休み時間

「ふぇねっくぅー...。

すうがくが全然わかんないのだぁー...」


前の席にいるあの子が、態々愚痴りに来た。


「後でノート貸してあげるよ」


「...」


目線の先に有るのは棒のついた飴が2つ

恨めしそうに見ていた。


「ひとつ欲しいのだ」


手を伸ばしてくる。


「だーめ」


「じゃあ、こっちで...」


「だめ」


彼女は私の横から不服そうな顔を見せる。


「目を閉じて」


言った通りに目を閉じた。


「口開けて」




「...ん!」


彼女の口に入った飴の棒を意地悪にも引っ張った。


「やっぱりあげない」


呆気に取られたよう彼女は私を見つめた。


「次移動教室でしょ」


それでハッとしたのか黙ったまま

ロッカーのある廊下へ飛び出した。


私はそれを微笑ましく見つめ、

禁断の果実を食べるようにアメを口に入れた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「かばんちゃんー...。

すうがくが全然わかんないよぉ...」


前の席にいるあの子が、態々愚痴りに来た。


「後でノート貸してあげるよ」


「...」


目線の先に有るのは棒のついた飴が2つ

恨めしそうに見ていた。


「ひとつ欲しいな!」


手を伸ばしてくる。


「だーめ」


「じゃあ、こっちで...」


「だめ」


彼女は僕の横から不服そうな顔を見せる。


「目を閉じて」


言った通りに目を閉じた。


「口開けて」




「...ん!」


彼女の口に入った飴の棒を意地悪にも引っ張った。


「やっぱりあげない」


呆気に取られたよう彼女は僕を見つめた。


「次移動教室でしょ」


それでハッとしたのか黙ったまま

ロッカーのある廊下へ飛び出した。


僕は彼女の舐めたアメを怪訝に見つめた。


立ち上がって扉の近くにあるゴミ箱に捨てた。


「うざ...」

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