第21話 弓士の訓練用ダンジョン

午後からは、リパーと共にダンジョンで訓練する事になった。

アルテミスに教えてもらった、弓士の訓練に丁度良いというダンジョンだ。

・・・まさかわざわざ創ったのでは。


「今日は1日付き合わせちゃってますね。有難う御座います」


「構わないよ。リパーには何時もお世話になってるし、これからもお世話になるしね」


「は、はい!」


中に入って、予測の確信を深める。

的っぽいのに羽が生えて飛んでいる。


名前:

 飛ぶ的

説明:

 10体撃ち抜くと、扉が開く。

 体当たりされると、

 カウントが1からになる。


「・・・こんな訓練所っぽいダンジョンが有るんですね!」


「そうだね、驚いたよ」


棒読みで答える。

ある訳ないだろう。

残しておけば、弓士を目指す人が助かるな。


リパーが、飛ぶ的を交わしつつ、射抜いていく。

ダンジョンの途中には壺があり、割ると矢が出てきた。


「凄い・・・こんな事もあるんですね!」


リパーが驚いて言う。


「そうだねー」


ないない。


次は、的が壁に固定され、10個並び、矢印が描いてある。


射抜ける場所は、床が左右に動いている。


「あそこから順に射抜けば良いんですね!」


「そうだね」


「パズルは得意なんです!」


パズルの知識が活かせているようだ。


シャコッ シャコッ


的を射抜いていく。


当てているのは、弓の性能ではなく、元々の才能と職補正のようだ。


扉が開く。


次のマップは・・・スケルトンアーチャー10匹。

実戦かあ。


危なげなく全滅させた。


その次は、動く床+飛ぶ的。

これもクリア。


そして最後の部屋・・・大きな宝箱だ。


リパーが慎重に、罠を解除する。

罠が掛かってたのか。


中から、巨大な長方形の箱と、腕輪が出てきた。


特に箱の方は、宝箱より大きい・・・


「・・・これは・・・どうやって入っていたのでしょう・・・?すごく重い・・・」


名前:

 月女神の宝石箱ムーンストーン

説明:

 魔石や自然物を入れることで、

 矢を生成する。

 生成された矢は、

 整理されて箱に蓄えられる。


名前:

 月女神の腕飾りムーンリング

説明:

 所有する月女神の宝石箱ムーンストーンに、

 魔石や自然物を投入する。

 また、任意の矢を取り出す。

 ただし、月女神の宝石箱ムーンストーンは、

 近くにあるか、

 もしくは自分の支配する

 異空間にある事。


アルテミス、好き放題やり過ぎだ。

どう見てもリパー専用じゃないか。

実は頼られて嬉しかったんだな。


「えっと、どう分けたら良いでしょうか?」


「リパーが頑張って入手した物だ。リパーが使うといい・・・と言うか、俺じゃこんなの使えないし」


「はい・・・有難う御座います・・・この御礼は必ず・・・何でもします!」


どう見てもアルテミスからのプレゼントなんだよなあ。


ダンジョンの奥の光の輪を踏むと、ダンジョン脱出。

外に出たらダンジョンが崩れていく。

そこには何も無かったかのように土壁のみが残る。


「わ・・・クリアしたら崩れるなんて・・・こんな事も有るんですね!」


「みたいだね」


そんな訳あるか。


「有難う御座います・・・頑張ってみます!」


リパーが微笑む。

癒やされるなあ。

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