第45話試練の塔後編


「ヴぉい!ぞいずらばなんばんだ?いっばいお前ば&$%#&%$&|~==~))!!??」

「あっはっはっは!!!ね?何言ってるかわからないでしょ?あっはっはっは!!!」


それは引くレベルだった。

初めは何となくわかったが後半はひどすぎた。鼻ずまりか?


辺りを見回すとどうやら塔の最上階らしい。柱で所々屋根が支えられておりあとは壁も障害物もない。吹き抜ける風と景色がここの高さを教えてくれる。

金髪の少年は寝ていて起きない。気絶でもしているんだろうか。

リムルは全身黒の剣士風の格好に黒いマフラーをしていた。腰の剣は二本。


「ヴぉい!’&’$%$’&%##%&%’&$’$(’&&%(&$!!」

「ごめんごめん!!無視したんじゃないって!!そんなに怒らないで??馬鹿になんかしてないって!!それでその子になんか聞けた?あっ、その子もリムルが何言ってんのかわかんないか!!あっはっはっは!!!」


完全に馬鹿にしていた。いいのか奴隷?あれでもご主人様なんだろ?


「4’%&$’$%$’&%’&’$$%’!!&%$’&%?・・・・・・&%&%。」


もはや解けない暗号だった・・・。


「違うっぽいよ?どう見ても騎士団じゃないでしょ?冒険者だよ。多分。あっでもその少年とのこと知ってたから関係者かも。あっはっはっは!!!」


だからなぜわかる?

なんかの魔法か?



ぞくっ・・・・



関係者と聞いてリムルがこっちを睨んだ瞬間寒気がした・・・。

こいつには勝てない。

そう本能が叫んでいる。

フェラールのギルマスのような圧倒的な感じだが本質的に違う。冷たいのだ。

こいつからは氷のような冷たさが感じられる。人を平気で殺してきた。そんな感じ。


皆も感じ動けないようだ。エリザベスが人に圧倒されているのは生まれて初めて見た。

これはやばいかも。


ぞくっ


首筋に冷たいものを感じ本能的に一歩さがる。


フュン


先ほどまで僕がいたところにいつの間にか剣を振るったリムルいた


「$’&%$%’・・・・。」


だから何言ってるかわかんねぇよ。


僕も剣を抜く。リムルはいつの間にかもう一本抜いていた。


キィィンン!!


剣が交わる。

リムルは片手で余裕な顔をして止めた。


くそっ


キィィン!!キィィン!!


剣が何度も交わるがリムルは片手の剣で受け止めだんだんつまらなそうな顔をしている。


「あっはっはっは!!!無理無理!!リムルには勝てないよ!!君、リムルのレベルすら見えてないでしょ?」


わかってんだよそんなこと。


さっき観察した結果すべてが????だった。おそらくレベル差だろう。

相手の名前が見えないほど僕らには差がある。

だがここで僕が踏ん張らなきゃみんなが・・・・・・


「%$&%$’$($&%!!!」


リムルが何かプププに叫んだ瞬間僕の体に各種ブーストがかかる。


ちらっと横を見ると何とか杖を向けこちらに魔法をかけたエリーゼとまだ固まっているみんながいる。


この瞬間僕は、皆が誘拐されそうになった時のことを思い出した。

覆面の男たちに家族や幼馴染が連れ去られそうになるのを。


僕は怖かった。


ナイフを持った男たちがじゃない。

また家族を失うのがだ。


小さいころ、父さんは笑顔で出掛けたまま帰ってこなかった。死んだんだと理解するまでに半年かかった。その矢先新しい家族ができた。初めは戸惑ったがすぐ仲良くできた。それからすぐ僕はまた幸せを感じることができた。


それが、また奪われる。


僕はそれが怖かった。


「%$%$&$%$($(!!!・・・・・#$%%。」

リムルの声でハッとする。

プププとの会話は終わったようだ。


・・・・・・・・もう家族は奪わせない。


「はあぁぁぁぁぁっぁ!!」


思わず叫び気合を入れスキルを全開で使う。のこりMP の計算はしない。全力で行く。


僕の声におどろいたリムルは両手の剣を構える。


キィィィン!!


