第31話 戦闘が終わって


「んん、んぅ?」


ふと、目が覚めるとそこはここ1年ほど寝泊まりしている部屋だった。


「えーっと...?」


ここ数日の記憶が無い。

最後にあるのは、じじいみたいな喋り方するおっさんとの戦闘の途中で途切れてる。


《よぉ、目覚めたか?》


は、?え?おま、だれ?


《俺か?そーだな。ホワイトとでも呼んでくれ。まぁ、先日の戦闘の途中で目覚めたお前の中のもう1人ってとこかな》


なびさぁーん!?久しぶりにヘルプミィィィ!


〈A:おひさしぶりです。わかりません。彼に関する全ての情報へのアクセスが不可能です〉


な、なびさんでもそんなことがあるのか...


《人の秘密は探るもんじゃねえぞ☆》


やめろ、文末に星つけるんじゃねえ、気持ち悪い。


《ハハッ、まぁ居候だと思ってほっといてくれればいいさ。ただ、時々強えのと戦わしてくれりゃそれでいいさ》


なぁんで俺がそんなことしなきゃいけねんだよ!!!


《おっと誰かきたみたいだな。じゃ、俺寝てるから》


ちょっ!おいっ!ふざけんな!おい!返事し...


ガチャ


扉が開いたのでそちらへ顔を向ける。


「ハク!起きたんだね!心配したよ!3日も寝てたんだから!」


「えっ...3日?」


《すまん、俺が暴走しすぎたらしい》


ぶっ殺すぞ!?


《俺を殺すならお前も死ななきゃいけないけどな》


てめえだけ殺す策を模索してやんよ!


「すまん、心配かけたな」


『ほ、起きたか。寝すぎじゃぞ小僧』


「《なんで、あんたてめえがいる!?」》



『いや、お主との戦闘は久々に楽しめたのでな。さらに助けても頂いた礼をしようかと聞けば旅をしてるというので付いていこうか思ってな。』


「いらねぇよ!」

《そーだそーだ!》


うるせぇ!いちいち合いの手入れんな!!


『みたとこまだ伸びしろがありそうじゃからな。稽古をつけてやろう。』


「いらねぇよ!!」


『そんな遠慮するでない。まぁ、ダメと言われてもついて行くのでな。覚悟しておくといい。ほっほっほ』


「クソッタレェェェェ!」


こうして、何故か旅の仲間が増えた。





シェイド(あの竜の爺さんの名前らしい)と押し問答を繰り広げた後、着替えて下へ降りるとユーフィアさんが声をかけてくれた。


「あら、ハクヤさんもうお身体は?」


「えぇ、大丈夫です。ご心配を」


「いえいえ、いいのですよ。ご飯を用意させましょうか?」


「いえ、大丈夫です。今から少し出るので屋台で何か買って食べますから。」


「あら、わかりましたわ。主人かなにか言いたいことがあるようなので今晩にでも聞いてやってくださるとたすかります。病み上がりですから、お気をつけて」


「わかりました。伺っておきましょう。ありがとうございます。それでは、行ってきます。」


「えぇ、行ってらっしゃい。」


そんなやり取りをしてシュナイドと華音を引き連れ辺境伯邸を出る。

何故か、ユーフィアさんと喋る時だけは敬語になってしまう。

これぞ人徳と言うやつなのだろうか。


どこへ向かうかといえばギルドだ。

色々と報告しなきゃいけないこともあるしな。


「ハクヤさん!目が覚められたので?お身体の方は?」


門番にも心配をかけていたようでこちらの姿を認めると声をかけられる。


「あぁ、大丈夫だ。心配をかけたか?」


「それはもう、街の英雄が目覚めないなんてことになったら困りますから」


「誰だそれは?あぁ、俺が治療すればいいのか?どこにいるんだ?」


「違いますよ!ハクヤさんあなたの事です!」


うん。知ってた。だよねぇ...

冗談で、茶化す。


「何を言っている?英雄に祭り上げられるような事はしていないだろう?ただ街の外で暴れて地形破壊起こした危険人物じゃないか」


すると華音があはははははっと大爆笑を始めた。


「なんだよ」


「ふふっ、いやぁ、その通りだなって」


「おいっ!」


なんてことを言うんだ!!

