少女を助けた俺は

帰り道、気晴らしに本屋によろうと思い、本屋に向かった。この辺は人も結構通る。主に学生が多い。家に帰るもの、または塾に行くもの、友達と寄り道している人なんかもいる。そんな通りで俺はナンパされている少女を見てしまった。通行人たちは気づいているのだろうが、誰も助けようとしない。俺も最初は見てみぬふりをしようとしたが、気になってしまい、助けることにした。


 「悪い悪い、遅くなった。それじゃ行くか!」


 俺は知らない少女を急かすようにその場を離れようとした。だが少女はなにがおこっているのかわからなく、その場で固まっていた。なので俺は強引に少女と腕をくんでその場を離れた。


 ーー少し離れたところで腕を組むのを解放した。


 「すまん、あのとき腕を強引にくんでしまって」


 俺は少女に謝った。ほんとーに申し訳ないことをした。


 「いえ、少しびっくりしましたけど、大丈夫です。それよりも先程は助けてくれてありがとうございました」


 少女は深々と頭を下げてお礼をいってくる。そういえば、よくみるとうちの高校の制服だった。そらも、俺と同じ二年生だったみたいだ。


 「ほんとーに悪かったな。もっと違う助けかたができれば良かったんだがな」


 「いえ、見てみぬふりして、誰も助けてくれなかったので、助けていただき、ありがとうございました。それで、お名前を教えてもらってもいいですか?」


 少女はまだ俺が同じ学校のやつとは気づいてないみたいだった。制服、どう見ても同じでしょ。


 「俺の名前か?俺は野雫目光太っていうんだ」


 「ありがとうございます」


 「それじゃ、俺は本屋に行くから」


 そう言ってその場を後にした。まぁ、同じ学校だが、会うことはないだろう。名前くらい教えても大丈夫なはずだ。本屋で気になった小説を買い、俺は寮に戻った。寮に戻ると、玄関のところに咲久野のと、その友達がいた。その友達は俺が帰ってくるのを待っていたみたいで、俺がきたとき、帰っていった。咲久野はなぜかご立腹のようだ。


 「ねぇ、なんで先に帰っちゃったの?私、待ってたんだけど」


 「咲久野、友達と帰ったんじゃないのか?てっきり一緒に帰ったと思って、俺は本屋によってから帰ったんだ」


 「そりゃー一緒に帰ってきたけどさ。朝、約束したじゃん。あそこで待ってるって」


 そういえばそうだった。そうとわかったら、謝るしかないか。


 「悪かった。今度から気をつける」


 「わかればよろしい」


 咲久野は笑顔でそう答えた。納得いったのだろう、そのまま部屋に戻っていった。俺もずっと玄関にいるわけにもいかず、部屋に戻った。

 今日も疲れたな。いろんなことがあったな。そんなことを思いながらベットにねっころがっていた。


 「野雫目くーん!ジャムパンとあんパンどっちがおいしー?」


 思いっきり扉を開け、意味不明なことを聞いてきた。どうでもいいだろ。どっちも美味しいってことでいいだろーが。


 「おやおやー?返事がないぞー、野雫目くん!どうしたんだい!」


 「どうしたもこうしたもありませんよ、まったく。いきなり入ってこないでくださいよ」


 「扉は開けるためにあるのだよ野雫目くん!」


 またも意味不明なことをいいだした綺羅星先輩。もうどうしようか、この先輩は。学校でもこんな感じなのか?それはヤバイだろ。


 「早く出ていってくださいよ」


 「嫌だもーん!これからゲームするんだもーん!」


 「俺もですか?」


 「もちのろんだよ!だからこの部屋にきたんだよー!」


 そんなこと言われても困る。俺はこれから風呂に入りねる 予定だったんだからな。ここは、丁重にお断りしなければ。


 「すみません、風呂入ってからすぐ寝るんで」


 「ご飯食べないのー?」


 「風呂入る前に食べに行きます。なのでもう食べましょうかね」


 俺はそういい、綺羅星先輩を部屋に置いてご飯を食べに行った。


 「待ってよ野雫目くーん!」


 リビングに行くと、もう既に皆いた。勿論咲久野もだ。どうやら、一人でこれたらしい。これなら今日は一人で寝れるだろうと思った俺は安心した。それと同時にまだ見たことない奴がいた。なぜかずっとパソコンを操作していた。いきなり操作をやめたと思ったら、口を開いた。


 「野雫目の隣の部屋の佐久間隆介さくまりゅうすけだ。それと野雫目、さっきはうるさかったぞ。そのせいで仕事に集中できなかったじゃないか」


 「悪かったよ。ていうか、なんで俺の名前を知っているんだ?」


 「知っているもなにも、二年から同じクラスだからな」


 まじかよ。全然知らなかった。そもそも学校にきてないんじゃないのか?


 「仕事ってなにしてるんだ?」


 「俺はアニメ製作をしている。多分見たことあると思うぞ?というか、そこにいる二人の作品も作ったことあるしな」


 俺はそれを聞き、先輩たちの方を見た。綺羅星先輩はそれに気づくと、イエーイ!と言いながらピースしていた。


 「綺羅星さんと国見先輩はなんの仕事してるんですか?」


 「俺か?俺は脚本家だ」


 「私はイラストレーターで、恭助が書いた脚本にあった絵を描いてるんだもーん!!」

 まじでか。そんな凄い人たちだったなんて思いもしなかった。もう仕事してるって、凄いな。それも、活躍してるし。俺とは大違いだ。


 「そういえば、なんで皆集まってるんですか?」


 「今日、歓迎会するって言ってたもーん!」


 「そうだぞ。昨日いっていたじゃないか」


 そういえばそうだった。確かそんなことを言われていた気がした。すっかり忘れていた。これから、歓迎会は始まろうとしていた。

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