僕の剛力と兜割りでもやすやす受け止められる。


だからといって剣は止めない。止めるわけにはいかない。


早斬で左右に振る。が、止められる。

視界の端にリムルの右足が上がるのを見る。

魔力脚で蹴りを受け止める。が・・・。


「がぁ!!??」


まるで鉄パイプで殴られたような感覚とともに吹き飛ばされる。足をけられたのに一瞬意識が飛びそうになる。唇をかみ剣を地面に突き立て速度を落とす。

ギリギリのところで塔から落ちずに止まる。


急いで起き上がると目の前にすでにリムルはいた。


「チッ・・・」

リムルの剣を頭を下げよけ、右からくる剣を受けるが1mほど飛ばされる。

またリムルは目の前にいる。

剣を受けていたら持たない。


もう一度頭を下げ剣をよけ、すかさず半歩さがり次の剣を受け流す。

鋭く突きを入れるとリムルはよけたが右ほほを掠る。

リムルは驚いた顔をしたがすぐに顔を引き締め剣んを振るう。

僕はよけられないと判断し後ろに飛びながら受ける。4mほど飛んだが先ほどより腕のしびれは少ない。


いけるかもしれない。


そう感じ自然と笑みがこぼれる。リムルを見るとリムルも笑っていた。


剣から力が流れ込んでくる。

すると僕の体は赤い魔力が覆う。クマさんの赤い魔石だろうと理解する。


「おヴぁえ、なばえば?」


リムルはできるだけゆっくり聞いてくる。それでもわかりずらいが・・・。


「ウィル」


短く答えるとリムルは小さくうなずく。


キィィィィン。


二人は同時に動き、剣を重ねる。


だがさっきほど重みを感じない。赤い魔力のおかげだろう。


左右からくる剣を3.4度はじいた後、魔力拳を使い、低い姿勢で流れるように剣の柄でリムルの腹を突く。


「がぁぁ!!」


初めてまともなダメージを入れる。

僕はそのまま早斬で切りつけるが浅く切っただけでリムルは後ろに飛びかわした。


着地する前に間合いを詰め可能な限り体制を低くして剣をかわし、左足を切る付けすぐさま離れる。

さほどいた場所をリムルの剣が切る。


その後何度もお互いの剣が交わる。


右に左に、上に下に。


だんだん手がしびれ、剣がにぎりづらくなる。


「はぁぁぁぁぁあぁ!!!」


力を振り絞り剣を振るう。



ガキィィィィン・・・・・・・。


カランカラン・・・・・・・・・。


僕の剣は半分から先が折れ床に転がる。

それにともない赤い魔力が消える。


「がぁぁ!!」


一瞬止まった僕を見逃さずリムルの蹴りが腹に入る。

僕は吹き飛び塔の端までいき・・・・・・・落ちた。



世界がゆっくりになり泣きそうな4人、笑ってこちらを指さすプププ。


そして笑っているリムル。


あぁ、くそ。負けた。

まだ駄目なのに・・・・。

家族を・・・・みんなを守らなきゃならないのに・・・・・・。


ゆっくり視界からみんなが消え、石の壁だけが視界に映る。

目から涙がこぼれる。


くそ。僕は無力だ・・・・・・・・。



ガッッッ!!??


何かが腕をつかむ。


「悪い、遅くなった。生きてるか?ウィル。」


僕は顔を上げるとそこには四番隊隊長ジャックがいた。


「なんて顔してやがる。よくやった。よく頑張ったな。あとは任しておけ。」


「ぐすっ。来るのが、遅いんですよ。」


「悪い悪い。だがヒーローは遅れてくるもんだろ?」

ジャックはゆっくり僕を引き上げる。


ったく、こんな酒臭いヒーローはいねぇよ。


上に上がると四番隊副隊長のケイトが戦っていた。が、早すぎて剣が見えなかった。


僕の時はあいつ本気じゃなかったか・・・。


「だからそんな顔すんなって。あいつは帝国でも有名な双剣使いのリムル。王国では指名手配中のやつだ。あいつを相手にしてよく生きてたな」


ジャックは優しい声で、しかし鋭い目つきでリムルを見ている。


「ちょっと隊長!しゃべってないで助けてくださいよ!」

「馬鹿野郎!!俺はまだ酒が抜けないんだ!!」

「馬鹿はどっちっすか?俺もですよ!!」


気づけばジャックも参戦していた。


そこからは圧倒的だった。

リムルのHPはみるみる削れレッドゾーンに入っていた。


「うーーーん。まずいねぇ。私の出番かなぁ」


先ほどまで笑っていたプププがまじめな顔おし羽を大きく振るう。

するとリムルとプププが消えていく。

「隊長!まずいっす!幻術魔法っす!!」

「馬鹿野郎!それはただの二日酔いだ!!」


いや、違うだろう。

辺りがゆがんだかと思うといつの間にかリムルとプププは完全に消えていた。


「あ~~あ。逃げられちゃいましたね。」

「・・・・・・二日酔いのせいではなかったのか・・・。」



こうしてクエスト【英雄に憧れた少年】は幕を閉じたのだった

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