47・おまけスキット

~不思議な里~


アングレーズ「宙に浮かぶ島、光る空と海……なんだか、現実の外にいるみたいねぇ」

ガレ「実際、アラカルティアの外みたいなものでござるからなあ」

カカオ「けど、空がこれじゃあ昼夜もわからなくなるんじゃないのか?」

ガレ「夜には輝きが弱まるから、なんとなーく時刻はわかるとかなんとか」

クローテ「すごいな……」

パンキッド「けど、ここ落ちたらどうなるんだろ……」

シーフォン「あまり考えたくはないな」

ランシッド『みんな、足元には気をつけるように』

ブオル「一応柵があるとはいえ、ギリギリまで近づいたり覗き込んだら危ないぞー」

モカ「引率の先生みたいだねえ」

ガレ「ブオルどのがせんせーだったら、すごい安心感でござろうなあ」

ブオル「ははは、そうか?」



~聖依獣というモノ~


メリーゼ「聖依獣さんたち、みんなそれぞれいろんな姿してますね」

モカ「人間の言葉を話して精霊やマナを身に宿せる獣だったら聖依獣、ってちょっとアバウトすぎない?」

ガレ「あばうとではなく、おおらかなのでござろう」

クローテ「さすがはガレの仲間だな」

ガレ「それを言ったらクローテどのだって同じでござるよ」

ムース「まあ、長く生きていろいろ見とるからのー。多少の違いは些細なことなんじゃよ」

モカ「そ、そういうもん……?」

ガレ「人間と聖依獣、どちらの仲間でもある……ムースどのの言葉、とても気に入ったでござる!」

クローテ「……そうだな」

ムース「ふぉっほっほっ」



~成長期は、きっと来る?~


クローテ「あの小さかったガレの成長期は二十歳を過ぎてから……私にも、もしかしたらチャンスがあるのかもしれない……」

ガレ「チャンス?」

クローテ「なりたいんだよ、男らしくてがっしりした体格に!」

ガレ「ク、クローテどのが怖いでござる」

ブオル「でもまあ、クローテってまだ十七だろ? 確かにまだまだこれからだって」

メリーゼ「いっぱい鍛えていっぱい食べましょう!」

クローテ「あ、ああ。食べる、か……」

カカオ「少食だもんなお前……あんま無理すんなよ?」

ガレ「食べきれないぶんはそれがしが食べてあげるでござるよ!」

クローテ「それじゃお前の背がまた伸びちゃうだろ!」

ガレ「ありゃ?」

カカオ「こういう時は必死だな……」

ブオル「はは、可愛いもんだ」

クローテ「笑い事ではありません!」



~もふもふむーちゃん~


パンキッド「聖依獣の長老サマかぁ……改めて見ると、でっかいねえ……」

シーフォン「君たちは初めてではないのだろう?」

カカオ「前回は里が襲撃されてる時だったからな。しかもすぐに元の時代に帰っちまったし」

アングレーズ「いろいろあって、それどころじゃなかったのよねぇ」

ムース「んじゃ、改めてらぶりーむーちゃんの魅力にメロメロになっていくと良いぞー」

メリーゼ「らぶりーむーちゃん……」

ランシッド『って言ってもねぇ……』

メリーゼ「あのふかふかの長毛、とても気持ちよさそう……」

ランシッド『メリーゼ?』

メリーゼ「はっ、い、いえ、なんでもありません!」

モカ「……あの巨体に毛の深さ、人ひとりくらい簡単に隠れちゃいそうで怖いんだけど」

ムース「ふぉっほっほっ……気づきおったか、魔性のむーちゃんの魅力に……」

アングレーズ「この里でメリーゼちゃんから目を離したらダメよ、みんな」

パンキッド「わ、わかった……」



~人化の術~


ランシッド『シュクルはすっかりその姿でいることの方が多くなったよねぇ』

アングレーズ「あら、元の姿はどんななの?」

シュクル「あー、そ、それはだな……」

モカ「それも気になるけど、ガレっちのパパの人間バージョンも気になるよ」

アングレーズ「あら、あたし見たことあるわよ。ガレ君よりは小さいけど、スラリとして涼やかな雰囲気のひとだったわ」

ブオル「カッセってあのちっこいにゃんこだよな……?」

カカオ「なんか、あんまり想像が……」

ガレ「ちちうえはあんまり人化の術を使わないのでござるよ」

クローテ「どうしてだ? そちらの方が動きやすい時もあるだろう?」

ガレ「どうもあっちの姿だとおなごに囲まれてしまって行動しにくいとか」

モカ「え、もしかしてイケメン? 超見たいんだけど!」

ガレ「それがしにもあまり見せてくれないでござるよ」

シュクル「恥ずかしがりな面もあるからな、カッセは」

モカ「うわ、余計に見たい……恥じらうところも含めて!」

クローテ「悪趣味だな……」



~シュクルとシナモン~


クローテ「先程の言葉、シナモンという名前、彼女が連れていた狭間の子……」

ガレ「ちちうえと同じ、人間と結ばれた聖依獣でござるな」

シュクル「……ふん、それがどうした」

ブオル「俺はなんだか嬉しいな。モラセス様を思い出すよ」

シュクル「あ……」

ランシッド『種族も立場も関係なく、好きあった者同士が結ばれるのは喜ばしいことだ。そうだろう?』

シュクル「……ああ」

清き風花『もうすっかりラブラブですしね』

シュクル「ら、らぶ……!?」

アングレーズ「あらぁ、そうなの?」

シュクル「ノ……ノーコメントだ!」

シーフォン「否定はしないんだね」

アングレーズ「まぁ、さっきの言葉からもなんとなく感じ取れるけど。人間の彼女と同じ目線で……って」

シーフォン「まさに愛、だね」

シュクル「やかましい!」

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