第24話狼

さて、ではミカちゃんの首のタグを取ってもらいに行きましょう。


ギルドから近い場所にある正門の守衛さんに銀貨1枚を支払いました。


首のタグが外れてミカちゃんも笑顔です。


あんな無粋なものミカちゃんには似合いません。


僕達は、討伐に出る事を告げて、門から外に出ました。


今日は真っ直ぐ森へ入るので、門を出たら直ぐに右へ曲がります。


正門から森の入り口は近いので、あっという間に森に入ります。


流石にまだ森の中はジメジメしています。きっと朝靄の水滴が残っているのでしょう。


昨日も歩いた森の中をどんどん奥へと入ります。


昨日、僕達が倒したゴブリンの家を過ぎてしばらく歩くと――。


居ました。豚さんです。


この豚さんは、オークと言うらしいです。


ミカちゃんが。オークに気づかれる前に掌を向け――魔法を放ちました。


飛んで行った鏃は一瞬でオークの頭を貫きました。


周囲に注意しながら、倒したオークへ近づき討伐証明の耳を切り取ります。


切り終え、更に奥へと進みます。


またいました。


今度は3匹います。今度は僕が――。


掌をオークへ向けると、周囲の空気が一気に冷え込みます。


水滴がオークに降りかかると……3匹のオークは凍り付き動かなくなりました。

僕もミカちゃんも、注意しながらそれに近づきました。


もうお亡くなりになっています。


ミカちゃんが、胸の辺りをナイフで切り裂きました。


中から、魔石を取り出し今度は耳を切り裂きます。


やっと4匹です。


この周囲を見回りましたが、オークはいません。


そんなに数は多くない様です。


もっと奥に進むと――。


奥の方から、『ガルルルルルー』という、唸り声が複数聞こえてきました。


この声は僕も初めてです。


いつの間にか。僕達を囲む様に集まり――犬に似た生き物が威嚇してきました。

僕もミカちゃんも掌を犬に向け、魔法の発動体勢に入ります。


すると、前方から僕の40倍以上、ミカちゃんの4倍は大きい犬が出てきます。

これは、早めに倒さないと危険です。


僕は爪を飛ばすと同時に、その犬に飛び掛りました。


飛んで行った爪は、犬の鼻先をかすり後ろにいた犬の頭部に当りました。


『ギャン』爪が当った犬は悲鳴を上げてその場に倒れます。


一方、僕は巨大な犬の足元を潜り抜け、通り過ぎる前に後ろ足をつめで切りつけました。

切り付けられた犬は、悔しそうに奥歯をかみ締めその場にしゃがみ込みます。


ミカちゃんは――後ろから飛び掛ってきた犬に掌を翳すと――。


『ゴゴゴグワァーン』という、大音響の魔法を発動しました。


「負けないにゃ!」


ピカピカ周囲が光った瞬間――光の雨が犬に降り注ぎます。


その雨に打たれた犬は。所々から煙を噴出し、倒れました。


何時の間に、こんな強い魔法を覚えたんでしょうか?


後ろに回っていた犬の殆どが、ピクピク震えながら倒れます。


僕も負けてはいられません!


巨大な犬の頭目掛け飛んで、着地と同時に爪とぎをしました。


頭から赤い飛沫を飛ばし、犬は倒れ二度と起き上がりません。


僕とミカちゃんは、腰を落とし飛び掛る体勢の犬に何度も魔法を放ち――。


気づいた時には、犬は全滅していました。


この犬にも骨はあるのでしょうか?


ミカちゃんはいつもの様に、犬の耳を切っています。


僕もお手伝いをします。


体を切り裂き、中から骨を回収しました。


全部で骨は25個あります。中でも巨大な犬からは――いつもの3倍の大きさの骨が取れました。


さて、また豚さんを探さないと――。


犬を倒した場所の周囲には何もいなかったので、更に奥へと歩きます。


すると。目の前から5匹の固まった豚が歩いてきます。


僕もミカちゃんも。豚さんに視認される前に、掌を豚に向け――。


気づかれるとほぼ同時に、魔法を放ちます。


その攻撃をまともに受けた豚さんは、その場で倒れました。


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