第47話王様との面会
昨日はジャックと別れたあと、僕らはフェラールに出向き装備のメンテナンスにポーション類と、食材を買った。
食材は王都よりフェラールの方が安いためだ。あとは簡単な掃除道具を買った。
残金90G。
いつになったら貧乏から抜け出せるのか・・・。
さてさて僕らはジャックとケイトに迎えにきてもらい、仰々しく馬車で向かった。服装は流れ人である為今回はこのままでも大丈夫との事。
門番の代わりにジャックにフェラール伯爵から貰っていた手紙は渡してある。
「わー!近くで見ると本当にでかいね!」
「本当ね。あれが浮いてるなんて考えられないわ。」
「ん。壮大。」
「ふふ、楽しみね」
城は遠見ではわからなかったが鎖で地面といくつもつか流れているようだ
馬車は門の中に入ると地面から鎖がいくつか生えてる野球グランドみたいな広場の中央にある、岩の上に立つ。すると岩が浮き鎖に沿って動き出す。天然のエスカレーターだ。
「これ、どうやって動いているんですか?」
「浮遊石は魔力が溜まると浮き、減ると沈む。あそこに立っている男の前に小さな岩があるだろ?あれで出し入れして魔力を調節して動いているんだ。」
すごい技術だ。城も多少であるなら動かせるらしい。なんでもありだな魔法。
「じゃああの石をこっそり少し盗めばアイリスも飛べるの?」
「ハハッ!残念ながら飛べないな。浮遊石は不思議な石でな。削るとただの石になるんだ。だから飛べないよ。」
「ぶーー。ナイスアイデアだと思ったのに。」
頭の上の耳をぺたんと閉じすねるアイリス。
隊長殿の前で何盗む計画してんだこいつ。
静かに石の動きは止まる。思ったより快適だった。
「うわーー!すごい景色!!フェラール見えるかなー!?」
「はっはっはっ!流石にフェラールは見えねぇな!フェラール山脈が邪魔しちまってるからな。ほら、クロス町と小さくボーズ街は見えんぜ?あと試練の塔もな。」
そこはすごい景色だった。
都内の展望台は何ヶ所か行ったことあるがそれとはまるで違う壮大さがある。
これを見るだけでAOLをやってる価値はあるかもしれない。
小さな城壁があり門をくぐる。
驚いとことに城門の中に街があるまるで空飛ぶモンサンミッシェルのようだ。門をくぐり風景が見えなくなるとここが浮いた城であることを忘れてしまいそうになる。
城の中に入るとそこには石作の壁にきれいの模様が描かれ赤い絨毯にこれでもかというくらいの大きいシャンデリアがあった。これだけでも、この国がどの程度の財力と技術があるのかがうかがえる。
「まずは、玉座の間まで来てほしい。礼儀は俺の真似をしてくれれば大丈夫だから。その後、王の応接室で、王との面会予定だ。」
玉座の間。その言葉だけで少し緊張する。
正面の階段を上り、正面にある豪華な装飾がしてある大きな扉の前で止まる。
すると左右にいた兵士がこちらに駆け寄りジャックと何か話をする。
まさか・・・。
「四番隊隊長殿、四番隊副隊長殿、流れ人のご一行の、おなーーーりーーーー!!」
いった!!言いやがった!!本当に言うんだ!!
アイリスは「おおーー!!」と感動している。これは仕方ない。クリスも感動している。
エリザベスの、当然、という顔しているのが不思議でならない。エリーゼは興味なさそうだ。
ゴゴゴゴゴゴ、と左右の扉が開く。
中は今までで一番豪華な装飾、赤いじゅうたん。シャンデリアが何個も続いている。
というか王様遠いな。
左右には兵士や貴族が並んでいた。一番奥にはアレクサンドラ第二王子、アメリア第一王女もいる。
絨毯の上を7割ほど進むとジャックたちが止まったので僕らもマネする。
「ヘンリー・エレクトリカル王様、イザベラ・エレクトリカル女王様、おなーーーりーーーー!!」
いやぁ、声出てるなーー。しかもイケボやん自分。
全員が右手を左胸に添え、左足を半歩下げ膝をつく。
僕らも慌ててマネをする。
チラッと正面を見ると白いマントに金髪をオールバックにしてかなりイケメンの王様と、白いドレスを身にまとい、サラサラなウェーブの金の髪をした女王様が玉座に座った。
存在感が半端じゃない。もしかしたら言われなくても体が勝手に膝をついてしまうかもしれない。
王様と目が合うと、微笑みながらうなずいてくれた。緊張がほぐれていく。いい王様なのかもしれないな。
「面を上げよ。」
低い声で、それでいて決して大きな声を発しているわけでもないのによく遠る声で王様はしゃべる。
政治家は声質としゃべり方が大事だと聞いたことがあるがまさにその通りだと、今実感する。
「四番隊隊長ジャック、そして副隊長ケイト。ご苦労じゃ。そして流れ人の方々よ。よう来てくれた。わしがヘンリー・エレクトリカルじゃ。そしてこっちがわしの妻イザベラ・エレクトリカルじゃ。」
イザベラは軽く会釈する。
「さて、今回は我が子らが迷惑をかけた。そしてよう救ってくれた。そのことに対し深く謝罪と、そして感謝をしたい。」
「四番隊隊長ジャックと副隊長ケイトおぬしらもようやってくれた。」
「「はっ、もったいないお言葉。」」
誰だ君たちは。僕の知ってる二人はそんなまじめな感じではなくただの酔っぱらいだ。
「二人には後日褒美を取らせる。よいな?」
「「はっ、ありがたき幸せ」」
「そして流れ人諸君。君たちにもささやかながら褒美を用意した。受け取ってくれ。」
王の後ろにいた女性の一人が板の上に何かを載せてくる。
「まず袋には一人につき10万G入っている。収めてくれ。」
ありがたい。今残金が90Gしかないんだ。ありがたくもらっておこう。
「それとわしのサインが入ったカードを受け取ってくれ。それはわしが信頼できる人物にしか渡さない。そのカードの説明は後程、四番隊隊長ジャックからあるだろう。」
「次に諸君についてはフェラール伯爵から手紙を貰っておる。おぬしらは、始まりの森のボスを倒し娘の大事なものを届けてくれた、と。」
ゲコタの話ね。あったね。そんなこと。
「伯爵からおぬしらは信頼できる人物であると書いてある。わしらは今腕の立つ冒険者を集めている。理由は魔物の大繁殖に関係している。そこでギルドと連携し、ギルドカードに魔物を倒した数を記載させ、その数におおじた報酬を出している。もちろんこちらから直接素材の依頼などもしている。その協力をしてほしいのだ、受けてくれるか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
クエスト、【魔物を大量討伐しよう】
大国外、内に限らずモンスターを大量に討伐せよ。
数により報酬が変わってくる。
100体ーー10000G
1000体ーー50000G
5000体ーーミスリル鉱石、10000G
10000体ーー・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
このクエストを受けますか?
1、謹んでお受けいたします
2、申し訳ありません、お断りします
3、いゃー、めんどくさいっすよ、かえっていいっすか?
4、そんなことよりイザベラさん、パンツ見せていただけませんか?
5、そんなことより、おなーりーーってもう一回やって!おなーーーりーーって!!!