むくれた顔をして睨んでおく。

ダメージは無し。ニコニコとこっちを見返してくる。

ダメージ大。俺の心にハートの矢が5本くらい刺さった。


はぁと溜息をつきギルド向かうと伝え、門をくぐる。





「この状況はなんなんだ?」


「僕にもわかりません...」


門を出てすぐ帰り際の3兄妹に会ったので拾った。

付いてきた変なのジジイ含め6人でギルドに向かっていると貴族街から出たところですぐに人に囲まれた。


至る所からハクヤ様ーとかアルフレッド様ーとか全員分の名前が聞こえるんだけど。


あぁ、イライラしてきた。俺は人混みが嫌いなんだ


「アルフレッド、そろそろイライラしてきたブチギレそうだから吹き飛ばしていいか?」


「やめておけ。せっかく上がった好感度がダダ下がりだ」


「はぁ...対人結界」


仕方が無いので結界魔法で6人以外を弾き出す。


「おい、お前ら邪魔だ。死にたくなければそこをどけ。俺は今、猛烈に腹の虫の居所が悪い」


少し殺気を当てながらそう言えばサッと道は開けた。


「最初からこうすればよかった...(ボソッ)」


「好感度は下がるがな」


「下がってこういうことが無くなるなら大歓迎だよ」


「あたしもかなぁー...」


華音も慣れない事に随分と疲れた様子だ。

まったく華音に迷惑をかけるとか磔刑に処してやろうか貴様ら。

次はないな。うん。


そんなひと騒動ありつつもその後は特に何もなく無事ギルドへとたどり着いた。


そしてギルドの扉を開けると一旦全員から視線を浴び、視線が外れたので歩きだそうとすると再び全員がこちらを見た。

そしてその中の一人が零した呟きが不思議なほどよく通った。


「勢揃いじゃねえか」


その呟きがトリガーになったかのようにギルドの中がお祭り騒ぎになった。


「ねぇ、アルフレッド、なにこれ?」


「私も知らん」


そんな会話をしながらレヴィの居るカウンターへ向かう。


「ハクヤさん、お待ちしておりました」


「なぁ、こりゃなんだ?なんの騒ぎだ?」


「それはもちろん、街の英雄がそろい踏みですからね」


「まったく、何がそんなに楽しいんだか」


「うふふ、まぁ許してあげてください。さて、ハクヤさん、そして皆さん、ギルドマスターから来たら通すようにと仰せつかっていますのでこちらへ」


「あぁ、頼むよ」


そしてレヴィの案内の下、何度も訪れたメルクの部屋へ向かう。



「失礼します。ハクヤさんたちがお見えになりました」


「入れ」


「どうぞ」


扉を開けてくれるレヴィに礼を言いつつ中へ入る。


「やっと来たね。寝坊助英雄くん」


ニタニタとしながらウザったいことを言ってきやがる。


「この部屋ごと吹き飛ばしてやろうか」


「すまんすまん、勘弁してくれ」



「んで、何のようだ?」


「あぁ、それはね、死の行進デスマーチの発生なんてものは、もちろん即刻に国へ報告しなければならない。そのための通信のオーブだからね。そして、それが解決したことも、報告しなければならない。で、もちろんそのどちらも僕はしたわけだ。ここまで言えば分かるかい?」


嫌な予感がしてきた。


「顔に出てる。まぁ、分かったと思うが解決に際して活躍した者も報告しなければならない訳だ。そして、今回君たちは王から呼び出されたって訳だ。恩賞を与えるとさ。」


「断る」


「残念ながらこれはギルドでも保護できない案件なんだ。冒険者達を害してる訳じゃないからね。しかも、君以外は行く気満々のようだよ?」


そう言われて振り返れば嬉しそうな表情のアルフレッドに呆然としてるアルグレス、華音とエリスは王城の話で盛り上がっている。


「..........はぁ、仕方がない。まぁ、そろそろ街を出ようと思ってた頃だ。丁度いい。この機会に街を出て本来の目的に戻るよ」


「えっ、待ってくれ、ハクヤ。街を出るって本当か?本来の目的...?」


「そもそも俺らは旅をしてるんだよ。1年も同じところに留まったのは色々な偶然が重なっただけだ。ここへ来る前に目指していたのは魔法都市国家...えー...ハルスバッハだったか?あそこだ。」


「なるほどね。じゃあ出ていくのは本当なんだね。」


「あぁ、まぁ丁度いいしな。この機会に魔法都市へ向かうとするよ。」



そんなわけで俺らは王都へ向かうことになったのだった。


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後書き?書くの忘れてました...


これで第1章は終了になります。

この後少し外伝として過去編に入りたいと思います。

週に2~5話のペースで更新して早めに終わらせるつもりでいますのでどうかお付き合いください。


それでは来週もよろしくお願いします!

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