第56話レイド戦後編


とりあえず悪い奴らではなさそうだ。

それが一応彼らに対する僕らの見解だった。

アイリスの話によると彼らは、皆男性、廃ゲーマー、彼女なしという集団らしい。

たまに彼女がいるだけで、攻撃してくる頭のおかしい集団がいるが彼らは違うらしい。

むしろ彼女が欲しい。が、ほとんど女性と話せないらしい。

そして変態が多いとのこと。

とりあえずみんなに被害がないように警戒だけはしておこう。




「「「「「「「おかえりなさいませ!!女王様」」」」」」」


めっちゃ話してんじゃん。悪魔結社。

いや、この場合エリザベスがすごいのか?


「港はあちらでございます。お姉さま方、兄貴!!」

「「「「「兄貴?」」」」」


「はい、ウィルの兄貴。リアルハーレムのあなたを俺らは兄貴と呼ばせていただくことにしました!」

「俺らにもハーレムの極意を教えてください!!兄貴!!」

「俺は年上お姉さんがいいです!!クリスさんみたいな!!」

「俺はエリザベス様がいいです!!踏んでください!!」

「俺はアイリスさんがいいです!!笑顔がまぶしいです!!」

「俺はエリーゼさんがいいです!!その冷たいまなざしで見てください!!」

「俺は、・・・俺は・・・選べません!!とにかく女の子と話せるようになりたいです!!」


間違いない。こいつらは敵だ。最後のやつを除いて・・・。

しかも変態が多いのは情報通りだな。最後のやつを除いて・・・・。


「あら、ありがとう。でもうちの子たちはみんなウィルのものよ?私を含めてね。」


「あ、兄貴!!ずるいっすよ!!どうしたらそんな・・・。」

「そ、そうっすよ。何か極意が?」

「極意だと!?ぜひ伝授してくれ!!いや、ください!!」

「まさか壁ドンとか!?」

「馬鹿やろ!古いわ!!今はあごクイだ!!」

「そうなのか?で、できる気がしない・・・。」

「と、とりあえず相手の目を見て話すとか・・・?」


頑張れ!最後の子!!極意があれば教えてあげたいのに・・・・。



「そうね。しいて言うなら器かしら?」

「やさしさね。」

「かっこよさだよ!!」

「ん。存在。」


「そ、存在かぁ・・・・。」

「リーダー!!存在って落ちてないのか!?」

「掲示板だ!?情報を集めろ!!」

「優しさと、カッコよさはどうする??」

「とりあえずカッコよさは捨てろ!!俺たちには不可能だ!!」

「そんなはっきり言うな!!泣きたくなる!!」

「器ってなんだ?昨日食べたあれか?」

「存在・・・。来世こそは・・・。」



逝くな!!最後の逝くな!!お前ならいい彼女ができる!!気がする!!


というかやっぱめっちゃ話せてるやん。



そんなこんなで港に着きました。


「錨を上げろ!!帆を張れ!!出航だーー!!」


船の先に「ダブルナイツ」真ん中に「カンパニー」後ろに「悪魔結社」の配置になった。


「ダブルナイツ」はヒーラーがいなく、「悪魔結社」はいるがレベルが低いため、エリーゼが全体をカバーできるようにこの配置だ。

オリバーは目立つから前がいいといい悪魔結社は日影がある後ろがいいといった。自分らは日影が似合うと・・・。まずそこを治さないと彼女は厳しいかもしれない。


皆装備の点検をし、ボスに備える。



15分くらい経つと空間がゆがむ。

ゆっくりと大きなタコが出てきた。ただ顔がアニメチックで少しかわいかった。というかなんかすねてた・・・。


寂しがり屋のクラーケンLv48  



レベルは高い。わかっていたが。


エリーゼはすでに全員に各種ブーストをかけ始めている。

マナポーションは大量に買ってある。ガンガン行こうぜ、だ。


クラーケンはこちらに気づきうれしそうな顔をする。


あっ、拗ねていたんじゃなくて、寂しかったのか・・・。


そしてクラーケンは嬉しそうにこちらに来てタコ足を船に乗せてくる。

船が大きく揺れ皆体制を崩す。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

悪魔結社の一人がクラーケンの足につかまる。


まずいっ!?

