0402


風船を飛ばした

ひゃあああんっ

そんな風に

どんな風やねん

そんな関西人を刺殺して

話しを先に進めることにしよう

これは現実ではない

もちろんそうだ

詩だ

厳密に言えばただの文字の連なりの文章だ

こうして話しているように見えて実際のところ空間は静寂に満ちている

わたしは詩人だ

多分な

断言することは誰にも出来ない

まあどうでも良いことなのかもしれないが

パイナップルという果物があるがそいつがトルッチャイではいけない理由など無いのと同じだ

恐らく平行世界ではトルッチャイであるに違いないのだ

そこではパイナップルなどという存在が異質なのだ

自分を正当化するためなら何だってやるさ

わたしは詩人だ

風船を飛ばした

そいつはもう空の彼方へ吸い込まれるように消え見えなくなってしまった

かつてわたしの手の中にあって

握り締められていた風船

その色を思い出すことは何故か出来なかった

曖昧な記憶

そもそも本当にわたしはその風船を握り締めていたのだろうか?

そのような時期が本当にあったのか?

誰かが握り締めているのをただ傍観していただけではなかったのか?

だがもう全ては過ぎ去ってしまった

わたしはまだここに立ち尽くしているが

もうじき立ち去るだろう

明日の朝には行方知れずさ

あの風船と同様だろう


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