第167話古代魔法
ーーーーーーーーーーーーーーーー
シークレットクエスト「ノアの手伝い。」クリア!!
アニの街のノアは神官の仕事を一人でしている為忙しそうだ。
少しでも彼を手伝ってあげよう。
・報酬
古代光魔法
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「結界破壊魔法・・・?」
「・・・ん。蘇生魔法。」
「そのとおりだ。そして読んで字のごとくの魔法だ。まずは蘇生魔法の説明をしよう。蘇生魔法とはその名の通り死んだものを生き返らせる魔法だ。だが一つ欠点があり死んでから5分以内にこの魔法を使わなければ意味がない。それ以降は魂がすでに体から離れフィリア様の元へ行ってしまっているからな。」
この世界の宗教ではそう教えられているのか。
恐らくだがフィリアの元にはいかないだろう。
何故なら彼女は150年間ゲームをしている。
「・・・ん。ならあんまり使えない?」
「そんなことはない。この魔法は他にも使いどころがあり、体のどの部分が欠損してもすぐに再生することが出来る。流れ人なら時間が経ったり魔法で少しずつ直すことが出来るらしいが、この魔法なら一発だ。なんせ回復魔法、光魔法の最高峰の魔法だからな。どうかね?覚える気になったかね?」
「・・・ん。覚える。それで少しでもウィルの役に立てるなら。」
「そうかね。君は愛されてるみたいだね。」
そう言うとノアは孫を見るような眼で僕らをみたのが僕は少し恥ずかしかった。
しかし僕にはその表情からはどこか焦ったようにも見てとれた・・・。
「次に結界破壊魔法だね。まずは結界魔法を知っているかい?」
「・・・結界魔法は魔法陣上にある物質を魔法陣の中に閉じ込める魔法・・・ですか?」
「その通りだ。そして結界魔法には普通の魔法のように「初級」「中級」「上級」「王級」「神級」とあるんだ。それらの魔法はもちろん初級は弱く、神級は強くできている。まぁ兎に角、結界破壊魔法は
それらの結界を破壊する魔法なんだ。」
「破壊・・・。という言葉がピンとこないんですがそれは力で壊す・・・という意味ですか?」
「いや。結界魔法には壊し方が二種類あって一つが物理的に力技で壊す方法。そしてもう一つが結界の魔力を利用して知恵の輪のように結界を外す方法だ。今回のは後者に当たる。と言ってもこの方法は私しかできない技だがな。」
「ん。そんな方法を何で知ってるの?と言うか教えていいの?」
エリーゼの言葉にノアはどこか寂しそうに髭を撫でながら答えてくれた。
「うむ。実は私も勇者様、つまり初代国王の末裔でな。これは初代様しか使えなかった魔法を私が見つけ再び再現した魔法だ。この魔法はだれっでもできるわけではないのだよ。雷魔法が使えるものでないとならない。」
そう言うとノアは体に雷を纏わして見せてくれた。
「・・・攻撃魔法は使えないかったのでは?」
「はっはっは!!私は雷は纏えてもそれまでなのさ。これを使って攻撃をすることはおろか、喧嘩も碌にしたことのない平和主義者なのさ。」
ノアは雷魔法を解き、再び髭を撫でながら話をつづけた。
「・・・この魔法はね。誰でも使っていい魔法ではないのだよ。結界魔法はモンスターを捕まえるときにも使用するが基本的に犯罪者を捕まえるときや街の防衛に使うことが多い。そのため簡単に人に教えていい魔法ではない。・・・では何故自分たちに教えるのか、と言う顔をしているね。簡単に言えば私は君たちが気に入った。そして君たちは指輪を持ちその資格があると考えたからだよ。」
そう言うとノアは壁際の本棚まで行き迷わず二冊の本を手に取り持ってきた。
「・・・まぁあまり時間がない。とりあえずエリーゼはこの本で人間の体のつくりから魔力の流れまでを頭に叩き込むのだ。魔法とは才能であり、知識であり、イメージ力である。まずは知識をつけなさい。話はそれからだ。」
「ん。わかった。」
エリーゼはノアから本を受け取るとそのまま壁際にあった簡素な机に座り本を読み始めた。
「・・・彼女は素直な子だな。将来は立派な神官になるだろう。流れ人でなければ是非部下に欲しかったよ。」
「・・・ええ。自慢の幼馴染です。」
「幼馴染・・・か。ふふ。そうか。・・・さて次は君の番だ。こっちに来なさい。」
そう言うと近くの魔法陣の中心に案内された。
「いいかい?まずはこの魔法陣を起動させるところから始めよう。地面に手を置いて魔力を流してごらん?字の書いてある所ならどこでも構わないから。」
そう言われ、僕は地面に手をつく。
地下であるため地面の石はひんやりと冷たく心地いいものだった。
が、魔力を流し始めるとだんだんほんのり暖かくなっていき魔力が文字に沿って流れているのがわかる。
魔力は文字と文字を結ぶように流れ、それはまるで糸と糸を結ぶように流れている。
次の瞬間魔法陣の一番外側の円に光が集まり僕らを囲うように円柱で半透明な光の壁が出来上がった・・・。
「・・・うむ。できたようだな。あとはもう手を離しても大丈夫だ。あとは周囲の魔力を吸いながら魔法陣は存在し続ける。」
僕はゆっくりと立ち上がり円柱の光の壁まで行き触ってみる。
半透明のそれは確かにそこに存在し、ほんのり暖かかった・・・。
「この魔法陣は初級だ。私は上級までしか使えんのでな。では始めよう。まずはその壁を触りながら魔力を感じてみなさい。・・・どんな感じがする?」
「・・・ほんのり暖かく、下から上に向かって流れている気がします。」
「ほう・・・君は優秀だな。その通りだ。全く私がそれを感じられるようになるまでに一か月はかかったというのに・・・。まぁいい。では次に私がお手本を見せよう。そのまま壁を触っていなさい。」
そう言うとノアはゆっくりと僕の隣まで来て壁に触る。
ノアは一度深呼吸をした後手から微弱の雷を流し始めた。
・・・ノアの魔力は壁を伝いゆっくりと地面全体まで魔力を逆流していき、先ほど僕の魔力で結んでいった糸と糸をほどいていくようだった。
いくつかの魔力の糸をほどいた時突然壁が薄く歪んで感じ始めた。
「・・・行くよ?」
ノアは小声で、そしてはっきりと僕に告げると目を見開き一気に手に魔力を集め壁を思いっきりつかんだ。
パリィィィィン!!という鏡が割れた音がしながら先ほどまであった壁が砕け消えていった・・・。
「・・・どうだったかね?」
「・・・はい。ノアの雷の魔力が地面へと伝い、糸をほどくように魔力をほどき魔力が歪み弱くなったところで最後は力で壊したように感じました。」
僕がそう言うとノアは一瞬驚いたような顔をした後、微笑みながら髭を撫でた。
「・・・やはり私の目に狂いはなかったようだ。・・・ではさっそく君もやってみよう。と言っても先ほど魔法陣を壊してしまったから少し待ってなさい。」
そう言いノアは振り返ると地面の魔法陣を見渡した後素早くしゃがみ文字を書き直していく。
よく見ると確かに先ほどまでとは違い、一部の文字が消えていた。
恐らくそこがノアが壊し、紐解いた部分なのだろう。
ノアが書き終わった後再び僕は魔力を流し魔法陣を完成させ、壁に手をやりノアの真似をしてみた。
ゆっくりと目を瞑り手に雷魔法を集め魔力を逆流させてみる。
が、魔力の流れに逆らうのは難しくどうしても流れていかない。
「・・・魔力が多いな・・・。そんなに力まなくていいよ。細い糸を垂らすイメージをするんだ。川の流れを逆らうように・・・ゆっくりと垂らしていくんだ・・・。」
いつの間にか隣からノアの優しい声がし、僕は言われた通りに魔力を細めて流れに逆らわせてみる。
・・・これはすごい集中力を使う。
額からふっくりと汗が流れてくるのがわかる。
しかし吹いている余裕はない、一瞬でも気を緩めたら魔力が再び弾かれてしまいそうだ・・・。
僕はゆっくりと魔力を流し地面を伝い文字の所まで持っていく。
・・・一体どれだけの時間を要したのかわからないがここまででかなりの時間を使っただろう・・・。
魔力は文字までたどり着き複雑に絡まった糸をゆっくりと丁寧にほどいていく。
ゆっくりと・・・慎重に・・・集中しながら・・・・。
いくつか糸をほどいた時、確かに手に伝わる魔力が歪み弱まったのを感じた。
「・・・いいぞ。あとは力技で行ける。一気に壊してごらん。」
再び隣からのノアの声にしたがい、僕は手に魔力を集め一気に魔法陣を握りつぶす・・・。