だが皆体制を崩したままだ。船は大きく揺れている。


「お兄ちゃん!!剣に!!」


ロープに片手に持ち剣の腹を上にしてアイリスが呼んでくる。


マジかよ・・・。


やりたいことは何となくわかった。やりたくねぇなぁ。


が、言ってる場合ではないので、素直に剣に飛び乗る。


「思いきりいくよ!!っっは!!!」

「「ジャンプ」!うぉぉぉぉ!!??」


大剣の上に乗った僕をアイリスが思い切り飛ばす。

僕は飛ぶ瞬間ジャンプとダッシュを使い飛ぶが・・・予想以上に速い。まるでジェットコースターだ。


「っっっっはあぁぁぁ!!」


気合を入れクラーケンの足を切り船の後ろギリギリに止まる。


「うわわぁぁぁぁぁ……あれ・・・イテっ?」


いつの間にか足が切られ落下した男は状況が呑み込めていない。


「な、何が起きた!?」

「クラーケンの足が切られた!!」

「誰に!!??」

「わ、わからん!!」

「あっあそこ!!」


そこには剣を構えどうなったか確認しようと振り返る僕がいた。


「「「「「「「あ、兄貴ーーー!!??」」」」」」」」


「い、いつの間に!!??」

「はえぇ!!早すぎるぜ兄貴!!」

「神速だ「神速の兄貴」だ!!」

「「「神速の兄貴ありがとう!!!」」」


なんか変な名前で呼ばれた。が、そなこと気にしている場合ではない。


「お前ら集中しろ!!まだ始まったばかりだ!!」


「「「「「「「YES!神速の兄貴!!!」」」」」」」


・・・・・・・助けなきゃよかったかも。



クラーケンHpバー3本のうち一本目はクラーケンが楽しそうに船をバンバン叩くという攻撃みたいだ。クラーケンは楽しそうに遊んでるつもりかもしれないが、こちらからしたらたまったもんじゃない。

船は大きく揺れ戦いずらい。リアルの船だったらすでに沈没している。


「ダブルナイツ」はオリバーとリタがうまく盾で防ぎライリーが斧で切るという戦法みたいだ。フランジェシカはポーションを使い回復役に徹底してる。

「悪魔結社」はバランスがいいみたいできれいに攻撃を防ぎ、攻撃している。

「カンパニー」も負けじと頑張る。足をよけ、ロープに捕まりながら攻撃する。


HPバーは徐々に減り1本めは何とか削れた。


クラーケンは怒りだした。

遅くないか?怒るの。


クラーケンは足を鋭い槍のようにし攻撃してくる。

先ほどより早い!!


「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」


「ダブルナイツ」の盾ははじかれ攻撃を食らう。盾で防ぐにはレベルが足りないみたいだ。

フランジェシカとエリーゼの回復がうまくいき回復する。

オリバー達は盾をしまい剣で攻撃する。防ぎきれないと判断したようだ。


「悪魔結社」は相変わらずうまい連携で攻撃する。が、クラーケンの素早い連携に徐々に連携を崩され攻撃を食らう。


「エリアヒール」


「悪魔結社」にエリーゼの魔法が当たり難を逃れる。


「「!?・・ありがとう!!・・・・・ございました。」」


「ん。気にしないで。私がいる限り誰も死なせない。だから頑張れ。」


エリーゼは乱れた髪を耳にかけ、さわやかな笑顔で言う。


「・・・・え?女神様・・・?」

「・・・彼女は女神なのか?」

「馬鹿野郎!!彼女は人間だ!!」

「・・・ってことは聖女様?」

「聖女様きたーー!!!!!」

「聖女様ありがとーー!!」

「なんて神々しいんだ。・・・なんて美しいんだ・・・。



「ん。集中。殺すよ?」



「・・・・聖女様は怖かった件について・・・・・。」

「・・・・だが美しかった件について・・・・・。」

「・・・だが優しかった件について・・・。」

「・・・あんな彼女が欲しい件について・・・」

「・・・確実に無理な件について・・・。」

「・・・話しかけろ事すらできない件について・・・。」

「・・・冷徹だ。「冷輝の聖女様」だ!!!」


アイツら結構余裕あるな。


エリーゼが戻ってくる。

「お疲れエリーゼ。」

「ん。やっぱりウィルのそばが落ち着く。」


「「「「「「「「神速の兄貴のばーーーーか!!!」」」」」」」


子供か。アイツら・・・。

エリーゼ。そんな冷たい目で見てやるな。


「なんて冷たい目をするんだ「令輝の聖女」は・・・」

「まるでごみを見る目だ・・・。」

「俺たちはゴミか・・・。わかっていてが・・・・。」

「だがそこがいい・・・・。」

「同感だ。あの目で殺されたい・・・・。」

「おれは踏まれたい。どこをとは言わない・・・。」

「俺、生まれ変わったら彼女とお友達になるんだ・・・・・・。」



最後の・・・・!!今世で頑張れ・・・!!


皆の頑張りのおかげで2本目も何とか削れる。


するとクラーケンは茹蛸のように真っ赤になり船から離れる。


「なんだ・・・・・・・?」

「何をする気だ・・・・・・?」


タコは口をすぼめるとバブルを吐き出した。

お邪魔なタートルがやってた攻撃だ。が、数が多い!


そのうえ遠くから足でまた攻撃してきた。


「これはっっっきついな!!」


足は目が慣れたおかげでよけられるがよけた先にバブル攻撃が来る。


よけてははじかれ、よけてははじかれ・・・・。


なかなか攻撃に転じられない。


「しまった・・・・・!!」


「悪魔結社」の一人が逃げ場のない状況に追いつめられる。

エリーゼの回復も間に合わない・・・・・・。


やられたっ!!


そう思った瞬間氷の塊が彼の近くのバブル攻撃に当たり彼を吹き飛ばす。

が、このおかげでクラーケンの足をよけ、難を逃れる。


「もう氷魔法が使えるだと・・・?」

「・・・誰だ!!誰が使った!!」

「女王様だ!!女王様がお使いになった!!」

「氷だ!!「氷の女王様だ!!」

「俺にも氷を当ててくれ!!おなかに!!

「俺にもだ「「氷の女王様」!!場所は・・・・今は言えない!!」

「俺は全身凍らせて殺してください。」



どMが過ぎるよ最後の!!強く生きて!!


だが攻撃をよけただけで一向にらちが明かない。


「お兄ちゃん!!もう一回!!」


アイリスが剣を構えている。


・・・マジですか?・・・どこにですか?・・・行先を聞いても・・・?


まぁクラーケン本体しかないだろう・・・。


このままでは負けてしまう。

皆割とギリギリだ。


腹をくくり剣に飛び乗る。

「思いっきり頼む!!」

「もちろん!!」


兄を飛ばす妹。今どんな心境ですか?なんでそんないい笑顔なんですか?お兄ちゃんが嫌いになりましたか?教えてください。お兄ちゃんは泣きそうです。


「いっけーー!!!」


ブォォン!!という音とともに僕は宙を舞う。


「あ、兄貴をぶん投げたーーー!!」

「じ、実の兄貴をぶん投げたーー!!」

「あ、悪魔ですか?あなたはーー!!??」

「い、いやあの笑顔は天使そのものだ!!」

「堕天使だ!!「堕天使の大剣」だ!!」

「堕天使!!切ってくれ!!俺も切ってくれ!!」

「真っ二つにしてください。」


最後の・・・。あとで飲みに行こう。ジュースししか飲めないけど・・・。



クラーケンんが飛んでいる僕に足を向ける。


ですよね?恰好の的ですよね?


「ぐぁぁぁぁぁ!?」


突然クラーケンが苦しみだす。

よく見ると目に矢が刺さっている。


「すげぇ!!あの距離を当てやがった!!」

「なんて命中率だ!!」

「鷹の目だ!!「鷹の目のお姉さま」だ!!」

「おねーーさまーー!!俺の心も打ちぬかれました!!」

「俺も俺も!!本当に撃ってきてもかまいません!!」

「射貫かれたい!!・・・・・・どこをとは言わない!!」

「心臓を射貫いてください。」



僕の心配しろや!!今大きなクラーケン向けて飛ばされてんだぞ!!


後最期の!お前も大変かもしれんが僕を見ろ!妹にぶんなげられてる!こんな悲しいことはない!お互い頑張ろうぜ!


苦しんでいたクラーケンが再び足をこちらに向け攻撃してくる。

僕は何とか体をひねり攻撃をかわす。


「はぁぁぁぁぁ!!」


そのまま剣を頭に突き立てる。


「ぐぁぁぁぁぁ!?」

「うわわぁぁぁぁ!?」


クラーケンの頭上にクリティカルの文字。

クラーケンが暴れ、ぬるぬるの頭の上にいる僕は滑り・・・・・剣を突き刺し何とか耐える。

そのまま腰にあった宝石のついた短剣を取り出し、頭に乱れ切りをする。


「はぁぁぁぁぁ!!」



「「「「「「「「いっけーー!!兄貴ーーーーー!!」」」」」」」


「お兄ちゃん!!頑張れ!!」


「「「ウィル!!いっけー!!」




皆の声援が聞こえ僕はそれにこたえようと剣を振るう。


「はぁぁぁぁぁ!!!!」

「ぐぁぁぁぁぁ!?」


クラーケンは苦しそうに頭を振るが僕は必死に剣にしがみつき剣を振るう。


「はぁぁぁぁぁ!!乱れ切りーー!!」


ぱぁぁぁん!!


突然クラーケンははじけ、青い光となって消えていく・・・。


「「「「「「「「「「「「や、やったーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」


僕は手を上げみんなの歓声に答えようとするが、ここはクラーケンの頭上・・。


「っま、まさか・・・・うわぁぁぁやっぱりぃぃぃぃ!!??」


当然海に落ちる。


スキル【水泳】を覚えました



やかましいわ!!



僕は何とか泳ぎ船にたどり着く。


「ほらよ。全く無茶しやがって・・・。」

「サンキュ。はは、まぁ勝ったからいいじゃないか。」


オリバーがロープを投げてくれ、引き上げられる。


つるっ


「「うおぉぉぉぉ!?」」


僕がオリバーを押し倒しそのまま倒れる。


「きぃぃぃぃぃたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


クラーケンの頭上にいたためぬるぬるな僕は滑りオリバーの上にいる。


それを見たフランジェシカが壊れる・・・・。


「きたきたきた!!BL最高ーーぶぅぅぅぅぅぅ・・・・・!」

フランジェシカは鼻血を吹いて倒れる。


「あ、兄貴は男も行けるのか・・・?」

「そ、そこまで行けるのか?さすがハーレム兄貴・・・。」

「僕には真似できない。」

「僕には真似できない。」

「僕には真似できない。」

「僕には真似できない。」

「一生ついていきます!!兄貴!!」



ついてくんな!!


僕は何とか誤解を解き、最悪の結末は何とか避けられたのだった・・・・・・・。

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