第63話 謎の箱

 深夜、1人シフト、清掃も無くモニターを見ていた。

 405のドアが開く、駐車場まで行くようだ。

 たまに忘れ物を取りに行く客もいるので、そこまではどうでもいいのだが、帰ってくると、なにやら大きな箱を抱えている。

 マグロ?でも入っていそうな大きな箱。

 気になる…変な物持ち込んでんじゃないだろうな…。

 悩む、電話しようか…どうしようか…。

 電話してみた。


「すいません、今、車から持ち込んだモノなんですか?」

「なんでもないですよ」

「やたらと大きな箱抱えてましたけど?」

「あぁ…アレは…デザートです」

「デザート?」

「はい」

「あの、確認させていただいてもよろしいですか?」

「いや…ちょっと…」

「マズイものですか?警察立ち合いでも構いませんけどウチは」

「いえ、ホント、箱が大きいだけで…クーラーボックスなんで」

「クーラーボックスじゃなかったですよね」

「はい、デザートの箱です」


 頑なに拒否する。

「あの、ウチはウルサイこと言いませんけど、くれぐれもトラブル持ち込まないでくださいね、部屋は綺麗に使ってください、ナンバーもカメラも記録されてますから」

「……はい」

「ゴミは持ち帰ってくださいね…」

「はい…すいません…」


 2時間ほどして清掃に入る。

 ゴミ箱にシュークリームのビニール袋1枚だけ…

 絶対、デザートじゃないじゃん!!

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