第137話 ある意味 職場愛

 バカ社長とモメて辞めるバイトは多い。


 その多くは、最初、バカ社長に見込まれて中心としてシフトに入っているのだが…バカ社長のバカに付き合いきれなくなってケンカ別れするわけだ。


 私の前に中心となっていたバイトがいる。

 仮に『S』としよう。


 Sも最終的に時給を下げられ、シフトから外され、辞めて行った…。


 彼の凄いところは、辞めてからも、ホテルを利用しているというところ…強者である。

 車のナンバー、モニター、いくらでもSと特定できることを本人は誰よりも知っている。

 それでも来る。

 デリヘルを使いに…。

「桜雪さん、Sさん、さっきも来てましたよ」

「そうなんだ」

「先週も来てますね、デリ使って帰ります」

「ある意味レジェンドだね」

「でも、風呂は換気してくれないし…」

「いや…それは無理なのかもね…遺恨はあるだろうからさ」

「あったら来ますかね?」

「さぁね…」


 僕も辞める。

 結局、バカ社長と合わないのである。

(僕は来ないな…)


 バカ社長は次のバイトを右腕だと張り切って推している…。

 半年もすると辞めるであろう。

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