第30話日曜日後編

一度レヴィの所によりカバうさぎのドロップ品を渡す。

装備品の一部を知り合いの裁縫師に渡していいか聞かれ承諾する。

完成は明日になった。


次にジンの所に行く


「ガッハッハっ!!そうか。カバうさぎを倒したか!やるじゃねえか!!しかし沖に出るなんてお前あほだな!!」


ジンはオリバーに指をさして笑う。

「うっせ!だけどそのおかげでカバうさぎを倒せたんだよ!」

「まぁそうだな。人生何があるかわからねぇなぁ」

「チッ。ウィル俺たちは一度落ちるな。今日は楽しかったわ」

「ほんとに楽しかったわ。ジンもいい情報ありがとね。」

「ウィルありがとねー!ジンもまたねー!」

「ウィルさっきの話忘れないでね?ジンも情報ありがとね。」


そう言い4人はダイブアウトしていった。


「おいウィル。さっきの話ってなんだ?」

「何でもないよ情報屋。それより魚はどうすればいい?」

「チッ、面白そうな匂いがしたんだがな。魚は奥の魔冷庫に入れといてくれ。」

「魔冷庫?」

「なんだしらねぇのか?こっちだこっち」


この世界には電気をエネルギーとはしていない。その代わり魔石を利用している。

水の魔石で飲み水や川などを作り、火の魔石でコンロや暖房を、風の魔石で扇風機や氷の魔石で冷蔵庫替わりをしているそうだ。


「ここでいいの?」

「ああ。助かった・・・・おい!その指輪を見せてくれ!」

突然ジンが腕をつかんでくる。

「…間違いねぇ。それをどこで?

ウィルは屋敷でフェラール伯爵にしたように話した。

「・・・・・・そうか。フィリア様が・・・」

「でもなんでジンがこの指輪のこと知ってんの?これは一部の人しか知らないらしいけど。」

「あぁ。伯爵から聞いたんのか。言っとくが俺は王城の諜報部員を除けばこの国1.2位を争う情報屋だぜ?」


まじか・・。意外とすごい奴だったんだな。どや顔が腹立つけど。


「まぁいいもん見せてもらった代わりにいい情報をやるよ。その代わり今後その指輪についてわかったことがあったら俺に話せ。どうだ」

断る理由もない。

「そうか。なら話すぞ。ちなみにこの話は指輪を持つもの以外には話すな。いいな?・・・よし。前に話したシークレットゾーンの一つ。北北西にある廃教会を覚えているか?前に話したとおりそこはただの花畑しかないといったはずだ。だがそれには理由がある。1万年前、初代国王様の装備はあそこで完成したといわれている。といってもそこで作ったわけじゃねぇ。完成した装備をそこでフィリア様に聖なる力を授けられたといわれている。そしてその指輪、光を失っていると出ている。つまりそこに行けば力を取り戻すかもしれないと俺は思う」

まぁ俺の勘だがな。と締めくくる。


なんてファンタジーな話だ。

ーーーーーーーーー

シークレットクエスト【聖なる花畑】に指輪を付けていこう


報酬


???

ーーーーーーーーーーー

聖なる花畑か・・・・・・。


「なるほどね。試してみる価値はあるかもしれないね。貴重な話をありがとう。王宮に用事があるからそのあとで寄ってみるよ。」


「あぁ。いい話が聞けることを期待してるぜ。」



その後軽く話した後ダイブアウトした。




「お兄ちゃん、先に行ってるよ」

というユイのメールが入っていていた。

皆は先にジイジの家に行っているみたいだ。

僕も支度をし、ジイジの家に向かった。



「お兄ちゃん遅いよ!!」

「ごめんごめん。雨が思ったより強くてさ。」


皆はもうそろっており食事の準備もできていた。


「弥生君。やっと来たんだね。待ってたよ。本当に待ってたよ。」

「おじさん。なんかやせた?」

山下グループ社長は真っ白な灰になっていた。


「それじゃあ、そろったことだし食べ始めようかね。」

「「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」」


「おいしーい!!」

「ほんとにおいしいですね。これはどうやって作っているのですか?」

「あぁ。これはね・・・・・・・・」


おばさんとおばあちゃんは料理の話を。そのほかはAOLの話をしていた。


「エーお兄ちゃんずるいよ!!そんな楽しそうなことしてたなんて!」

「やーちゃん、今度私たちも連れてって。」

「ん。カバうさぎ見たかった。」

「そうね。今度水着を着てみんなで行きましょう。最近またサイズが上がったから弥生君も満足させてあげられるはずよ。」

やめてください。警告が出て強制ダイブアウトさせられそうです。

「私も最近苦しくなってきたのよね。買い替え時かしら。」

姉さんまで・・・。千沙は泣きそうにならないの。遺伝的には大丈夫なはずだから。ユイは自分でも揉まないの。そんなすぐ変わりませんから。


「ほら、おじさんお酒ついで上げるからそろそろ生き返って。」

「ああ。ありがとう男一人で寂しかったんだよ。男一人でね。」

「自業自得だよ。メールはしたはずだよ。飲みすぎで忘れてたんでしょ」

「うぅ。そうなんだけど・・・。息子ならお義父さん助けてくれても・・・。」

誰がお義父さんだ。


「そうか。弥生は高校生になったからそろそろ結婚か?」

「ジイジ結婚は18歳からだよ。」

「ん。ジイジひ孫は期待してて。」

「ジイジ。とりあえず3人はすぐ生まれると思うよ!!」

「そうね。もしかしたら4人になるかもだけど」

「そうね。可能性は高いわ」


おじさんとジイジは笑い、僕は内心焦りながら料理をつつく。


「そういえばジイジはAOLは本当にやられないのですか?」

復活し、酔ったおじさんが聞く。

「あぁ。何度も言っているがやらんよ。確かにあいつが生涯かけて作った世界は見て観たい気がする。だがな。同時にわしはあいつが許せんのよ。人生で一番大切なのは家族だ。夢に生きる、そういえば聞こえはいいが、一番大切なものをおろそかにしてはならんとわしは思うておる。」


酔ったじぃじが初めて話してくれた。


「あいつはな、子供みたいなやつだった。じゃがいい奴だった。そしてまっすぐな奴だった。あいつがいつも嬉しそうにAOLのこと語ったのをわしは子供のころから知っていて、最後まで止められんかった。そして最後に「家族を頼む」と言われたんじゃ。止められなかったわしにも罪はある。じゃからあいつの分までわしには家族を見守る義務がある。これは理屈じゃないんじゃよ」


僕らは静かに聞いていた。いつの間にかおばさんとおばあちゃんもジイジの話を聞いていた。


「そうですか。本当にありがとうございます。お父さんの代わりに家族を見守っていただいて。お父さんもあなただから信頼して家族を任せて夢に生きることができたんだと思います。」

「そうですね。お義父さんはいつも言っていました。何かあったらあいつを頼れ。あいつがいれば大丈夫だから、と。」

「そうですね。私も耳にタコができるほど聞きました。本当にあなたには家族一同感謝してもしつくせない恩があると思っています。」

ジイジは黙って酒をすする。

「ここからは私のわがままなんですが、すぐにではないですがお父さんの作った世界を見ていただけませんか?もちろん少しだけでかまいません。お父さんはいつかあなたにAOLの世界を見せて自慢したい嬉しそうに言っていました。あいつも絶対気に入るからと。もうお父さんはいないけど、お父さんの最高傑作を数年後とかでもいいから見てやってください。」


そう言い、おじさんとおばさん、千沙と香織さんもジイジに頭を下げた。


「ユイもあの世界でいつかジイジと遊んでみたいなぁ」

「私も。知ってる?あのせかいはお酒も飲めるのよ?」

「そうだね。景色もきれいだからそれをつまみに飲んだらおいしいんじゃないかな?」

「そうね。あなた。子供たちと遊ぶのも楽しいんじゃないかしら?」




この後軽く談笑しお開きとなった。


ジイジはあの話の後から酒をすすり口を開かずどこか遠くを見ていた。


梅雨が始まったこの世界には5月とは思えない冷たい雨が激しく止むことなく降り続いていた。

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