第69話タマちゃんのパワーレベリング

――王都から帰宅した翌日の昼間


タマちゃんのレベルを上げようと思うんだけど、皆の意見も聞かせてくれないかな?

皆が寛いでいるリビングでそう打ちだした。


「タマもみんにゃみたいに強くなれるにゃ?」

「うん。強くなれるよ」

「タマには早い気もするけど、旅は何があるか分らないだに!」

「そうですね、出来れば小さい子を戦いには巻き込みたくは無いですが……」

「強くなるのは正義ですから!」


ホロウさん。悪い奴で強いのも居るよ?


「そうですわね。私も、もっと強くならないといけませんし……」

「強くなったからって、偉い訳じゃないんだぞ!」

「自分の身を守れる位には、レベルをあげてもよかろう」


皆も概ね賛成の様だったんで、翌日は朝からパワーレベリングの準備にかかった。


「タマちゃん。この武器とかどうかな?持ちやすい?」

「うーん、太くて大きくてもちにくいにゃ!」


すみません。そこ、もう一度言ってもらっていいですか! 


お約束なんで!


「なんでにゃ!コータさんのししぇんがいやらしいにゃ!」




流石に、大人の武器は厳しいか。

この前退治した盗賊から押収した武器を、目の前に並べてタマちゃんに手にとって確認してもらっているのだがなかなかいいものが無い。


「じゃ、これなんかどうだろう?」


俺が取り出したのは、アイスピックの様な武器で突き刺すタイプで、当たり所が悪くなければ殺傷能力が低そうな武器だ。


「これにゃらタマにも、もてるにゃ!」


そんな感じで、タマちゃんの武器が決った。


で、クロの背中に乗ってやってきたのはいつもの沸き場。


アルテッザの表情が若干強張っているが、我慢してもらうしかない。やっぱりトラウマになっているのかな?

まずは俺達が、手足を傷つけた魔獣を押さえ込み、タマちゃんに致命傷を与えてもらう作戦だ!


俺とアルテッザで、オークの足と手を切断、所謂だるまである。


うつ伏せに転がした、オークの背中に足を乗せ身動きを封じてからタマちゃんに首、頭へ致命傷を与えてもらう。


ポチとホロウは、メテオラをフォローして、俺達と似たような事を延々繰り返しており――。


初日1日で、タマちゃんも普通の兵士位にはレベルが上がった。


メテオラはもう2度目なので、レベルのあがりは良くないが、それでもジワジワと上がってきている。勿論、俺も、アルテッザもポチ、ホロウも同様だ。



初日が終わって、俺達は湖の湖畔近くの馬車の中に居た。


「タマちゃん、どんな感じだった?」

「にゃんか、体がぎしぎしするにゃ」

「あーレベルアップの影響に、体がついてきてないのかな?」


 その辺はどうなの?クロ


「うむ、我にはわからんが、一晩も眠ればその体に慣れると思うぞ。コータ達も最初はそんな感じだった筈なんだがのぉ?」

「そうだったっけ……夢中でやっていたんで気づかなかったよ!」



そして夕食時、虚空空間から王都で買ったパンを出してみたら……。


普通に冷たくなっていた。残念。



虚空空間では、時間は流れて居るようだ。


そう思っていたら……クロから。


「我の虚空空間は、時間が止まっておるがな」


へ?何それ?


「そもそもコータは普通の人間じゃ。普通の人間では、時間を止める事は出来ぬ。神ならばそれも出来るのだがの」


神云々よりも、クロには時間が止められるって事に俺は驚いていた。

それって虚空だけじゃなくて、この世界の中でも止められるんじゃ?


クロってやっぱチートだな。



「何を言っておる。それだけの魔素を体内に宿し、攻撃を受けても死なないお主も十分チートじゃろうが!」


そうでした!


それなら今度から、クロの虚空に食べ物入れてもらえばいいんじゃ?と思ったら……。


「兄様は、お前の食物庫じゃないんだぞ!」


――と、言われ久しぶりに気を失った。


翌朝、皆と一緒に起き、支度をした俺達は再度クロに乗って脇場に直行した。


今日も今日とて、やる事は変わらない。俺とアルテッザとタマちゃん。ポチとホロウとメテオラで2PTに別れてのパワーレベリングである。

レベルで言えばポチ、ホロウ、アルテッザはもう100を越えているから人類最強位の実力はあると思うんだけどね。それでも竜には叶わないし、攻撃をまともに食らえば死に至る。死なない強さってどうやったらいいんだろう?