パリィィィィン!!という先ほどと同じようなガラスが割れたような音がし魔法陣は光の欠片となって消えていった・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・で、できました・・・。」
僕は思わず座り込んでしまった。
そこまで疲れているとは思わなかったが気づけば顔は汗でびっしょりと濡れており、魔力も残り少なかった・・・。
「ん。おめでとうウィル。いい子いい子してあげる。」
いつの間にか近くに来ていたエリーゼに頭を撫でられて恥ずかしかったが、それを払う体力や気力すらすでに残っていなかった・・・。
「・・・ふむ。一時間はかかったが・・・。まさか初日で・・・。これなら・・・間に合うか・・・。」
ノアはエリーゼに子供のように撫でられている僕を見ながらぶつぶつと何かをつぶやいていた・・・。
「・・・一時間!?もうそんなに時間が経ったのですか?」
「ん。正確には一時間十二分。ウィルが倒れないか先輩だった。」
僕は思わず開いた口が塞がらなかった・・・。
そんなに時間が経っていたとは・・・。
・・・と言うか僕結構集中力あるんだな・・・。
僕結構やるじゃん・・・。
「・・・ところでエリーゼの方は順調?」
「ん。もう全部覚えた。」
「「・・・・・・・は?」」
「?・・・ん。全部覚えたよ?」
「・・・いやいやいや・・・。それを全部かい!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
エリーゼは手に持っている辞書のような本を二冊ともすでに暗記したらしい・・・。
フィリア様もびっくりな天才やでこの子、末恐ろしい・・・。
エリーゼが天才なのは知っているがここまでとは・・・。
「ま、まぁ・・・。今日はここまでにしよう・・・。今日は疲れただろうからもう帰りなさい・・・。わ、私が1年かけて覚えた本を・・・。」
ノアのメンツの為にも最後の方は声が小さくて聞こえなかったことにしよう。
エリーゼはどうしたの?と言う顔をしている。
お前のせいでご老人が傷ついてるんだが。
こうして僕らは放心しているご老人をほっといて今日は帰ることにした・・・。
帰り際ノアを見たら普段より5歳は老けて見えた、可愛そうに・・・。
次の日も治療にその後は僕だけ残り魔法陣破壊魔法の練習を繰り返していた。
だんだんコツも分かってきて時間短縮できるようになった。
そして中級魔法陣、上級魔法陣、と成功させるのに3日かかった。
何とか次のイベントまでには間に合ったようだ・・・。
「う、うむ・・・。ここまでとは・・・。また明日来なさい。明日の治療の時間の後に、そろそろ治療の方も落ち着いたしな。それでもう私の教えることはないだろう・・・。」
「分かりました。ありがとうございます。」
この日は早めに帰り,明日最後の仕上げに取り掛かるようだ・・・。
「・・・そっかー。なら私達と明日はゆっくりアニの街の観光でもどう?」
「賛成ー!!絵里奈の宿題も終わったことだしね!!」
「うむ!!皆ありがとう!!これでやっとAOLに集中できる!!」
「ん。絵里奈よくやった。褒めて遣わす。」
「じゃあ明日は皆で観光と、そのあとウィルだけ残って最後の仕上げという流れね。」
「うん。そうなると思う。しかし観光かぁ・・・。アニの街そんなに見るところないんじゃない?」
「肉が食いたい!!」
「ユイはこの間のサンドイッチみたいなの食べたいー!!」
「あらいいわね。確かにあれは美味しかったわね。」
「ん。いい仕事してた。あれは是非ウィルに覚えてもらって再現してもらうべ物である。」
「さすがの僕でもお肉に2時間出汁をかけ続けるのは勘弁してほしいなぁ・・・。」
兎に角明日の予定が決まり、僕らは今日はゆっくり休んだ。
日が変わりイベントは3日後。
1クランから出場できる人数は限られているの「カンパニー」からは僕とユイが出ることになっている
。
だが、僕らはイベントには参加しなかった。
次の日に起こる事件のせいで僕らのもう一つの人生は大きく変わってしまう・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます