第18話
「ごめんシロ私これから用事があるんだけど、代わりにお願いできない?」
日曜日だというのに登校させられた私が帰るのを引き止めるようにアカリに用事を頼まれてしまった。
「別にいいよ」
「本当にありがとね」
そう言うとアカリはいくつかの資料や日誌を私に渡し、急ぐように教室を出ていった。
「何だったんだろ?」
(まあいいや、終わらせちゃお)
ものの5分ほどで仕事が終わったので、担任に渡しに行った。
「これ別に今日に急いでやらなくてもよかったのに・・・」
「そうなんですか。まあいいです、失礼しました」
(今日に限ってアカリに仕事押し付けられちゃたよ・・・)
私は夕食を作りにレイラさんの家へと慌てて帰っていた。
「レイラさんごめんなさい今から夕・・・」
部屋の中に入ると、見知った人物たちが何やら飾り付けをしていた。
「「・・・・・・」」
無言の圧が凄まじかった。
「あー、参考書買いたかったんだ。30分くらいかかるかなー」
あからさまな演技を終わらせると、急いで部屋を出た。
(気まずいなぁ・・・)
私は30分ほど経ったのを確認すると本屋を出て再びレイラさんの部屋に向かった。
「ただいまー」
「「「誕生日おめでとー!!」」」
部屋の中にはレイラさん、アカリに加えメグミちゃんがクラッカーを鳴らしてくれた。
「まさか準備の途中で帰ってくるとは思っていませんでした・・・」
「ごめんねメグミちゃん、まさか私の誕生日をみんなが覚えていると思わなくて・・・」
「今日、学校で先輩後輩関係なくプレゼント貰っていた人が何言うのよ」
「やっぱりシロちゃんは学校でもモテモテなんだね~。とにかくおめでとー」
「ありがとうございます。まさか高校生になってこんなに祝ってもらえるなんて思ってなくて。素直に嬉しいです」
なんだか少しだけウルッと来てしまった。
すると後ろでこそこそしていたメグミちゃんがケーキを持ってきてくれた。
「私からは心ばかりのケーキを用意しました。あまり好みは分からなかったのでショートケーキにしてみました」
そう言って出してくれたケーキは市販品と見比べても見劣りしないレベルのケーキだった。
「あまり面識ないのにありがとう。私はあんまりデザート作れないから嬉しいよ」
「姉がお世話になっているお礼も兼ねてですけど。それと良ければですけど後で作り方教えましょうか?」
「本当に?ありがとう!」
私たちが料理の話で盛り上がっていると、段々と2人の視線が痛くなってきた。
「いいよねー2人は料理出来て」
「私はキッチンにすら立てないのに・・・」
(レイラさんはともかく、アカリはちょっと・・・)
「そうですね。夕ご飯も私の方で作ったので食べましょうか」
今日は4人ということで机ではなく小さい机で食べることにした。
「「「「いただきます」」」」
メグミちゃんが作ってくれたミネストローネや鶏肉料理は絶品だった。
「これすっごい美味しい!こんな出来た妹がいるなんてレイラさんが羨ましいです」
「そんなことないですよ。親が忙しい時は私が作っていたので、姉もこんなのですから」
「こんなのって・・・でもほんと、メグミの料理もシロちゃんに負けず劣らず美味しいよね」
私たちはその料理に舌づつみを打ちながら、あっという間に完食してしまった。
「食べ終わったし私からプレゼントだよ」
アカリが私に綺麗にラッピングされた箱を渡してくれた。
「これは・・・アロマスティック?」
「そうだよ。疲労回復、安眠効果とか」
(私って疲れてるように見えるのかな・・・?)
「アカリありがとう。大事に使うね」
「ではケーキも切り分けたので、食べながら姉さんのプレゼント見ましょうか」
切り分けられたケーキもスポンジがふわふわして美味しかったが、レイラさんのプレゼントが気になってしまった。
「私からはこれだよ」
「枕ですか・・・?」
「うん。低反発で安眠効果が凄いんだって」
「・・・私ってそんなに疲れてるように見えますか・・・?」
「「「まあ正直、若干思ってる」」」
三人の声がぴったりに揃った。
「頑張り屋さんはいい事だけど、シロちゃんは何でも抱え込みすぎるからね」
「私でよければ何でも相談してくださいね」
「あんまり使えないけど、私も頼ったね」
「ありがとうございます。私は素晴らしい人たちに出会うことが出来ました」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。さあ、ケーキ食べちゃお」
(そういえば誰か忘れ・・・)
「クシュ!」
「片桐風邪か?」
「いいや、誰かに噂されてんのかも」
「メイドさんはモテますね~」
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