「そんなものは、結界でも張って攻撃をかわすしかあるまい?」


へっ。クロに良い事教えてもらった。でも結界の属性ってなんなんだろう?


「結界は無属性ゆえ、覚える気になれば誰でも覚えられる筈だがのぉ?」


 ほうほう!それなら皆で使えるようになれば、今度こそ怪我をしないで済むじゃん!


日中はパワーレベリング、夕食後に魔法の練習がこうして始まった。


普通の結界なら、発動すれば半透明なプリズムが現れて展開するらしいので、発動すれば分かるようになっているらしい。


ゲーム知識を活用し、俺もひたすら目の前にバリアを張るイメージを固める。

すると――今までの苦労はなんだったのか?と、思える位、あっという間に出来た。



「ホロウ、試しに槍で突いてみて!」

「分りました、では行きます!」


ホロウの槍の先が、結界に当たり刃先が結界で止まった。

キーン、とか音がするのかと思ったけどしなかった。


 

「凄いですね、私達も覚えれば使えるようになるんでしょうか?」

「うん、アルテッザ。皆も覚えれば使えるようになるよ。だから頑張ろう!」


そして、2番目に使えるようになったのは以外、な人物。


「私が、コータさんの次に使える様になるとは思いませんでしたわ!」


メテオラの場合、逃げに撤している感じがしていたから当然なのかもね。

一人が成功すると、皆も俄然やる気を出し、結果……全員使える様になった。


え?タマちゃん?もちろん使える様になったよ。顔の大きさ位の、ちっちゃい結界だけどね。これは魔素の量に比例するらしいので仕方ないのだそうだ。


どうせなら攻撃魔法とか覚えてみたいんだけどね。


中々上手くいかない。なんで?


さてそんな感じで結界魔法を覚え、パワーレベリングをした結果がこれだ!




 ●名前  アンドレア・アルテッザ

 ・種族  人族

 ・性別  女

 ・家族  オルステッド(父)オフィーリア(母)双子 (弟、妹)

 ・職業  商人

 ・LV  121

 ・HP  1960/1960

 ・MP  1670/1670


 ・得意技 カマイタチ 牙突 結界

 ・属性  風 光 水


 ・称号 箱入り娘 ハリケーン娘 奴隷娘 コータの嫁


 ●名前  メテオラ・アルステッド

 ・種族  人族

 ・種別  女

 ・家族  アーノルド(父)イザベラ(母)アレフ(兄)ローラ(妹)

 ・職業  アルステッド国 第一王女 コータの第一婦人候補 

 ・LV  88

 ・HP  897/897

 ・MP  1743/1743


 ・得意技  絶叫 突き 回復 異常状態解除 結界

 ・属性   光 水


 ・称号  病弱王女 コータの嫁 臆病姫


 ●名前  ポチ

 ・種族  犬人族

 ・性別  女

 ・家族  タマ(妹)

 ・職業  コータの仲間

 ・LV  125

 ・HP  2730/2730

 ・MP  1020/1020


 ・得意技 牙突 視線を釘付け 瞬間冷却 氷結 結界

 ・属性  水 闇 


 ・称号  コータの視線独り占め メロンちゃん 美肌美人 ドS


 ●名前  ホロ(ホロウ)

 ・種族  狼人間

 ・性別  女

 ・家族  天涯孤独

 ・職業  コータの護衛

 ・LV  133

 ・HP  3152/3152

 ・MP  838/838


 ・得意技 牙突 縮地 変化 炎獄 結界

 ・属性  炎 雷


 称号  門番の娘 狼の姫 戦闘狂


 ●名前  タマ

 ・種族  猫人族

 ・種別  女

 ・家族  ポチ(姉)

 ・職業  みんなのアイドル 

 ・LV  57

 ・HP  1111/1111

 ・MP  599/599


 ・得意技  天然 ひっかき 結界 刺突

 ・属性  炎 風


 ・称号  コータの愛玩幼女

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