1-2)最初に(作りたい物がなにか考える)
①なにを作りたいか、どこから作り始めるかを決める
決めると言うより私の場合は基本決まっています。作りたいから書く、読みたいから書くので。
今回の「探偵山田太郎と記録者横須賀一の物語」では、横須賀一というキャラクターが付ける予定のなかった設定によりあまりにも不憫になってしまった為、幸せにする為になにができるか、を考えた結果この物語を書くことになりました。幸せにならないなら強くすればいいじゃない。強くなるにはまず経験からだろう、という感じです。
なので、①への回答としては、「横須賀一が成長する物語を作りたい」となります。
②どのように作っていくか
まずキャラクターありきの物語なので横須賀一のキャラクターを自分の中でしっかり理解します。
簡単にまとめますと
・使って貰いたがるキャラクター
・他人に望まれることを有り難がる(あり得ないような幸いとする)
・世界がやさしいから自分は存在できて幸せだなあと本気で思っている
・自己主張する自己がほとんどない(あっても自覚できない)
・求められない
・自己肯定感が壊滅的にない故の他者肯定
・自分から関わっていくことが申し訳ない
以上のような特徴が横須賀一にはあります。
この中で「自己肯定感」「自分から関われない性格」をどうにかしよう、ということを、簡単ですが物語の目標としました。
さて「自己肯定感」ですが、こちらは自主訓練でどうにかなるものではないのではないだろうか、というのが私の個人的感覚です。実際は置いといて、ですね。物語を書くに当たって自分の感覚を主軸におくと、やりたいことが見えやすくてちょうどいい気がします。ので実際については特に調べもせずに置いておきます。知識があった方が幅が広がるので、きちんと調べてからやるのが本当は良いかもしれませんがまあこれは趣味なので。やりやすいようにやってます。
自主的にどうこうできないならどうするかというと、他者の存在です。他人が繰り返し肯定する、それも本人がかすかにでもできると思っていることを有り難がることで、自己肯定の一歩になると考えています。といっても相手が優しい人だと、おそらく横須賀は優しい世界の優しい人として理解してしまいます。ここで優しいのではなく、利用するというスタンスをきっちりしめした人を相方に置こう、となりました。ざっくりイメージすると、横暴、粗野、目的のために手段を選ばない人です。そういう人なので役立たずなら捨て置くでしょう。この人が使い、お前は役に立つと言うことで横須賀のかすかながらの自己肯定感を育てようと言う考えです。ただしこれはゴールではありません。あくまでこの人は横須賀を道具のように使うので、使って貰う、という状況にとどまってしまうからです。なので粗野な人にしようと考えたあと、この人の言うことに従わないで動くというのをお話の終盤に持ってくる山場にしよう、と考えました。
まずこの相方のイメージを固めます。粗野で、目的のために手段を選ばない人です。逆に言えば、手段を選んでいたら目的を達成できなかった人、なのではないでしょうか。ひどい人間であるということを伝えること、また横須賀と対照的であると伝えるためにできるだけ外見からも違いを出そうと思いました。サングラス、オールバック、にやりと笑う表情。ここまで決めて、それからまた横須賀とこの人物の関係について考えます。
さて、ここで最後の山場についてもう少し考えます。この人物と横須賀の関係はそこに終着すると考えたからです。物語を書くに当たって、私は最初と最後の関係の違いなどを注目しやすいです。たとえば、
A横須賀は自己肯定感がない
から
B横須賀は自分を使える人間だと思う
と変化させる。その変化の過程を物語で描こうと思うからです。
先の変化は物語の主軸である横須賀の変化——仮に「人物変化」としましょう。そしてこの人物変化は、
A横須賀が相方に使われる
から
B横須賀が相方の命令を拒否する
の変化で描いていこうとも思っています。人物変化をわかりやすく明示するために、変化をもうひとつ決めたのです。こちらを仮に「関係変化」とします。
この関係変化で人物変化を描く為、まず関係変化の山場であり終着点といえる場所について考えようと思うのです。ちなみに人物変化はゆっくり描かれてここで明示しますが、明示しただけで完全な変化ではないと決めておきます。人物変化の決定打は、この関係変化がおわったあとの山場——物語の最後、にしようと決めます。お話の終盤ではなく、お話のゴールをメインテーマの提示にするのです。
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