ーーーーーーーーーーーーーー
ちょいちょいふざけるよね。AOLって。
「「「「「謹んでお受けいたします」」」」」
「おお、そうか、よかった。では頼んだぞ。ではこれにて。」
そう言い王様は退出し、僕らは再び頭を下げる。その後僕らも退出、今度は応接室に向かう。
「では我々はここで待っている」
とある部屋の前でジャックとケイトは待つそうだ。
メイドが問らを開ける。
「おお!待っておったぞ!ほれ!早く座りなさい!!」
先ほどとは違いフレンドリーな王様がいた。女王様とおじいさんが一人いる。
「おおっやはり美人ぞろいだな!!おおそこの胸の大きいの、わしの嫁に「あ・な・た?」ううん!!冗談じゃて・・・。」
「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」
勇者の血筋は巨乳好きなのか?エマさんも巨乳だったしイザベラさんも巨乳だ。
「さ、さてさっそくじゃが指輪を見せてはくれんか?」
顔を引き締め話すが、まだ目がエリザベスの方をチラチラと見ている。
こいつ殴ってやりたい・・・。
僕が代表して指輪を見せる
「・・・やはり本物か。文献通りじゃ。実在したのか・・・。」
じっくり見たあと返される
「ありがとう。まさか生きている間に見れるとは思わなかった。」
僕らは以前聞いた、勇者の装備、鍵の存在、シークレットゾーンに存在する、これについて確認した。
「うむ。間違いない。といっても今まで存在が確認されなかった為、最近になってそうなんじゃないかという予想を立てたに過ぎない。その様子じゃ廃教会の話も聞いておろう?」
「はい。情報屋から聞きました。」
「何?情報屋じゃと?もしかしてジンか?」
僕は肯定する。
「そうか。ジンを知っているか。アイツはワシの知る限りこの国で五本指に入る情報屋じゃからな。ならワシから話す事はもうないかの。それが分かっている全てじゃ。だが一つ頼みごとをしても良いか?もし装備を見つけたらよこせとは言わん。ここに持ってきて見せてはくれないか?」
勿論構わないので承諾する。
「ありがとう。とりあえずフレンド登録しよう。その方が連絡が楽じゃ。それに代わりと言ってはなんだが何かあれば力になるぞ。」
まさか王様と友達になる日が来るとは・・・。
ジィジに今度自慢しよう。
「あとは何か欲しいものは無いか?ワシに出せるものがあれば出そう。一万年見つかっていない装備の探索依頼じゃ。一つくらい何か願いを叶えよう。」
王様の願いを叶えようってどの程度が正解なんだろう。迷うな。
「はいはーい!強い武器が欲しいです!」
「うーむ、武器か。申し訳ないが今武器は城でも足りていない状態での。繁殖期に向けて兵士の数を増やしているのでの。」
「ざんねーん。ならメイドさんが欲しいです!猫耳の!」
「ん。良いアイデア。猫耳のメイドがいい。」
さっきまでつまらなそうにしていたエリーゼが反応する。
どんだけ猫好きなんだよ・・・。
「ん?猫耳のメイドというと獣人ということか?それなら構わんよ。しかし戦闘出来るメイドとなると限られてくるのぉ。」
「んーん!違くてホームの家事をしてくれるメイドさん!料理と掃除と庭の手入れができる人。」
「ん。だから一人じゃ足りないニャ。二、三人必要ニャ。」
猫を貰うのに猫になる必要はないぞエリーゼ。
少し落ち着け。
「そういうことなら、あい分かった。特別に3人のメイドを用意しよう。もちろん給金もこちらが払う。それで良いか?」
「わーい!メイドさんにゃ!」
「ん。やったニャ。猫がニャ。猫が三匹ニャ。」
アイリスまで・・・。
エリーゼ来るのは獣人だからな。
猫じゃニャいからニャ?
「ク、クマさんメイドは居ないのかしら?」
「ん?いたかのぉ?」
「あら、庭師に一人居たわ。その子でいいんじゃない?」
「ん。待つニャ!正気かニャ?猫三匹ニャ!!」
「何よクマー!一人くらいいいじゃないクマー!」
もうお前らわざとだろう。
あとクリス。
クマーはない。
「後はいきなり人数が増えても色々困るだろうし納めときなさい。ほれ、宰相。」
「はっ!こちらに10万Gございます。お納めください。」
またまたG!!
有り難く頂戴する。
うちの女達のマネーは下着代に消えるからな。
こうして無事王様との面会を終え、ホームに帰るのだった。
「ニャーが二匹になってしまったニャー」
「クマー!!一クマゲットクマー!」
帰ってもうるさかった。
ーーーーーー
シークレットクエスト【国王に面会せよ】クリア!!
報酬
10万G
メイド三人
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