

 では今日はここまで。

 この項、重要! メモしておくように。


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