20~消された村~・おまけスキット

~おぼろげな記憶~


メリーゼ「カレンズ村の記憶が薄れていくなんて……」

カカオ「じいちゃんや他のみんなの時と同じだ。過去の歴史が変わっちまったら、今のオレ達には“なかったもの”になっちまう」

ランシッド『やがて完全に全ての人々の記憶が上書きされ、本来の歴史が消滅する……そうなったら終わりだ』

メリーゼ「そんな……」

クローテ「カレンズ村は父上が必死に守った村だ。そんな事はさせない……!」

ガレ「クローテどの……」

アングレーズ「上書きされた歴史、ね……」

カカオ「上書きなんかさせねーよ」

ランシッド『今はとにかくカレンズ村に行こう。この目で確かめたい』

メリーゼ「はい!」



~待っててね~


カカオ「クローテとガレは連れて行けないのかぁ……」

ランシッド『カレンズ村は聖依獣を嫌う村だそうだし、クローテは村を救ったフレスの息子でもある。無闇に接触するようなことはできれば避けた方がいい』

モカ「クロ兄、悔しそうだったね……」

アングレーズ「そりゃあ悔しいでしょう。お父さんが必死に守ったものがなかったことになってて、こんな悲惨な結果に変わってるんだから」

カカオ「自分の手で救いたかったろうな……」

ブオル「フレスは俺にとっては孫だ。だから、俺がかわりに……クローテの想いを引き受ける」

メリーゼ「ええ、わたしも!」

カカオ「ひとりでかっこつけんのはナシだぜ、おっさん」

モカ「クロ兄はみんなのクロ兄だもんね!」

アングレーズ「ふふ、愛されてるのね」

メリーゼ「仲間、ですから」

カカオ「よぉし、待ってろよクローテ!」

ブオル「可愛い子孫達のため、おっさん張り切っちまうぞー!」



~不気味な化け物~


アングレーズ「なにかしら、無機物を持ち寄って組み立てた人形みたいな……あなた達、あんなのと戦ってたのね」

モカ「あれは時空干渉を実行する駒みたいなもので、実際は“テラ様”って呼ばれてる奴が裏で糸を引いてるみたいだよ」

アングレーズ「テラ様、ねぇ……」

ランシッド『名前はチラッと聞いただけだし、まだろくな手懸かりが掴めてないんだ』

メリーゼ「今度こそ情報を聞き出せるといいのですが……」

ブオル「またやり過ぎないよう気を付けないとなあ」

モカ「うまく弱らせるだけにとどめられたとして、都合良く聞き出せるとは思えないけどね」

アングレーズ「拷問とか効きそうにないものねぇ」

モカ「さらっと拷問なんて発想が出てきちゃうんだね、アン……」



~二人は大丈夫?~


モカ「クロ兄とガレっち、大丈夫かなぁ……」

カカオ「二人とも強いし、近くのオアシスに戻るだけだろ?」

モカ「いや、そうじゃなくてさ……あの二人だけでいるのってあんま想像がつかないっつーか……」

ブオル「確かに、会話とか弾むのかなあ」

カカオ「ガレはよくしゃべるけどなあ」

モカ「クロ兄が話題ぶったぎってろくに会話続かなさそう……」

アングレーズ「気難しそうなのよねぇ」

メリーゼ「共通の話題とかあるといいんだけど……」

カカオ「なんか、急に心配になってきた……早く帰って合流しよう」

ブオル「意外と仲良くなってるかもだけどな」



~びっくりどっきりボックスの欠点~


モカ「ぜー、はー、お、重いよー……」

アングレーズ「やっぱりずっと背負って走るのは無茶よ、それ」

ブオル「おじさんが持ってやろうか?」

モカ「おじちゃんじゃ使いこなせないし、ボクからこれ取ったらただの魔術師だよ」

カカオ「その術だけでも大したもんだけどなあ」

アングレーズ「そうよ。あたしが同じ年頃の時はモカちゃんみたいには出来なかったわ」

モカ「それでも、この箱はボクのアイデンティティーなんだよ!」

アングレーズ「モカちゃん……」

カカオ「じゃあ次は背負ったまま走れるように羽でもつけたらどうだ?」

モカ「羽……」

ブオル「というか、今までよくこんなの背負って旅について来てたよなあ」

カカオ「まず持ち運びに難があるもんな」

モカ「ぐぬぬ……いつかそれもクリアーしてやるからね!」



~おるすばん~


ガレ「オアシスまで戻っては来たでござるが……」

クローテ「しばらくは二人だけ、か」

ガレ「退屈しないように、しりとりでもするでござる!」

クローテ「なっ、えっ!?」

ガレ「しりとり!」

クローテ「や、やるのか……リス」

ガレ「スイカ!」

クローテ「カラス……」

ガレ「す、すずめ!」

クローテ「メス」

ガレ「す……」

クローテ「どうした?」

ガレ「“す”ばっかりでござる……」

クローテ「留守」

ガレ「クローテどのぉ!」

クローテ「あ、す、すまない……」

ガレ「今の“素”でござったか……」

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