その哀しみの河を渡るのに、いったいなんどあの悪夢に泣かされ続けなければならないのか!
『恋愛脳かッ!』
よくわからないや。
脳って、
みたいなところもあるし、なぁ。
自分で自分のすべてを把握している
わけではけっしてないようなので。
そんな中での、恋愛脳。
脳が、彷徨える放浪詩人なら、
恋愛は、まっしぐらに突き進む、
手負いの血まみれの猪に比定できるほど、
一途に猛進するものだし、
そのふたつが重なり合った言葉って、
ちょっと、手に負えない気がする
そのやりたい放題には。
私の恋愛脳は、痺れ切ったまま、
もはや馬鹿になってしまってる。
いつになったら、
焼き付いたあの人のネガが
消え去ってくれるのだろう?
言っても、もう、会えなくなってから、
けっこうな月日は流れたよ?
もう、よい加減、よいのでは、ないのか?
もう、覚えていても、なんの役にも立たない。
むしろ、哀しくなるから、嫌なんだ。忘れたいんだ。なぜ、覚え続けていなければいけないの?
なんの、仕打ちさ?
おまけに、そこを、あの人が
ず〜っと占拠し続けるもんだから、
新しい恋愛に進むこともできやしない。
いや、もう、事態は、最悪なのさ。
で、なんで、こんな赤裸々な私の心のうちを、
朝も4時台から、こんなところでこんな風に
恥ずかしげもなく、告白してるんだろうか?
あの人が、この文章を読んで、
「ああ、そうなの?
いまでもまだ、あたしのことが好きなのね?
馬鹿ね?
……なら、あんな見栄はって、
あの時出ていかなければよかったのに。
馬鹿ね、
ほんとに、
馬鹿な人なんだから。」
とかなんとか言って、
戻って来てくれたら、どうしよう?
とか、思ってこの文章を書いてるわけでは、
けっしてない。
ま、馬鹿だけど、私は確かに馬鹿だけど、
あの人が今更帰ってくるって本気で考えるほとの、
馬鹿ではないつもりだよ。ほんとだよ。
なら、なんで、こんなところで、
こんな文章書いちゃってるのさ、
なんのために?
いや、それが、恋愛脳、
恋愛脳の、ままならない怖さって、
ヤツですな。(ですな、って!)
『ほんとうは、どーしたの?ね、言って?』
ほんとうは、夢、みたから。
ほら、例の、あれ、さ。
起きて、気がつけば、
涙がほおで乾きかけてる、たぐいの夢。
見ているあいだは、しあわせで、
起きて気づけば、心はドロまみれ。
ねっちゃ、ねっちゃ、な、ドロまみれ。
あれ?
みんな、ない?
そんな夢。見たこと、ない?
あの、
おもろおて、やがて哀しい、『あの人』の
夢…………。
ないなら、そっちのほうが、
絶対しあわせなんだと思う。
………………、恋愛脳なんか、いらないや。
『あーあ、そうか、やっぱりあなた、』
『恋愛脳なのね?』
『いっしょだね?』
いっしょなら、…………どうなのよ?
………………すくって、くれるの?
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