24剣士 ~「究極」がイマイチ究極じゃなかった~
ぼくがかんがえたさいきょうのかんがえかた
プロローグ
黄色と黒を基調とする、派手な表紙の分厚い本。めくってみると、こう記されている。
『この世の始まりし時、一人の創造神が生まれた。創造神は、次元、世界、宇宙、あらゆる物質、法則などを作りだし、この世を進化させていった。あるとき、空間の裂け目が生じた。裂け目からは、混沌とした生物が姿を現した。その生物は、「闇」だった。万物の闇の原点であった。闇は創造神に寄生をした。創造神は、徐々に朽ちてゆく身体と戦った。長き戦いの末に、創造神は自らの肉体を削り取り、闇の力を押さえた。これより、創造神は力が減り光の神となり、闇は神の力を与えられ闇の神となった。今も尚、この世は二人によって管理されている。』
神話だ。この話はこの世界ではかなりポピュラー。多くの人は、小さい頃に読み聞かせてもらっただろう。因みにこの本は、昔友達に借りた本だ。友達… 数年前に死んだ友達。
僕は、小さい頃から両親がいなかった。何かが原因で死んだのだろうが、それがなぜか、いつの事かは全く分からない。親の代わりに、友達の親が面倒を見ていてくれた。そう、神話を貸してくれた友達だ。ずっと平凡な毎日を送っていた。
しかし、僕が外出をしている間に友達とその家族は全員捕まって殺された。ちょうど連続殺人事件があった頃だ。知らせを聞いて、勿論残念には思った。でも、特別悲しくは無かった――
それからは、保護をしてくれたメビウスという人に世話になり、住む場所は確保できた。ちょうど魔法学園を卒業する頃だったが、進路に関してはメビウスさんが通っていたという兵士学校に入ると決めた。そして今、なんとなく学校生活を過ごし、なんとなく卒業した。兵士になりたい訳でもないのに兵士学校に入るなんて無茶をしたせいで、今は何をするか分からずに迷っている。 …僕は本をそっと棚に戻した。
彼の名はルーザー。
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