第6話 キャロ親衛隊インタビュー


 アリストギルド、夕方の待合室で、テーブルを囲んだ冒険者に話しかける作者。


「ええと、あなた方がキャロさんの親衛隊をなさっている皆さんで?」


「ああ、そうだが、おめえは誰だい? 

 見かけねえ顔だな」


「さ、作者と申します」


「サクシャ? 

 変な名前だな。

 おめえも親衛隊に入りてえのか?」


「いえ、その前に、親衛隊がどんな活動しているか教えてもらおうかと……」


「おう、いい心がけだ。

 よくぞ親衛隊長の俺に聞いた」


「ボクにも聞いてよ。

 ボクは親衛隊ヘッドなんだよ」


「おめえは引っこんでろ。

 俺が親衛隊の団長だぜ」


「隊なのに団長?」


「カーッ! 

 そんな細けえことにこだわってどうすんだよ」


「そうだぜ。

 親衛隊リーダーの俺に言わせりゃ――」


「「「ナイナイ」」」


「おいっ!

 なんで俺だけそんな扱いなんだ!」


「だって、お前はカミさんがいるじゃねえか!」


「そうだ、そうだ!」

「リア充死すべし!」

「シロー死すべし!」


「確かに! 

 シローのヤツ、ルーキーのくせにルルさんっていう可愛い彼女がいるからな」


「どうして、可愛い女性は俺に見向きもしないんだ!?」


「ガハハハ、まず自分が相手にふさわしい男になってみな!」


「マックさん! 

 いつの間にそこに!?」


「だけど、マックさんだって、奥さんの尻に敷かれてるって――」


「お、おい、ちょっと待てよ! 

 それは言わねえ約束だろうが!」


「なんで、こんな海坊主みたいなのに、あんな綺麗な奥さんが……」


「「「理解できねー!」」」


「おい、そこで声を合わせるなよ!」


「そうですよ。

 奥さんはマックさんにメロメロみたいですから」


「キャ、キャロちゃん!」


「くそう、海坊主に最強の助っ人だぜ」


「そうだ、キャロちゃん、誰か好きな人いるの?」


「そうだ、俺も聞きたいな、それ!」


「俺も、俺も!」


「「「リア充は引っこんでろっ!」」」


「くっ……」


「おい、リア充同士、酒でも飲むか?」


「マックさん……飲みましょう」


「そうね。

 私も飲もうかな?」


「キャロちゃんが飲むなら俺もー!」


「もちろん、俺もー!」


「キャロちゃん親衛隊、バンザーイ!」


「「「バンザーイ!」」」


 冒険者の一人が突きあげた拳が顎に当たり、床に倒れる作者。


「おい、お前たち、こいつぁ誰だ?」


「マックさん、こいつ、『サクシャ』とかいう変な名前のやつですぜ」


「ああ、こいつ、床に伸びてやがる。

 なんでだ?」


「分かんねえ。

 おーい、シェフよ。

 人数分の酒、出してくれ!」


「ヘイヘイ、分かってるさ。

 勘定書きは、その伸びてる男につけときゃいいのか?」


「「「おー、タダ酒だぜー!」」」


 …

 ……

 ………


「はっ! 

 あれ、ここどこ?! 

 あっ、アリストギルドか。

 みんないなくなってる。

 それにしても、私ってなんで床に寝てるんだろう」


「おい、あんた」


「あ、シェフをしている方ですね?」


「ああ、そうだが、みんながお前のつけで酒を飲んでたぜ」


「ええっ!? 

 どうしてそんなことに……」


「心配するな、ギルマスが払ってくれたよ」


「……キャロちゃん」


「後で、きちんとお礼を言っておきな」


「はい……。

 それより、キャロちゃんの親衛隊にはどうやったら入れますか?」


「やれやれ、また馬鹿が一人増えたぜ」


 こうして、今日もアリストギルドの夜は更けていくのだった。

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