短編リライトの会用
新吉
オリジナル
第1話 そうか、これが(オリジナル)
俺はここでいろんなものを学んだ。
おこたというものについて教わった。
おこたというのは正式名称を炬燵という、布団の上に木の板があって、中には熱源がある。そのあったかい熱を外に逃がさない仕組みになっている。あったかい、出られない。
だめだ。これは人をだめにするものだ。
ポットというものも学んだ。
湧いたお湯を保温するもので、だいたいがおこたの上に乗せる。ガスやストーブにやかんに水を入れて沸かし、ポットへと移す。あんまり量が多いと溢れてしまうという。お茶を飲んだり、乾燥した食品を戻す時に使う。ある程度長い時間は熱いままで保温できる。おこたから出ずにお茶が飲める。あったかい、おいしい。
だめだ。これは人をだめにするものだ。
それについても教えてもらった。
ハエという虫を取るもので、それは空を飛ぶ。羽も足も付いていて、時にそいつらは歩く。それらの生命力は力強く増える。おこたやポットやストーブやらであったかい部屋で越冬することもあるらしい。ポットでハエ同士仲良くしていることもあるらしい。そのハエを捕まえ殺すために人はいろんなものを考えた。
ぶら下げてベタベタの接着剤にくっつけて、殺す。自ら手を下さず、動かず。ぶら下げるだけで、面白いくらいごっそり取れる。
だめだ。これは人をだめにするものだ。
これでは人は滅んでしまう。
俺はこの田舎の宿でいろんなものを学んだ。
俺は人類滅亡を防ぐために世界を飛び回っている。
人はなまけ過ぎている。このままではハエにすら負けてしまう。
俺はそれを見ながら、この星の未来を思う。
生きていくには死ぬ気で殺さなければいけない。
そんな時代がもうすぐそこまで来ているのに。
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