第140話サバイバル島、その16
・ケロケロケロべロス LV84
体は大きな犬、そしてカエルの顔が3つある。
なんて気持ち悪い奴なんだ・・・。
そんなことより・・・。
そんなことより皆が無事でよかった・・・。
「ウィルさん!!泣いているんですか?確かにあのカエルは可愛いですが・・・。」
「確かにかわいいなぁ。くりくりした目がたまらんわ・・・。でも泣くほどやろか?」
「また泣いてるんですね!!それに座長と卍さんの方が可愛いです!!」
うるさいな・・・・。
ってかこのタイミングで二人を口説くってフクチョーどんな神経してるんだ・・・。
「お兄ちゃん!!会えたのは嬉しいけど助けて!!」
「そうよ!!結構やばいの!!」
「ん。後で頭撫でてあげるから。」
「私は抱きしめてあげる。でも今はアイツよ!・・・ってきたわ!みんな飛んで!!」
ケロケロケロべロスは大きくジャンプする。
そして着地した衝撃波で地面が大きく揺れる。
「きゃ!?」
フクチョーはジャンプしそこなって衝撃波によって攻撃を食らう。
そして頭上には「痺れ」の文字が出て動けなくなってしまう。
左の顔のケロべロスはすかさず口に魔力を溜め、火炎放射器のように炎を吐き出す。
「ったく仕方ないな。感動してる暇もないのかよ・・・。」
僕は着地と同時に「俊足」を使い、フクチョーを肩に担いで攻撃をよける。
「何してんですか!?こういう時はお姫様抱っこと相場は決まっているじゃないですか!?」
「そんなもんは知らん。まぁそれだけ元気があれば大丈夫だな。」
フクチョーを肩からおろし、僕らも武器を構える。
「ん。左の顔は炎系統の魔法を使う。右は水、真ん中は光魔法で回復役。」
「かなり厄介な相手みたいだな。なら真ん中から攻撃するのがセオリーか。」
「そうもいかないのよ。さっきからアイリスが試みているのだけれど、中々うまくいかなくて・・・。」
エリーゼや、エリザベスと話している間にもアイリスが突撃するが左右の顔が魔法を吐き、中々近づけないでいる。
「なら僕と卍さんも行って、三人で囮になろう。いいですか?」
「もちろん!!行きましょう!!」
僕と卍さんは駆け出す。
その瞬間、左右の顔から魔法が飛んでくる。
「「はぁぁぁぁ!!」」
僕らは同時に剣に魔法を込め、魔法を切り裂く。
魔法は真っ二つに分かれ道ができる。
「アイリスと卍さんは左を!!」
僕は叫び、僕らは左右に分かれて駆け出す。
僕は水魔法を使うカエルの方だ。
カエルは口をしぼめ水鉄砲を高速で吐き出してくる。
「雷神衣威」「空間把握」!!」
僕は高速で、五感をフルに使い水鉄砲をよける。
その隙に後方から魔法と矢が中央の顔に飛んでいく。
「「「ワン!!」」」
ケロべロスは尻尾に魔力を集め、頭の上から顔の前に持っていきそれを叩き落す。
あの尻尾固いな・・・。
というか泣き声「ワン」なんだな・・・。
横目で左側を見ると二人は何とか顔に近づこうとするが炎の壁に遮られ、苦戦しているようだった。
「!?」
ケロべロスはそのまま尻尾を横に振りこちらに叩きつけてくる。
攻撃範囲が広い。
どんだけでかい尻尾なんだ・・・。
間一髪で横に飛び、何とかかわす。
が、地面が砕けて瓦礫が飛んでくるのと同時に右の顔が水鉄砲を撃ってくる。
「くそっ!!・・・ッッウッ!?」
砕け飛び交う瓦礫を足場に何とかかわしていたが、避けきれず水鉄砲が足に当たる。
僕は足に痛みが走り、僕は瓦礫から足を滑らせて落ちてしまう。
「・・・しまっ・・・!?」
僕が落ちたのを見はからい、ケロべロスは僕の心臓めがけ水鉄砲を放つ。
・・・避けきれない・・・。
「アイスウォール!!」
僕の正面に氷の壁ができ、水鉄砲を受け止めてくれる。
助かった・・・・・・・!?
