第41話王城への道中前編


土曜日。約一週間ぶりの青空。


「お早うジィジ。やっと晴れたね。」

「お早う弥生。そうじゃの。ゲームばっかりして体なまってないか?」

「大丈夫だよ。ストレッチは毎日する様にしてるし。ところでジィジ、僕ALO内で家買ったんだよ!みんなでだけど。」

「なんと。そんなこともできるのか。すごいの。その年でマイホームか。ちゃんとご近所の方に挨拶するんじゃぞ。」


ゲームでもしたほうが良いのかな?


「後は火の元の確認と戸締まりも。まぁ弥生は大丈夫か。香織ちゃんや千紗ちゃんもいるしな。」


うちの姉妹がいない件について。


「うん。大丈夫だよ。昨日は家を買って終わったから今日挨拶回りするよ。」


ジィジと話すのはあの時ぶりだ。

ジィジに変わった様子はない。

いやっ少し変わったか?


ALOの話をしても嫌な顔をしなくなった。


大きな進歩かもしれない。


ジィジが僕らを大事に思ってくれているように僕らもジィジを大事に思っている。

ジィジにはちゃんと親友の作ったゲームをやって貰って良いゲームだと行って欲しい。

すごい世界だと。


おそらくジィジはALOを、哲二さんが作った世界に興味がある。見てみたいと思ってる。


見ないと心から親友の死を許し受け入れられないと思う。

これがあの雨の日の後僕らで話し合った結果だ。


みんなでジィジを見守ろうと。

そして待とうと。

いつまでかかってもジィジの口からALOの世界に行きたいというまで。


「ほら、あなた。いつまで話しているの。一週間ぶりの掃除なのよ?気張りなさい。」

「ガッハッハっ!!まだ6日じゃて!ついにボケたか?この妖怪は!」


あっやばっ


「じゃあ僕は行くね。掃除頑張ってる!」


「ん?どうした慌てて。もう少しゆっくりしていっても・・・・。ば、はぁさんや。お落ち着け!片手で竹ホウキを握り折るなど化け物か!?や、やめてくギャァァァアア!!」



皆。


ジィジはALOの世界を見ることなく死んでしまうかもしれないよ。



「「「いただきまぁす。」」」


「ん。美味しい。」

「あら本当ね。流石弥生だわ。」

「ぶー。今日だけだからね。食べても良いの」

「そうよ。一口一口感謝しながら食べなさい。」

「どの立場の人なの?作ったの僕だからね。一応言っとくけど。」


今日は任ずが多いので簡単にフレンチトーストにする。

バニラエッセンスを多めに入れるのがポイントだ。


山下夫妻はALO完成を記念して外国各支部を周りながらの海外旅行だ。

世界一周してくるらしい。

夏終わりには帰ってくるそうだ。


セレブはやる事が違う。


「とりあえず今日は午後からのダイブでいいのかな?」

「そうね。私達も掃除洗濯しなきゃ」

「ん。弥生のパンツも洗ってあげる。」

「ダメだよ!お兄ちゃんのぱんつはユイたちのもの!」

「そうよ!弥生は私達のもの!」

「じゃあ間をとって私のって事で」

「「「ダメ」」」


なんだこの茶番劇は・・・。


とりあえず食事を終えて家事をする。


掃除に洗濯。大量の買い物。

5人分の食料は流石に重かった。

明日も行かなきゃ足らないかな。


夕食用にシチューを作り昼は簡単なジェノベーゼのパスタ。

材料をミキサーにぶち込んで回すだけの簡単パスタ。後は麺を茹でて冷凍のシーフードミックスを混ぜれば完成。バジル2に対して大葉1を入れるのがポイント。


流石にサラダ作りは姉さんにやらせた。勿論手で千切るだけ。包丁を使ったらまな板まで切るからな。

ユイの場合は野菜を投げて空中で切ろうとするし。

正気の沙汰とは思えない。


少し大きな音がしたと思ったら香織さんと千紗が荷物を両手いっぱいに持ってきた。


完全にお世話になりに来てますね。


着替えだけでなく冷蔵庫にあった食材全て持って来やがった。

彼女達には手伝わせよう。


全て終わった頃には13時半過ぎ‬。


流石に疲れた。


だが早くゲームしたかったのか姉妹がテキパキ動いてくれたおかげで早く終わった。

明日は簡単な掃除で済みそうだ。


「なぁ流石に無理ないか?」

「ん。大丈夫。弥生もっとくっついていいよ。」

「いやこれ以上無理だろ。腕からまってるし。」

「ちーちゃん!!お兄ちゃん苦しそうでしょ!」

「いや、お前もだからな。」

「さすがに狭くて暑いわね。」

「ちょっと香織!何脱いでるのよ!しかもブラまで!あっそれやーちゃんのTシャツ!」

「細かい女は嫌われるわよ。」


