エピローグ
クリスマスに籍を入れ、バタバタと過ごした年末と年明け。そのあと章吾さんは一度もこっちに帰ってくることなく、ブルーインパルスを卒業した。
そして三月の初めには百里基地の家族寮に入居が決まった、二月末。
「ふふっ……」
「なんだ、急に笑い出して」
「あのね、この写真を見て、章吾さんと出会った時のことを思い出したの」
「どれ……。ああ、入間基地の航空祭の時のか」
「うん」
スマホの画面に映し出されている写真には私と章吾さん、美沙枝と藤堂さんが写っている。それをスライドして別の写真に切り替えると、私を後ろから抱きしめ、満面の笑みで写っている章吾さんと私の写真になった。
あれから二年とちょっと。なんだかんだ言いながら私と章吾さんは今日、結婚式を挙げた。章吾さんは制服姿で、私はウェディングドレス。
わりとこじんまりとした式だったけど、両家の友人たちが盛り上げてくれて、笑ったり泣いたりととてもいい式だった。
まあ、式を挙げたとはいえ、一緒に住むのは来月百里基地に行ってからになるんだけどね。
で、今いるのは、式場にもなったホテルの一室だったりする。
「ひばり、そろそろベッドに行こうか」
「……うん」
お風呂に入ってからしばらくまったりしてたんだけど、章吾さんにそう言われて鼓動が跳ねる。
他の人に比べたら、離れて生活してた分、章吾さんに抱かれた数はそんなに多くないと思う。それでも短い時間であっても、会えた時はまるで私を貪るように抱いたのだ、章吾さんは。
どこにそんな体力があるのかと、何回思っただろう。
私の手を引いて寝室に移動するとあっという間に私を裸にし、章吾さんも裸になる。誘われてベッドに横たわれば章吾さんが覆い被さって来て、彼の右手が私の顎を持ち上げる。あっという間に彼の顔が近づいて来て唇が重なると私の唇を擽るように舌が動いた。
そして執拗にだかれ、章吾さんの「寝かせません」宣言に戦慄して抗議するものの、私も章吾さんに会うのも抱き合うのも久しぶりなわけで……。
結局ゆっくりと味わうように深夜まで抱かれたものの、お互い結婚式で疲れていたこともあり、章吾さんの「寝かせません」宣言は終了し、一緒に眠りについたのだった。
――そして百里基地に引っ越してから一ヶ月後。
今までもスキン無しで抱かれていたはずだし一度も妊娠が発覚したことがなかったのに、この時に抱かれたのが大当たりだったのか妊娠が発覚。
のちに私は男の子を、更にその三年後には男女の双子を生むことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます