1~戦いの幕、開く~・おまけスキット

※おまけスキットについて

 前作に引き続き今回もあるので同じく前置きさせていただきます。

 こちらのおまけスキットは本編内のエピソードからちょっと外れたキャラクター達の会話文になります。

 セリフのみの台本形式でエピソードの内容に触れていたり、あまり関係ない話をしていたり、ややノリが暴走気味で人を選ぶかもしれません。

 以上をご理解の上、問題ない方のみお進みくださいませ。

 ちなみにこちらのスキットは読まなくても物語の進行上特に差し障りはございません。



~職人見習い・カカオ~


ランシッド『カカオは職人になりたいんだね』

カカオ「まあな。じいちゃんに憧れたのもあるけど、もの作りが好きなんだ」

クローテ「好きなのはいいけど、試しに作ったもので私の部屋がいっぱいだ」

メリーゼ「わたしの部屋もですよ」

カカオ「わ、わりぃ」

メリーゼ「いいんですけどね。カカオ君の作るもの、好きですから」

クローテ「まあな」

カカオ「えっ……」

ランシッド『ちょっと、なに赤くなってんの?』

メリーゼ「特に初めて作ってくれたペンダントと、この前くれた子犬のぬいぐるみは宝物です」

ランシッド『……待って、カカオがなりたいのは鍛冶職人だよね?』

カカオ「だから……もの作りが好きなんだよ」

クローテ「何気に料理も得意だったな、お前」

カカオ「おう!」

ランシッド『君は何を目指してるんだい、カカオ……』

カカオ「他は趣味みたいなもんだよ。作るの楽しいし、作ったもんで喜んで貰えたら嬉しい。それだけだろ?」

クローテ「呆れるほどの職人バカ、だな」

メリーゼ「それがカカオ君ですね」




~少女騎士・メリーゼ~


メリーゼ「はっ、やっ、たぁ!」

カカオ「おっ、鍛練か? よくやるよなあ」

メリーゼ「お母様みたいに立派な騎士になりたいもの。そのためには、一に努力、二に努力!」

カカオ「暑苦しいなあ」

メリーゼ「なんですって!?」

カカオ「うぉっ!?」

クローテ「カカオ、余計な一言は命取りだぞ。というか、女の子に対して暑苦しい発言はダメだとわかりきっているだろう」

カカオ「たゆまぬ鍛練が生み出す鋭い突き……こえぇ……」

メリーゼ「まだまだです。もっと鋭く、もっと速く!」

カカオ「これ以上速くなられると困るな……」

クローテ「失言をしなければいいだけの話だ」

ランシッド『……やれやれ、どうして二人ともドレスより剣を選んじゃうんだろうなあ』




~聖依獣のハーフ・クローテ~


カカオ「なあ、クローテ」

クローテ「なんだ?」

カカオ「お前のその耳、やっぱりよく聴こえるのか?」

クローテ「周りが言うにはそうらしいな。私にはこれが普通だから、自分ではわからんが」

カカオ「ああ、それもそっか。んじゃ人間と何が違うなんて比べる相手がいなきゃわかんないよな」

クローテ「脚力は強いらしいぞ。この前女性と間違えてしつこく言い寄ってきた男がいたから、“丁重に”お断りしてやったんだが……」

メリーゼ「て、丁重にって……」

カカオ「クローテの蹴り、確かにヤバいもんなあ……」

クローテ「言っても聞かない奴が悪い」

ランシッド『ねえ、彼って意外と……』

カカオ「売られたケンカは買っちゃうタイプってやつ」

メリーゼ「血の気が多いんですよね、困ったことに」

クローテ「二人には言われたくないな」



~カクカク野郎?~


カカオ「あのカクカク野郎……歴史を変えるなんざ、とんでもねえ奴だぜ!」

クローテ「待て、なんだそのカクカク野郎とは」

カカオ「じいちゃんを襲った奴に決まってんだろ! 三角定規みたいな体してさ!」

クローテ「見たまんまな上に品性のない呼び名だな」

カカオ「じゃあ他になんて呼ぶんだよ?」

クローテ「そ、それは……」

メリーゼ「でもお顔は丸かったですよ? カクカクだけじゃ変です!」

クローテ「そこなのか!?」

メリーゼ「だから“カクカク時々まるっとさん”とかどうでしょう?」

カカオ「……」

クローテ「…………」

メリーゼ「な、なんですかその顔は?」

クローテ「品性で言うならさっきよりマシだけど……」

カカオ「今度は緊張感が消えたな」



~メリーゼとランシッド~


メリーゼ「まったく、こっそりついて来るだなんてお父様ったら……」

ランシッド『だってだって、遠くに行くと危険がいっぱいだし……』

メリーゼ「わたし、そんなに騎士として未熟ですか? 頼りなく見えますか?」

クローテ「メリーゼの剣さばきは同期でも頭ひとつ飛び出ているくらいですが」

ランシッド『そうじゃなーい! 遠くに行くってことはより多くの人目に触れるだろ!?』

カカオ「まさか、心配事って……」

ランシッド『母さんに似てどんどん綺麗になっていくメリーゼが、変な男に目をつけられないか心配で心配で……』

クローテ「これは、いわゆる……」

カカオ「親バカってやつだな」

メリーゼ「呆れた……そんな心配いりませんよ」

カカオ「剣一筋で男なんて目に入らないもんな」

メリーゼ「そうです!」

ランシッド『それ言い切っちゃうのもどうなの……』

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