19.大海人皇子《おおあまのみこ》

御吉野みよしのの、御舟みふねやま

時なくぞ 雪は降りける、間無くぞ 雨は降りける

その雪の時なきがごと、その雨の間なきがごとくまも落ちず思ひつつぞ来る

その山道を


-別バージョン-

> 御吉野みよしのの、御船みふねの山に

> 時じくぞ 雪は降ると言ふ、 間なくぞ 雨は降ると言ふ

> その雪の時じきがごと、その雨の間なきがごと くまも落ちず思ひつつぞ来る

> その山道を


☆意味☆

御吉野みよしの三船山みふねやまには時には大雪も積もり、また大雨も降る、例え雪になろうとも、例え雨が降ろうとも目もくれず共に行こうではないかその山道を


プチ解説:

いかなる苦難をも共に乗り越えようという想いを込めた歌。

大海人皇子おおあまのみこの吉野での決起も連想させる。


原文では三船みふねではなく耳我みみがとなっていて不明な場所。

他の同じ用例の歌から推察するとその読みは、御金みかね御船みふねのどちらかだと思う。


同じ内容で歌詞が少しだけ違う2パターンがあるのはなにか理由があるのだろうか?

複数人がこの歌を記録したのかもしれない。


この歌は中国の詩経しきょうという古代詩編の一部からのリメイクの可能性があるかもしれない。


*参考*

そこは、北風が冷たく吹き

雨雪が絶え間なく降る所だという


幸いか、それでも我を見捨てぬ者がいる

共に手を取りいざ行かん


もうなにも心配することは無い

君がいるのだから


北風其涼 雨雪其[雨冠+方]

恵而好我 携手同行

其虚其邪 既亟只且

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