{第五十六話} 役に立たない邪魔なお荷物
城の入り口に馬車が止まると、使用人と思われる女性が台を置き、馬車の扉を開けた。
席の位置的にオレが先に下りる。
「おーすっげ...」
ドイツにある、なんちゃらシュタインの城を連想させる。
そんな城を見上げている俺におじさんは「ちにみにこれは「城」じゃねぇからな」と笑いながら言った。
「は?」
え?城じゃないの?これ...
「ここは「宮殿」だ。「城」は戦う為の施設で、「宮殿」は住居としての役目を持つ物をさす」
「そう言う点から言うと、日本の城は「宮殿」なのか「城」なのか分からないなw」
そんな話をしていると、ネラ達も馬車から下りて来たで、王達の後に続きオレ達も宮殿の中に入った。
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宮殿の中を王達の後ろに続いて歩いていると、左右に騎士が立っている大きな扉の前にたどり着いた。
近くには騎士団長の姿もある。
緊張して肩に力が入っているオレにおじさんはやさしく話しかけた。
「この扉の先が、パーティー会場だ」
「お前は何も緊張する事は無い、王達の後ろに続いてまっすぐ敷かれた赤い絨毯の上を歩くだけだ」
「堂々としていろ」
そう言うとおじさんはオレの肩を軽く叩いた。
「準備はよろしいでしょうか」
扉の前に立っている騎士の一人が聞いてきた。
それに対し、王は王としての態度で「ああ」と答える。
「かしこまりました」
そう言うと騎士は扉を軽く叩いた。
何かの合図だろうか?中から、楽器の演奏が聞こえてきた。
きっと、王達が入場する時にいつも掛かるんだろう。
それそれの兵士が左右の扉に付いた取っ手のリングに手を掛け、扉を同時に開けた。
おじさんが言った通り、真ん中に赤い絨毯が敷かれその上を王達に続き歩いた。
赤い絨毯の両側には貴族達が並んでいて、その先には豪華な椅子が3つ。
「王」「王妃」「姫様」の3人の席だろう。
豪華なシャンデリアに豪華な天井、豪華な床、豪華な柱...
頭の中を「豪華」と言う単語の大群が縦横無尽に飛び回っていた。
あれ?オレはどこに行けば...?
どうしようと困りながら歩いていると耳につけたインカムからおじさんの声が。
「俺と騎士団長は王妃側の右に行くから、お前達は姫様側の左に行って隣に立て」
おじさんの方を見ると堂々と歩いていた。
そんな王達と同じように堂々と歩くおじさんが少しカッコよく見えた。
王達はそれぞれの椅子に座り、オレ達も左右に分かれオレは姫様の隣にたった。
すると音楽が鳴り止み、貴族達も口を閉じ会場は静かになった。
すると、王が立ち上がり口を開いた。
「今日は、私の娘である「ティア」の誕生パーティーに来てくれた事を感謝する」
「存分に楽しんでいってくれ」
そう言い、王が座ると姫様が立ち上がった。
「今日は、わざわざ私のためにこのようなすばらしいパーティーを開いていただきまた、来て頂きありがとうございます」
そう言い、頭を下げた。
会場内は姫様への祝福の拍手で包まれた。
みんなに愛される国、王族とは彼女達の事をさすのだろう...
取り合えずオレは姫様の横で立っているだけしかやることしかないので「ボッケ~」っとはめ殺しのガラス窓から見える月を眺めていたら、インカム越しに起こられた...
挨拶等を一通りが終わり、姫様達は招かれた貴族達と話をしている。
そんな姫様様の隣に立ち、周りを見回しているとインカムからおじさんの声が。
「窓警戒!ネラは非常用の明かりの確保、昌はとくになし!」
「了解」
「ぐぬぬ...」
しばらくすると...
おじさんの読み通り、会場のシャンデリアを始めとした照明類が静かに消えた。
まぁ、ネラの反応速度がいかれてるお陰で、瞬時に会場の照明は回復。
窓ガラスを蹴破り全身を茶色いマントで覆い隠しフードで頭部を覆い隠した怪しい男達が5人、そしてオレ達4人の二組が会場の中央に向かい合って並んだ。
まぁ、人数的にはこちらが不利だが...オレ達得に、おじさんが1カウントですめばの話だが...
傷1つでもつけたら大変なので、貴族達と王達は壁側に集め周りをGOSで頑丈な壁を用意した。
どれ位、頑丈かって?
多分ダイヤモンドぐらいだな...つまり砕けないと言える。
団長は腰の剣を抜き、おじさんは何処からとも無く刀を取り出した。
ちなみにネラはレイピアを使うらしい。
そんな中、オレだけ銃を使うのはアレのなので、オレもGOSで刀を手に持ったが知識が無いため刀を適当に振り回す事しかオレには出来なかった。
はっきり言って「役に立たない邪魔なお荷物」だ。
インカムからおじさんの声で「お前は、とりま王達と一緒に居ろ」といわれたからにはそうするしかない。
オレは王達が居るGOSの壁の中に。
一方、剣を構えたネラ達。
それを見て、マントの男達も剣を抜いた。
オレが抜けたお陰で人数差はさらに開いた。
5人の男達の中に、一人だけ空気感が違うのはオレにも理解できる。
そして、そいつが団長を狙っている事もオレ達は気づいている。
団長は口に笑みを浮かべた
「殺人を実行しに着たのか?なぁ、エリック」
そう言い、剣先を先頭に立つ強そうな男に向けた。
団長に剣先を向けられた男は被っているフードを外した。
「久しぶりだな...アルギ!」
そう叫ぶとマントを脱ぎ捨て、団長に切りかかった。
それに続き、残りの4人もマントを脱ぎ捨ておじさんとネラの方に走っていた。
切りかかってきたエリックの刃先を団長は紙一重でかわしすかさず手に持った剣を振ったがエリックは後ろに飛びのきかわした。
どうやら、2人にの実力さに大きな差は無いようだ。
一方、ネラとおじさんはそれぞれ2人を相手にしている。
2人居るせいてネラは少し手こずっているようだが、おじさんには余裕が見える。
絶対、おじさん刀は普通の刀ではだろう。
だって、刀から黒いオーラを放っている。
そんな刀で切られた敵は息が荒く顔色が悪い、切った相手に毒のような効果が付くのだろう。
ネラの剣の方は敵に刃だ当たる度に何かを吸い取っている。
何を吸い取っているのかは分からないが。
しばらく、おじさんは普通に刀を振るっていたが、突然刀を止め構えを変えた。
オレは目を手で擦った。
刀の構え方を変えた瞬間、2人の間を抜けた。
しかし、それが早すぎて瞬間移動したように見えた。
そして、男は床に倒れた。
そんな一瞬の出来事に目を奪われていると、ネラの方も終わっていた。
完全に観ていなかった。
隣の王に聞くと「ブレイドの部分が縮み、ものすごい勢いで伸び並んだ2人の胸を貫いた」だそうだ。
敵を倒し終わったネラとおじさんだったが、団長とエリックの戦いに参加する様子は無く、只見守っていた。
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