028: 2018/09/29「知ったところで何もできないから」

「あ、森宮せんぱい

「……おはよ」


駅からの帰り道、そうは同じ大学で、工学部のこうはいの白銀ひろあきに出会った。


「久しぶりっすね」

「うん、元気してる?」

「……ちょっと仕事がきようなんで大変っす」


IT業界へ進んでいそがしそうな宏明と出会えたのはめずらしいことだった。

そんな宏明が、神社のことでたずねてきた。


「……おれが知っても、何か出来るわけじゃないっすけど。やっぱり、システムも性別の多様化に対応すべきなんですかね」

「あー……」


SNSでれんあい対象を自由にせんたくできるように、システムの方も少しずつ検討がされているらしい、と宏明は言う。


「うーん……『その他』が出来たら、良いのかな」

「そっすか。どこまで対応出来るか分からないっすけど、先輩のところ、色々情報が入っていそうだったんで」

「うん。……多分、フォレスタの方が、もっとくわしいかな。また行く?」

「あーれはきようれつっすよ……」


苦笑いする宏明に、フォレスタにあいさつしに行けば、とだけ告げて、別れることにした。

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