あぁ、うるさい。


今僕のベッドで5人が寝てる。

いくら大きいベッドだからってさすがにきつい・・・。


まぁ気にしても仕方ない。



「「「「「ダイブイン」」」」」


さっさとあの広い屋敷に行こう。




「さて、何から始める?」

「とりあえず掃除かしら。」

「えーー!さっきあんなにやったのにまた掃除??」

「でもこの状況は仕方ない。」

「確かに仕方ないけどまずは金策よ。このままじゃ掃除道具も買えないわ。」


確かにそうだ。なんて情けない。


「じゃあまずはストーリークエストから始める?王様に会うやつ。」

「「「「あっ忘れてた」」」」


だよね。僕も思い出した。


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プレイヤーの皆様ボーズ街東街道のエリアボス、お邪魔なタートルが初討伐されました。討伐パーティはパーティ初討伐ボーナスにより通常より豪華な報酬となります。おめでとうございます。今後ともALOをよろしくお願いします。それでは皆様。良い人生を

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プレイヤーの皆様ボーズ街東街道エリアボス、お邪魔なタートル討伐者が名前の公開を希望されました。パーティメンバー、プライド、グリード、エンヴィー、ラース、、ラスト、グラトニー、スロースおめでとうございます。今後ともALOをよろしくお願いします。それでは皆様。良い人生を

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「七つの大罪ね。」

「恥ずかしくないのかしら。」

「よく名前そろえられたね。」

「課金。10000円で変えられる。」

「高いなぁ。」

「あっ!おねえちゃん!悪魔結社の人達じゃない?」

「そうかもね。やっぱりいるのね。」

「悪魔結社かぁ。やっぱりきてたかぁ。」


「悪魔結社?」

「RPGゲームでは有名なクランよ。攻略を目的としたギルドで全員みたいな名前、装備、容姿いずれかある人たちが集まっているの。pvpとかすごく強いの。ただ名前とは裏腹にPK御法度でゲームエチケットをちゃんと守るギルドよ。」


まじめな悪魔さんたちらしい。

「でもしょうがないけどさきこされるとちょっと悔しいね!」

「まぁね。でも譲ってあげたって考えようよ。」

「そうね、私達は2回も初討伐しているのだし。

「ん。気にしない。」

「そうね。私たちは私たちのペースでこの世界を楽しみましょう。」

「確かに仕方ないけどまずは金策よ。このままじゃ掃除道具も買えないわ。」


確かにそうだ。なんて情けない。でも・・・。


「それよりもとりあえずストーリークエストから始める?王様に会うやつ。」

「「「「あっ忘れてた」」」」


僕らは王様に会いに城へ歩き出した。


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プレイヤーの皆様フェラール山脈エリアボス、「高所恐怖症なハーピー」が初討伐されました。討伐パーティはパーティ初討伐ボーナスにより通常より豪華な報酬となります。おめでとうございます。今後ともALOをよろしくお願いします。それでは皆様。良い人生を

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プレイヤーの皆様フェラール山脈エリアボス、「高所恐怖症なハーピー」討伐者が名前の公開を希望されました。パーティメンバー、オリバー、リタ、ライリーおめでとうございます。今後ともALOをよろしくお願いします。それでは皆様。良い人生を

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「あっタクさん達だ!!」

「おおっ!やったなタク!」

「よかったわね。今頃大騒ぎなんじゃない?」

「ん。それよりも高所恐怖症なハーピーって・・・。」

「致命的よね。かわいそうに。高く飛べないハーピーなんて・・・」


歩きながら雑談し、城を目指す。


「そういえばまだ転移ポータル登録してなかったわね。」

「忘れてたな。あまりにもクランホームがうれしくて。」

「ポータルなら近いしとりあえず中央通りにれっつごー!!!

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