第28句 サラブレッド あおかげ


湧くは声 舞うは紙か菜か 蝶に化し


・ー・ー・ー・ー・ー・


夢か現か。


過去か未来か。


一陣の風に舞う菜の花よ。


それでも確かに聞こえている。


悲喜ひき交々こもごも入り混じるこの声を。


それでも確かに見えている。


枯れ果てた紙吹雪の群れを。


がこりとなる扉の音を。


しなるムチと揺れる大地を。


いつかまた。この場所で。


〜サラブレッド あおかげ


【季語】

菜の花蝶に化す[春]:蝶々の黄を菜の花の精にたとえたもの。

菜の花の花びらが風に舞って、それがいつしか蝶となって飛び回る。


なお、馴染みであった「ハズレ馬券の紙吹雪」はもはや昔。

今では見る事も少なくなっているという。

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