「・・・がはっ・・・。」
氷の壁が水鉄砲を受けて砕けた瞬間、その奥から尻尾がが迫り、僕は後方に弾き飛ばされる。
僕はそのまま後ろの壁に背中から叩きつけられる。
「「「「ウィル!?」」」」
僕のHPは残り4割。
かなりのダメージを食らってしまった。
すかさずエリーゼが回復してくれる。
だが、「雷神衣威」を使って最速で動いても攻撃を食らってしまうなんて・・・。
「「きゃぁぁ!!??」」
その瞬間、左の顔を狙っていた二人も尻尾にやられ後方まで飛んでくる。
「「「ワン!!」」」
ケロべロスは「やったぜ」と言わんばかりに力こぶしを作って、尻尾を大きく揺らしている。
・・・くそ、あのカエル犬め・・・。
「あの尻尾が邪魔だな・・・。」
「そうね。一番邪魔なのはあの尻尾ね・・・。」
「ん。あれを攻略しないと、どうにもならない。」
「う~~。いったいなぁ・・・。」
「何かいい方法は・・・。「アイスウォール」!!」
僕らが話している間にもケロべロスの魔法は飛んでくる。
エリザベスが何とか魔法で食い止めてくれているが、それも時間の問題だ。
僕らは再び攻撃を仕掛ける。
「「「・・・ガハッ!?」」」
だが再び尻尾にはじき返されてしまう。
このままじゃダメだ・・・。
もっと速く・・・。
さらに速く・・・。
まだ回復しきれていない2人を置いて僕は駆け出す。
二人が回復する時間を稼がなくてはならない。
左右から魔法が飛んでくる。
僕一人ではこれは斬れない。
「「雷神衣威」「空間把握」「俊足」!!」
「雷神衣威」「俊足」の速度上昇を二つ使うと、足に負担がかかりすぎて、それだけで足が痛くなり、毎秒ごとに自分自身にダメージを受けてしまう。
それでも誰かが、あの攻撃を潜り抜けなければ・・・。
僕は足の痛みを我慢し、歯を食いしばり魔法を躱す。
するとすぐ目の前に尻尾が迫るが、地面に這いつくばるようにそれを躱す。
が、尻尾が通り過ぎた風圧により左に吹き飛ばされる。
僕の着地を狙って左右から火と水の鉄砲が雨のように飛んでくる。
「はぁあああ!!」
僕は限界まで足を使い、飛ばされた勢いに乗り、着地と同時に壁際まで走る。
魔法は僕の奥の壁に大量に当たり、瓦礫の山が降ってくる。
それを利用し、「「空間把握」によって最大限感覚を研ぎすまし、飛んでくる足場を利用しジャンプしながら飛んでいく。
魔法と、瓦礫。
上に下に、右に左に・・・。
素早く瓦礫から瓦礫へ、時に壁を駆けながらケロべロスの真横までくる。
その瞬間ケロべロスの右側の顔が切り落とされる。
卍さんだ。
ケロべロスは僕に気を取られ、エリザベスやクリスたちの魔法を尻尾で防いでいたため、アイリスと卍さんに気づかなかったらしい。
アイリスがお得意の人間砲弾になり卍さんを投げ飛ばし、卍さんが渾身の「切断剣」で首を切り落としだのだ。
「「ワン!!??」」
二つの顔は動揺し後ろに下がる。
その動揺を見逃さないように、僕は尻尾を、卍さんは真ん中の顔目掛け走り出す。
あと20m。
15m・・・。
10m・・・
5m・・・。
入る!!
息を合わせたように僕と卍さんの剣は、ケロべロスに向かって振り落とされる。
「「ワン!!」」
ケロべロスは横に高速回転するように回り、僕は尻尾に、卍さんは前足に蹴られ左右の壁に吹き飛ばされる。
「「・・・がはっ・・・。」」
二人は同時に壁に当たり、瓦礫と共に地面に落ちていく。
アイリスは二人の努力を無駄にしないようにケロべロスに向かい走り出す。
皆も魔法と矢を放つが、ケロべロスは大きくジャンプし全ての攻撃をかわす。
そして思い切り着地し、その衝撃波によって全員後方まで吹き飛ばされる。
僕と卍さんのHPは2割以下。
皆も6割近く減らされる・・・・。
ケロべロスのHPはHPバーあと2本、顔は二つ・・・。
だが、僕らの全力の攻撃でも顔一つ切り落とすのが限界だ。
それにもう今みたいな不意打ちはできないだろう・・・。
「ん。皆近寄って。「エリアミドルヒール」。」
エリーゼの範囲回復魔法で僕らは回復する。
だが、同時にケロべロスにも時間を与えてしまい回復させてしまう。
「「「「「・・・え?」」」」」
ケロべロスの回復力は、僕らの想像をはるかに凌ぎ、切り落としたはずの右の顔が再生する。
「・・・マジかよ・・・。」
「せっかく切り落としたのに~。」
「これは、厳しいわね・・・。」
「ん。あれは反則・・・。」
「どうしましょう・・・。」
「何かいい手はないかしら・・・。」
「さすがに8人じゃ厳しすぎたやろか・・・。」
流石に皆動揺を隠しきれない。
・・・一人を除いては・・・。
「ふう・・・。仕方ありませんね。最終兵器を出しましょう。」
そう言うと、副長はメニュー画面を開きいじりだす。
「最終兵器・・・?」
僕は思わず卍さんと座長さんに問いかける。
「いえ、そんなものはないはずですが・・・。」
「うちも知りません・・・。」
「・・・さあ!これで形勢逆転を狙いましょう!!アイリスさん!!これを思いっきりアイツの頭上目掛けてぶん投げてください!!姉さまとウィルはこれに飛び込んでください!!」
「・・・なんでそんなもん持ってんだ・・・?」
「これは本当はウィルさんを倒すための最終兵器として持ってきたのですが仕方ありません。今使います!!」
「持ってたならもっと早く出してよ・・・。」
「すみませんお姉様!!ですがこれくらいしないとウィルを倒せないと思って・・・。」
「そんなに僕が憎いのか!?」
「ええ!姉様の心を射止めたあなたが憎いです!!これであなたを仕留めて私は姉様の心を射止めるはずでした!!」
「い、射止められてない!!私はただプレイヤーとして尊敬してただけで・・・。」
「・・・最悪の計画を練っていたんだな・・・。だが今は助かる。」
「お兄ちゃん達!!もう投げたよ!!どうするの!?」
「・・・卍さん!!」
「はい!!」
今はフックチョーの策に乗ろう。
これで形勢逆転できることを願って・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます