{第四十四話} 何だ?この構図?w

舌なめずりをして来たかと思うと次の瞬間...


あ...ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「おれは 彼女と握手しようと思ったら いつのまにか唇を奪われていた」

な... 何を言っているの かわからねーと思うが

おれも 何をされたのか わからなかった...

頭がどうにかなりそうだった...

手をつなぐだとかうなじをつかむだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしい方法の片鱗を 味わったぜ...


「ん?ん!ん~!」

唇同士が触れるなんてかわいい物ではない。

それに、族長にオレの後頭部と背中を押さえられ逃げようにも逃げなれない。

しかも、オレより身長が高いおかげでさらに逃げられない。

まぁ、これはこれで...

あー、そろそろ息が...


「!!」

「あ~!」

キスをされているオレを見て何かモニカ達が騒いでいるが、今はそれどころではない。


そろそろ限界が...


「ふふふっ、ご馳走様。なかなかおいしかったぞ」

ようやく開放されたが、体に力が入らない。

オレは膝を着き倒れた。


「半端無いって...」

まさか、キスで魔力を座れるとは...

オレのファーストキスが...

もうお嫁にいけない!


「ショ、ショウ殿?!」

「マスター...」

地面に倒れたオレをネラと王は見ていたらしい。


「マスター、大丈夫ですか?」

駆け寄ってきたネラに手を借りて起き上がり、スーツに着いた砂を払う。


「ああ、問題ない...少しオレには刺激が強すぎただけだ」

「ネラは姫様達の護衛を頼む」


「分かりました」

唐突にされたおかげでとても動揺したが、今は落ち着いている。



「あの程度で、顔を真っ赤にしてかわいいじゃないかw」

どうやらオレはからかわれているようだ...


「何故、あのような方法を?」

別にキスする必要は無かっただろう?


「こっちの方が効率が良いんだw」


「そ、そうなのか...?」

そうなのか?本当か?


「ショウ殿、申し訳ないがこちらの女性は...?」

今来た王には状況が良く分かって無い様で、一緒に来たネラも口には出さないが気になっている様子。


「2人に説明しましょう...きっかけは騎士団長宛てに届いた手紙...ここまではネラも王様も知ってますよね?」

そう、きっかけはこの1通の手紙からだ、たった1通の手紙のおかげでオレの...ぐぬぬ...


「ああ」

「ええ」


「ここからMPMを使って調べようとしたんのですが、モニカ達ではこの辺一帯を調べる事しか出来ないらしく、この王都全体を調べられるサキュバスは居ないのか?と聞いたところ...」


「この女性が...?」


「はい、サキュバスの族長さんです」

「こちらは、このハネット王国の国王です」


「ほう、この男がこの国の王か...ろくな護衛もつれずに油断していると足元をすくわれるぞ」


「その護衛が僕ですよ?族長?」


「そうか、ショウが護衛をやっているのか」

少し驚いた様子だ。


「いや、ショウ殿は十分護衛の仕事をこなしていますよ」

「この国の騎士団に引き入れたいくらいにね」

それは過大評価しすぎでは?


「そうか、これは相談なのだが...うちに来ないか?」

「悪いようにはしない、むしろこの仕事より良いだろう」

「お金も倍は出すし、かわいい子もこの世界より居るぞ?」

「それに、お前くらいの年頃の男は色々と溜まっているんだろ?」

ニヤリと笑い、腕に胸を押し付けてきた。


「悪いんだが、また今度にしてもらえせん?」

冷静を装って抱きついてきた族長を払いのけたが、心臓はバクバクで手汗がひどい。

のけられた族長の反応を見るに気づかれている様子...

「確かに、この護衛の仕事よりも待遇が良い...でも、こっちの方が先に受けた仕事」

「カッコ着ける気は無いけど、仕事を中途半端にして違う仕事に手をつけるのは何と言うかうまく言えないけど気持ち悪い」

クリアしていないゲームがあるのに新しいゲームには手を出さない主義だからな!


「そうか、言うではないか...」

そう良い笑ったかと思うと満足気な顔をしていた。

「ますます気に入った」

「やはりお前は私が見込んだ男だ、これでホイホイ付いてくる様なら殺していた所だ」

「この仕事が終わったら私に一言入れろ」

「こき使ってやる」

「もちろん、報酬はしっかり払わせてもらう」

「働きに見合った対価を払うのは仕事に対する正当な評価をする事と同じだと私は思っている」

「義理人情では人は動かないし動いたとしても長続きしない」

「安心しろ、無理にとは言わない、お前の実力に見合った仕事をやらせるつもりだ」


「ホワイト企業だな~」

就職先決めてしまおうかな...


「そうか?当たり前だと思うが...まぁいい」

「では、本題に移るとしよう」

あれ?この世界にホワイト企業なんて言葉あるのか?

よく伝わったな...

この世界の言葉を翻訳するのと同じ様にオレの世界の言葉も相手に翻訳してくれるのだろう。


「随分と本題からずれたな...」

ずれすぎだろw「本題に移ろう」的なセリフ何回か聞いたぞ?


「確かに何回も本題からずれたが、無駄だと思っては居ない」


「それは...どういう...」

何かあったか...?


「大分口調が砕けたじゃないかw」


「あ、確かに!」

気づかなかった...


「では、人を探す話だが、この街の地図はあるか?」

「位置が分かっても、場所が分からないと意味無いだろ?」

「直接対象の位置を地図に表示させる為、もうその地図は使えない」

「だから、そんなに高価な地図は使えない」

確かにそうだな...


「分かった、用意しよう」

「すまないが君、この街の地図を用意してもらえるか?」

そう言い王が近くのメイドに地図を持ってこさせた。


「では、はじめる」

「すまないが、調べるあいだはさっきのように魔力を君からもらう事が出来ない」

「だから君から魔力を送ってもらえるか?」

地面に置いた地図に膝を着き手をかざしている今の様子では、さっきの様な事は無理な様だ。


「キスは無理だぞ...?」

アレをオレにしろと?

無理に決まってるだろ?


「分かってる、背中に手を当てる程度でいい」


「わかった」

地図に両手をかざす族長に両手をかざすオレ...

なんだこの構図w

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