31話 空とキミと
帝国の巨大空母艦へと侵入した俺達は、神姫二人が幽閉されているとされる部屋の近くまでやってきた。
幽閉されている部屋を爆破しようとしたが、それよりも先に中で動きがあったようで戦闘が始まる。
そんな中俺達の前に、ライバルと言い張る【ノーマン・ジュード】が乗る【イージスⅡ】と対峙したのであった。
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「全く相変わらず破天荒だな! キミは!」
シアンが作り出した一本道を抜け外に出ると、翼を広げドラゴンのような風貌のイージスⅡの全貌が明らかになった。
全長は他のARMEDより少々大きめで14、5メートル。装甲は黒をベースに赤のラインがアーマーの繋ぎ目をカバーしており、その背中に付いている翼は本物の様な質感を持ちつつも、機械的な要素もある。その翼の中央には大型のファンが付いており、そこから生まれた揚力を使い飛行能力を高めているのだろう。
そして、目の前のイージスⅡは右手にシャムシール。左手には西洋でよく使われる形のの縦長の盾を持っており、その前面上部には蛇頭の女性のモチーフが付いている物を装備している。
「褒め言葉として受け取っておこう。それで、何故ウチのお姫様を攫った?」
「何故? それはボクの知ることでは無い。知っているのはそれが皇帝陛下の判断って事くらいさ!」
ガキン!
ノーマンは説明をしていたかと思っていたら、後半叫びながら突撃を仕掛けてきた。
「なんで、コイツらはいつも話の途中で攻撃を仕掛けてくるんだよ!」
俺はシャムシールでの一撃を正面で受けツッコむ。
「それは! 闘って! ねじ伏せた方が! 早いからね!」
イージスⅡの連擊を
「別に正々堂々とやれとは、言わないけど、びっくりさせるなよっ!」
何度か打ち合って掴めた。三回目の左からの袈裟斬りの後の合わせて、少し小ぶりの
「お!」
ノーマンの驚きの声が聞こえたが、意にも介さず捻りと突撃による運動エネルギーを乗せて、
ザシュッ!
確かな手応えを感じながらイージスⅡを通り抜け、そちらに振り返ると、右腕を肩口からもがれたイージスⅡの姿が確認できた。
「オモシロい事をするようになったね! いつもは真正面から打ち勝っていくのに! どういう風の吹き回しだい?」
形勢は俺の方が有利な筈なのに、悠長に語らってくる。そんな姿に苛立ってしまった俺は、両脚のペダルを全力で踏み込んだ。
「カナデ様! 危ない!」
ガシャン!
シアンの叫び声が重なり俺の耳に届くと同時に、左から謎の衝撃が
「天はボクの味方をしてくれるようだね!!」
突然の衝撃に一瞬眩暈起こしてしまった。
すぐさま機体を立て直そうとしたが、その隙をノーマンが見逃すことはなくイージスⅡが急接近。盾を捨て左手にシャムシールを持ち替えたイージスⅡの突きが繰り出される。
「何熱くなって周りが見えなくなっているんですか?!」
「うるさい! お前に俺の何が分かる!」
「ボクの前でいちゃいちゃするな!」
シアンが援護射撃をしながら俺を𠮟咤してくると、ノーマンはそれに嫉妬でもしたのだろうか。叫び声を上げる。
ザシュッ!
背面ウイングに突きを食らってしまった。そのままイージスⅡはシャムシールを右に振り抜きウイングを傷つけていく。
「くそっ!」
突きを食らった背面に回し蹴りをしながら振り向く。
「危ない危ない。中々強固な装甲を共和国は開発したみたいですね。本来ならその醜い羽を落とすつもりでいたのに」
回し蹴りをバックステップで躱したノーマンはそう言うと、再び突撃を仕掛けてくる。
「お生憎様! うちには優秀な人材しかいないんでな!」
ガガガガ!
お互いの得物が火花を散らしぶつかり合う。
ブワァァァァ!
「「?!」」
鍔迫り合う俺達は、突如戦艦の横っ腹から吹き出してきた炎の渦に目を奪われた。
それは戦艦の上空で闘う俺達からでも見えるサイズだったのである。
「この炎、あの時の神姫の……!」
「メルか!」
俺は叫ぶのと同時に、イージスⅡと距離を取るために前蹴りを放ったが、イージスⅡの方も俺から離れていったため空振りに終わる。そして、イージスⅡはメルのいる空域へと飛び立つ。
「行かせるかよ! 【
俺は武器をライフルに換え、メルへと向かい始めたイージスⅡへと照準を合わせ、通常の四倍の速度まで加速される
バシュッ! バシュッ! ボンッ!!
3発目の弾がイージスⅡの翼のファンに直撃。その体勢が崩れ翼から煙が上がる。
「【
両翼を落とし戦闘不能にする為、弾幕を張れる
一発の銃弾がイージスⅡへ目掛けて進み、その道程の半ばに差し掛かると発光。そして幾十の弾丸へと分裂していった。
「クソッ! これしきぃ!」
勢いを失い墜落しかけていたイージスⅡがその場で回転。それと共に装甲が光り始める。
「何?!
想定していた着弾数の半分が、その回転行動により不発に終わってしまった。
────発光現象が魔力を消すのか?
俺はそう予測を立て、更に
「やはり、神姫の相手をするよりも、カナデ君を倒さないと行けないようだね!」
イージスⅡの翼から煙を上げながらもノーマンは余裕な声色を見せながらこちらへ振り向いた。
「そんなぼろぼろで余裕そうだな? もう機動力も出ないだろうに」
「翼なんて飾りのようなもんだよ。機体的にはまだまだ絶好調さ!!」
ガキン!
シャムシールでの一撃を受ける。イージスⅡはノーマンの言うとおり、胆力に変化は無いようだが、やはり突進力で言えば多少なりとも減速した感じは見受けられた。
「カナデ様! 私は敵の増援に対応してきます」
レーダーを横目で見ると、北西の方角から赤いマーカーが複数確認出来た。
うちの増援はまだ来ないのか……!
「ありがとう! こっちも早々に決着を付ける!! それまで頼んだぞ!」
俺は操縦桿を握り直し、イージスⅡとの一騎打ちを終わらせる為魔力を解放した。
「悪いが遊びは……終わりだ!!」
するとバルムンクの全身の装甲が発光し始め、機体の駆動音が一段階高くなる。
「その機体でも、ソレが出来るのか! かかってこい! カナデ・アイハラァァァァ!!」
ノーマンが叫び声を上げているが俺の耳には雑音でしかなかった。
意識はクリアだ。
ダンッ!
俺は左右のペダルを一気に踏み込み、鍔迫り合いの状態のままイージスⅡごと前進をする。
「ここまで変わるモノなのか!」
ノーマンはコレまでのバルムンクの胆力が数倍に膨れ上がった事に驚きの声を上げている。
俺はその声を無視しそのまま直進を続けた。
そして。
ドォォォォーーーン!
イージスⅡを敵戦艦へと叩き込んだ。
すぐさま戦艦から離れ武器をライフルに持ち替える。
「【
もうもうと煙を上げる戦艦側面部へと、魔力によって増殖された弾丸の嵐が突き刺さるっていく。
再び
ガキン!
「やはり、まだ動けるか」
「こっちは帝国のエースさ。簡単にはやられる訳にはいかないさ」
「言ってろ」
ザンッ!
どうやら対魔法障壁の様なモノを使っているのだろう。だが、その障壁を無視して俺の
敬意を込めてイージスⅡのメインカメラへと
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