強欲の転生者~にぃにの力は2人のために~

@nyagon

第1話プロローグ…的やつ

その日はいつもよりも早く帰った。


今日は妹達の卒業式だった。晴れ姿は見てやれなかったが、その分いつもより長く一緒にいてやりたかった。


両親が他界して、唯一の家族は妹の舞と瑠璃だけだ。俺は妹達の為に大学を中退して働き始めた。

最初のうちは辛かったが、2人の笑顔を絶やさぬ為に頑張った。


働き始めてそろそろ1年。妹達も残すは卒業式だけだ。来月からはいよいよ高校だ。

そんなことを考えながらも俺は、安全に気をつけて家へと向かった…はずだった。





「すまん!」


「……へ?」


なんだここ…。確かさっき、商店街を抜けていつもの道を曲がって、それで……


「あの、ここは一体…。それと、あなたは誰なんですか?」


「儂は創造神というものじゃ。ここは世界の狭間。地球と別の星との境界線のような場所じゃ。

煉斗殿、今回は儂の不注意によって消滅させてしまい、誠に申し訳ない!」


「え…。消滅?」


創造神とか聞こえたけど、それよりも俺が消滅?でもここに体はあるし…て、なんか透けてない!?あ~、でもこの人創造神って名乗ってたな。神様だし体くらい作ってもらえるだろ。なんか不注意だったらしいし…


「消滅…ですか。あの、創造神?様は神様ですよね?その、妹達が心配なので地球に戻りたいのですが。この体どうにかなりませんか?」


「すまんの、体を作ることはできるんじゃが、地球へ送ることはできんくての」


「え…。それじゃあ妹達は…、どうすれば……」


「儂は送ることが出来ん。じゃが、お主自身が転移により帰ることはできるのじゃ」


「俺自身が、ですか?いや、それよりも転移ってもしかして、ゲームとかでよくあるあの転移ですか?」


「そうじゃ。ただ、お主が地球へ帰るほどの転移を覚えるにはレベルを4桁ほど上げねばならん」


「レベルって、あれですか。ラノベとかでよくある異世界転移とか、転生みたいなことをして、その先でレベルを上げろと。」


先輩に勧められてラノベ(異世界もの)を読んでたけど、まさか自分が主人公の立場になるとはな。


「うむ、お主を送ろうと思う世界は魔法、スキル、レベル、魔物、獣人やエルフといった地球にはないものばかりの世界じゃ。星の名はファルステアという」


「そうですか。なら今すぐにでも送ってくれませんか?出来るだけ早くレベルを上げて地球に帰りたいので」


「分かったのじゃ。しかし、そのまま体を作り直して送ってもレベル1000を超えるには最速で300年ほどかかるぞ?」


「え………その、もっと早く帰ることはできませんか?」


「大丈夫じゃ。儂の加護といくつかのスキルを付け、かつレベルアップ時の成長値を底上げしておくのでな。」


「ありがとうございます!その、どのようなスキルを頂けるのでしょうか?」


俺が読んだことのあるラノベだと経験値○○倍とか必要経験値○○分の1とか、あとはスキル奪って強くなるやつとかあったな。


「お主に与えるスキルは全言語理解、アイテムボックス、取得経験値10倍、取得スキルポイント+10、それと、あちらはあまり食文化が進んでおらんのでな、アイテムショップもつけておくぞ。」


「おぉ!ありがとうございます!あと、アイテムショップをもう少し詳しくお願いします」


「うむ、アイテムショップはその名の通り色々な物を買うことが出来る。購入には魔力を必要とし、地球だけでなく、あちらの物も買うことが出来るぞ」


「ありがとうございます。ではそろそろあちらに行きたいのですが…」


「またんか、まだ加護の説明やあちらのことも教えておらんじゃろ。まず加護じゃが、効果は状態異常の無効化、即死無効、全ての魔法適性の付与、それと儂との連絡じゃな。次にファルステアの簡単な常識じゃ。ファルステアには普人族、獣人族、妖精族、魔族、この4種族が存在する。エルフやドワーフといった種族は妖精族に含まれる。次に簡単な地理じゃが、ファルステアは惑星の6割が陸地、4割が海である。しかし、6割の陸地のうち人が住んでいるのは1割ほどじゃ。それでも地球よりもかなり大きい惑星じゃから1割だけでも地球の陸地の1.5倍もあるのじゃ。そのかわり一日が40時間もあり、ひと月は30日。360日で1年とかなり地球と差があるのじゃ。」


「一日40時間ですか…30時間をレベル上げに使えばすぐに帰れそうかな?」


「あぁ、お主に取ってもらう転移スキルは時空間転移じゃからお主の思った時間まで巻き戻して転移ができるのでな。ゆっくりレベルを上げていったらよい。続きを話すぞ。あちらの文化は地球でいう中世あたりでな、色々発展しておらんので、出来れば色々とあちらに技術を広めてほしい。以前あちらに迷い込んだ地球人は数万年前でな、その時伝えられた技術も既に廃れてしもうたのじゃ。ふむ、これくらいで一通り話したかの」


「では、今度こそファルステアに送ってください」


「お主、意外とワクワクしとらんか?それに時間を気にせんで良いと言った時からソワソワしっぱなしではないか」


「い、いや、その早く妹立ちに会いたいという気持ちと、異世界を楽しみたい気持ちでいっぱいなのです」


「そうか。ではそろそろあちらに送ろうかね。心の準備はよいな?」


「はい!」


「では、頑張ってな」


「あ、あの!最後に聞きたいんですが、なんで俺は消滅したんですか」


「うっ……その、な。寝ぼけて地球ごと消しそうになっての、慌てて止めたんじゃがお主だけ巻き込まれてしまってな……」




「は、はぁぁぁぁぁぁぁ!?そ、そんな理由かよぉぉぉ!!」


そう叫んだと同時に俺は意識が遠のいた。









主人公 八雲 煉斗やぐもれんと

少しシスコン気味である。会社の先輩から色々な知識を貰っている(アニメやゲーム等の…)

かなりのイケメンで、妹達の学校では有名であり、舞達はそれを誇っている。

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