第7-6話 一夜の仲間達

「かんぱーい!」

エルカンの音頭で俺達は酒場で勝利の祝杯を挙げる

今酒場でテーブルを五人で囲んで座った状態だ


「いやーひと暴れした後の酒はうまいぜ!」


エールを飲み干し、エルカンが上機嫌に言う



スケルトンを撃退した礼として、俺達は今晩の宿と明日の朝食、

今行なっている祝杯の料金を無料にしてもらった


ギルドに正式に報酬を支払おうかとの提案もあったが、

俺とテオックとセドは冒険者ではない事もあり

アロンからも必要ないとの事でこの形での謝礼になった



エルカンがジョッキを持って立ち上がり、セドの肩を叩きながら

「お前なかなかやるじゃねえか!頼もしかったぜ!」

とセドに向かって話しかける


「エルカン、主も、やる」

飲む前と口調は変わらないが、心なしかセドも上機嫌に見える


「修行の旅をしているんだっけ、冒険者になっていないのが勿体無く感じるね」

アロンのこの発言を聞いたエルカンがまたセドの肩をバンバンと叩き


「そうだ、俺達とパーティを組もうぜ!お前が入ってくれたらどんな奴だって敵じゃねえ!」


アロンが呆れた様に言う


「またエルカンの悪い癖が出たよ」


俺とテオックはその様子を笑いながら見ていたが、

エルカンがこっちを見てから近づいてくる


そして俺とテオックの間に立ち、両腕で俺とテオックに腕を回して肩を組む


「お前らも冒険者じゃないのにやるじゃねえか!あの捻くれたアロンが褒めてたぜ!」


間髪いれずにアロンがツッコミを入れる

「いやいや捻くれてないよ」


「お前らも冒険者になろうぜ!

俺達と一緒にパーティを組んで暴れようぜ!」


「いやいや、俺ただの村人だからな」

テオックが苦笑いしながら返答する


「なんだよつれねえな~

ヨウヘイはどうなんだ?」


エルカンは俺の方を向いて尋ねる

「俺もしがない一般人だからなあ、アンタ達くらい強ければ良いんだけどなあ」


エルカンはがっはっはと豪快に笑い

「俺ほどじゃなくてもお前らでも十分強くなれるぜ!」


「エルカン、無理を言っちゃダメだよ。

二人とも良い戦いっぷりだったよ。

冒険者になるならオイラ達は歓迎するからさ」


アロンの言葉は世辞だろうが、今はとても気分が良い

今は充足感の方が勝っていた


そのまま五人で談笑し、夜が更けるまで飲み明かした


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……そして目を覚ました時、既に太陽は高く昇っていた

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