止まない雨

止まない雨が降るのなら

きみの頭上に振り続けるのなら

わたしは傘を捨てるよ

そして止まない雨に身を投じよう

きみの隣りで微笑んで

冷たい雨に体温を奪われよう

そして同時に思うだろう

絵空事ではない愛の存在を

あいつらが遠くから笑っているよ

でも笑わせておけばいいよ

何も出来やしないよ

毒は酸素に混じって知らないうちに蝕んでいる

きみはまだ自分自身を保持しているか?

季節が流れても変わらないものがあると

口にするのは簡単だけど

時は全てを押し流してしまうよ

あの頃、抱いた輝かしいものの全てを

いつかわたしたちは手放してしまうだろう

永遠なんて口ずさむのは

良くない前兆に過ぎないだろう

やって来る灰色に少しも怯えたりせずに立ち向かって

でもやがてそいつに背後を取られる時が来る

その時わたしたちは愕然とするだろう

あんなに大切だったはずのものを呆気なく手放してしまうだろう

それでも思い出は消えやしないよ

いつまでもずっと一緒だよ

そう誓い合った日々

あの日がまだ歴史の中で輝いているのなら

わたしはもう少し踏みとどまってみるよ

いつか再会した時に

心から笑って話せるように

約束は交わしてなかった

それでも再び出会うだろう

そしてあの頃みたいに共に止まない雨に打たれ

冷たいねって言って笑うだろう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る