何もかも未定

私の外の私は僕で、僕の中の僕は私


あるはずもないのに、

私が私である物的証拠を探している

「そのための引きこもりなんです」

なんて、

私を知らない君たちには、

屁理屈にしか聞こえないんでしょうね


届くはずもないのに、

私宛ての手紙を待っている

「そのための不登校なんです」

なんて、

僕のことしか知らない君たちには、

言い訳にしか聞こえないんでしょうね


ずっと付き合っている彼女は、

僕のことを大事にしてくれるけど、

その優しさが私を切りつけていた

なんて、

一人称が「私」の君は、

気づきすらしなかったんでしょうね


アイが何なのかはよく分からない

だけど

2乗すれば-1になることだけは知っている

そして、

コイが何なのかもよく分からない

だけど

おばあちゃんちのため池にいるってことだけは知っている


それでも結局、

僕自身、私自身、

自分が何なのかはよく分からない

私が何者なのかはよく分からない

私のことは、

名前も身体も

趣味も髪型も

恋愛も将来も

何もかも未定

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る