揺れる気持ちとチョコレート
ショコラちゃんの部屋に行き声をかけても返事がない。
全く音のしない部屋。
俺は変な胸騒ぎを感じ頭の上のちーちゃんと共に部屋のドアをゆっくり開け俺は中に入った。
真っ白な部屋を見渡すが部屋にはチョコレートケーキがあるだけで肝心なショコラちゃんがいない。
俺が部屋の奥まで歩き出すとちーちゃんは何も言わず俺の頭から降りてケーキの所に飛んで行った。
俺は部屋を見渡しなが探した。
「‥ショコラちゃん‥何処に‥」と俺が呟くと後ろから
「わぁ〜!!チョコレートケーキですぅ〜!小太郎しゃん〜ショコラちゃんみたいなチョコレートケーキがありますですぅ〜」といきなり声がし驚いて振り向くと真後ろに苺がいた。
挿絵(By みてみん)
いつもとは明らかに雰囲気の違う苺が笑いながらチョコレートケーキを持って佇んでいた。
俺はその異様な雰囲気に「‥いち‥ご?」としか答えられなかった。
すると苺が「小太郎しゃん!どうしたんですぅ?そんなびっくりした顔して〜!小太郎しゃん汗でびっしょりですぅ〜」と俺の顔を覗き込んできた苺はいつもの無邪気な笑顔の苺だった。
‥‥さっきのは俺の見間違い‥か‥と苺の顔を見るがそこには、やっぱりいつも通りの苺がいた。
やっぱり‥俺の見間違い‥勘違いだったんだな。苺があんな表情するわけないよな。と思う事にして自分の見間違いだと納得する事にし、俺は冷静にこの状況を考えてた。
ショコラちゃんの部屋に‥チョコレートケーキ?ショコラちゃんは何処に行ったんだ?なぜ‥?どうしてだ?‥俺は色々考えるあまり苺から目を離してしまった。
暫くショコラちゃんの部屋で考えていると部屋の外から
「小太郎しゃん!!!めちゃくちゃ美味しいですぅ〜〜〜♡早く来るですぅ〜〜!!」と言う声が聞こえ俺は嫌な予感がして外に飛び出した。
そこにはさっきまでショコラちゃんの部屋にあったチョコレートケーキを勢いよく食べる苺の姿と
それを止めようとするちーちゃんの姿があった。
「苺ぉぉおおお!!!このケーキは食べちゃダメなのです〜〜!!!ショコラちゃんなのですよ〜〜!!!苺〜〜〜!!!ダメなのです!!」とちーちゃんが必死に苺を止めようと腕にしがみ付くが、苺は気にせずケーキを食べ続けていたが苺は俺に気付き
「小太郎しゃん!!!本当に美味しいですぅ〜〜♡魅惑の味わいですぅ〜〜♡一緒に食べましょうですぅ〜〜〜!!!」と言ったのを聞き俺の中で何かが壊れた音がして、咄嗟に手が出た。
『パァッ!!!!!!!』
俺は頭で考えるより先に体が動いた。ちーちゃんが止めても構わず嬉しそうに食べ続ける苺のほっぺたを叩いたのだ。
叩かれて泣き出す苺。苺の前には半分以上食べられて、ぐちゃぐちゃになったチョコレートケーキ。そのチョコレートケーキの横でそれを見つめ呆然と立ち尽くし泣き出すちーちゃん。
全部が信じられないくらい絶望的な状況なのに頭の中の俺は何が起きたのか、冷静に考えて理解しようとしていた。
そして重い空気の中俺は絞り出すような声で「‥‥めろ‥‥やめてくれ‥い‥ちご‥やめてくれ‥お願いだ‥ショコラちゃんを‥食べないでくれ‥」と言ったが苺は泣き続けて俺の声が聞こえていないようだった。
心に重くのしかかる絶望。
仲間であるショコラちゃんを食べてしまった苺に対する疑念。遣る瀬無い虚無感にもにた思い。目の前の好きな人を失った現実。苺が食べなかったとしてもケーキになってしまったショコラちゃん。俺の心は目の前のケーキのようにぐちゃぐちゃになっていた。
そんな絶望的な空気が流れている中、ちーちゃんが突然閃いたかのように
「小太郎さん!!!小太郎さんなら‥ショコラちゃんを元に戻せるかもしれないなのです!!!プレイヤーの願いは大切な記憶を対価に叶うはずなのです!!!」と言った。
俺はハッとし心の中でショコラちゃんを思い浮かべる。
するとしばらくして上の方から
「お主が作りし第ニ案内人!!ショコラを戻したくば其れ相応の対価が必要だぞぃ!!乙女の元が無いと作れんからのぉ!!!対価はお主の幸せの記憶になるが良いかのぉ!これは戻らん記憶になるがのぉ〜。」と言われ俺は藁にもすがる思いでこの話を受ける事にした。
「俺の‥俺のどんな記憶を対価にしてもいい!!!だからショコラちゃんを‥戻してくれ‥お願いだ‥」と言った。
すると「承知したぞぃ!!シュガーキッチンオープン!!!」と言う声がし
大きなかまどに一瞬火が付き、中から小さいショコラちゃんがフラフラ出てきた。
続く
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