4.軍王《なかのおおおえのみこ》の妹背《いもせ》

かすみ立つ長き春日の暮れにける

わづ肝知らず群肝の心を痛み、ぬえこ鳥-うら泣ければ、玉たすき-けのよろしく


遠つ神-我が大王おおきみ行幸いでましの山越す風のひとり居る

我が衣手ころもで朝夕あさよいかえらいぬれば


大夫ますらをと思へる我れも、草枕くさまくら-旅にしあれば思ひづきを知らに

網の浦の海人娘子あまおとめらが 焼く塩の思ひぞ焼くる我が下心したごころ


☆意味☆


大王が行幸されて一体どれくらいたちましたでしょうか?毎日寂しい想いをしております。


山いくつも越えた先の遠い国におられますれば、どうやっても明日明後日にお帰りになられるはずはなく、一人途方に暮れております……


男勝りと思うておった私でも、いつとも知れぬお帰りをお待ちしていると、海女乙女の焼く塩のように心が焼ききれるような気持ちになるのです。

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